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新作アニメ『DEVILMAN crybaby』は、『ピンポン THE ANIMATION』や『夜は短し恋せよ乙女』などを手がける、今最も旬なアニメーション作家、湯浅政明氏が監督を務めます。Netflix独占ですが、日本語のほか9か国語に吹替え、字幕は25か国語、さらに190か国に配信と、全世界的に公開予定。
3月25日に東京ビッグサイトにて開催されたアニメイベント『AnimeJapan2017』で、アニメ化情報解禁後初の永井先生と湯浅監督の生対談を実施。なんと、直接会うのはまだ2回めだというお二人ですが、貴重なお話をたくさん聞くことができました!
永井先生は、湯浅監督の劇場作品2本を観て、「めちゃくちゃ面白かった。『デビルマン』は日常の世界から突然シュールな世界へ大きくシフトするような作品なので、カッチリ描くとかなり無理のある作品なんですけど、湯浅監督の強引な手法でシュールなものに持っていく手法は『デビルマン』に合っているんじゃないかな、と期待しています」と、楽しみで仕方がない様子。
元々、『デビルマン』はアニメをやる前提で企画がスタート。当時は、ドリフターズの『8時だョ!全員集合』を放送しており、視聴率を50%、60%とっていたため、裏番組は2桁とることも困難。それが、アニメ『デビルマン』は一気に2桁台に乗る人気作品に。視聴率15%までいったそうです。
永井:アニメ用のストーリー、キャラクターなど設定をすべて作って、アニメを作る東映動画さんに渡して、その後シナリオライターさんたちと打ち合わせをしました。そして、アニメが制作に入ると同時にすぐに自分はマンガの連載を始めました。
でも1回めからアニメで渡した設定と違うことにどんどんなってしまいまして(笑)。特に飛鳥了を案内役で出してしまったもんですから、アニメのプロデューサーさんから「こんなキャラ、アニメの方にはいないですよ!」とか文句言われながらやっていました(笑)。
1972年スタートだったんですが、殺伐とした空気で、新聞を見ればベトナム戦争や学生運動の激しい闘争のニュースがあって、そんな中で描いていた気がします。
戦いを眺めながら、戦いがエスカレートしたらどこまでいってしまうのだろう、と危惧しながらも描いて、どこかでストップかけなきゃ危ないよ、というつもりで描いた作品です。
乗り移られたように、自分がなんでこんなこと描いているんだろうとわからなくなることがありました。描いた後、読んでみて、自分で「あれ?どこからこんなセリフがでてきたんだろうな」ということが、度々ありましたね。自分で描いているはずなんだけど、描いた記憶が飛んじゃっているというか。そんな感じで描いていました。
湯浅:(新作アニメの)最大のポイントは了を描くということですね。不動明と飛鳥了のバディものであると思うんですけど、今までの映像作品でもちゃんと描かれていなかったのは了だと思うので。明と了が主人公ですけど、了の物語であるな、という捉え方で作っています。
永井:自分も描いているとき、後半になって気がついたんですけど、本当の主人公は了だなって。了を外すと話が進まなくなるので仕方がなくて一回死なせたのをまた生き還らせたりとかね。あ、主人公は了だったんだな、と思いました。
打ち合わせの時に主人公が了という話は出ておらず、今回の対談(ステージ上)で初めてこの話をしたという2人。「湯浅監督はわかってくれているな、と思いました」と永井先生も笑顔。
悪魔側のデザインは押山清高さんが担当、ほか登場キャラクターのデザインもリライトしているそう。
湯浅:永井先生のマンガを今描くとしたらどんな形になるんだろう、と考えて完全に現代物として。本当の現代というか、『デビルマン』というマンガ作品がある世界で起こる出来事、という風に考えて作っています。
永井先生がマンガを描かれた時代と変わってはいますが、似たような空気はあるので。今も国際情勢が静かにきな臭かったり、差別的なことも気運が高まっていたり……人間てそういうものなんだな、人間てそんなに変わっていないんだな、という感じはすごくありますね。アニメでは、表には見えない静かな空気みたいなものを同じように当てはめて、そこに『デビルマン』の世界を作れたらと思っています。
でも基本的に最初に描かれたマンガのスピリットはそのままに、今回はラストが最初からわかっているわけですから、そこにたどり着くように見せていく感じで、ラストシーンを中心に作品を作ろう、とやっています。
永井:僕の場合は、意欲がある人がいらっしゃるんでしたら、どんな挑戦もOKなので。自分の作品と違ったものができるのは、僕は基本的にはまったく気にしない人間なんです(笑)。だから最初のTVアニメのときも思いっきり違ってしまいましたし、とにかくアニメはアニメ、原作は原作でお互い好きにやりましょう、みたいなところからスタートしてますし、その後も若い漫画家の人が「描きたい!」って言ったら、好きに描いていいですよ、って言っています。
それぞれに自分の個性がありますから。一番力が発揮できるのは自分の好きに思い通りに作ることだと思っていますから、それで良いものができれば、僕に合わせようとか考えなくていいので、もう存分にやっていただきたいです。
湯浅:ありがたいです。プレッシャーが更にかかります(笑)。
また、対談の最後にも永井先生が湯浅監督へ「とにかく、プレッシャーとかよりも作ることを楽しんで貰えたら、それで良い作品になると信じていますので。もう自分流で、自分でダメを出さないで、やりたいことをやっていただけたらいいかな、と思っています」と念押しの一言。
すでに、脚本は半分以上進んでいて、画も進んでいるという『DEVILMAN crybaby』。「サブタイトル“crybaby”がキーワードになってくると思います。バイオレンスやエロティックな部分は作品上必要な部分であり、限界まで頑張って出せるようにアニメ化しています」と湯浅監督。
構成は1クールくらいですが、配信のため、1話が40分でも50分でもいいと言われているそうです。どんな構成になるのかも楽しみですね。
2018年の早い段階で配信がスタートする見込み。今後の新着情報も要チェックです。
公式サイト:
http://devilman-crybaby.com/
(C)Go Nagai-Devilman Crybaby Project