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こんにちは、ひとはです。
秋の風に吹かれて、すっかり葉を落とした枯れ木に残る一枚の葉っぱ。そんな情景を想像すると、思わず「孤独」を感じませんか。
人に囲まれて賑やかに過ごしているときに、ふとその場から気持ちが離れてしまうことや、なんとなく人に会いたくないと思う日があるように、自分で意識せずとも孤独感を味わっていることがあるものです。
別段、自分は孤独だと思っていない人も、孤独がつらいと思っている人も、改めて「孤独」について考えてみる価値があることを教えてくれるのが本書『孤独が人生を豊かにする』です。
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本の扉を開けると、まず著者の中谷彰宏さんが自筆で、「みんなと話があわなくなるのは君が成長したからだ。孤独になることでますます成長できる」と書かれたページが現れます。
「孤独になることがどうして成長につながるの?」「成長したら何で友達と話が合わなくなるの?」と、頭の中にいくつものクエスチョンマークが浮かんできます。ページをめくると、次の一文が書かれています。
この本は、3人のために書きました。
01 孤独が、寂しい人。
02 孤独を、楽しみたい人。
03 孤独な人を、応援したい人。
ますますこの本が伝えたいことに興味が湧いてきます。そして目次。孤独が人生を豊かにする方法であるとして、61項目が挙げられています。例えば次のような。
なるほどなるほど。ここまでくると、本書の内容もおおよその想像がつきます。孤独と言っているが、それは人とは違う何かを身につけることで、自己を成長させようということなんだろうな、と。
しかし一方で、よくある自己啓発書の類だろうと思わせる部分もあります。そう感じた人は、本屋でここまで立ち読みした後、そっと元のところに戻してしまうかも知れません。ありふれた自己啓発の本は世の中に溢れるほどありますし、「孤独」というキーワードは巷で流行っているわけでもありませんから。
しかし、書評子がわざわざこの本を推薦するのは、4、50ページ読み進んだころから、著者が薄っぺらい自己啓発書を書こうとしているわけではないということが見えてきたからです。
孤独が人生を豊かにする61の方法から、書評子が気になった項目を5つ挙げてみます。
自分が成長するほど、まわりからは理解されなくなっていきます。例えばまわりの仲間が勉強をしない中で一人だけ勉強していたとすると、この時に仲間と別れて成長するか、成長を捨てて仲間と一緒にいるかという決断に迫られます。
人が成長するとは、今のグループと別れる悲しみを背負うことでもあり、成長には必ず孤独が伴うものなのです。
本書では、孤独を「一流の孤独」と「二流の孤独」の2つに分けています。
一流の孤独は「自発的な孤独」であり、二流の孤独は、結果として孤独になった「受け身としての孤独」を指します。
今の時代は、たとえ一人で家にいても、次から次へとSNSで連絡が入ってきて、常に誰かと繋がっていられる状態です。そのためスマホを忘れたり、電源が切れたりすると、それだけで不安になってしまいます。これは受け身の孤独であり、二流の孤独です。
「一人でいると寂しいから」という理由で恋人が欲しいと思うなら、それは二流の孤独です。
一流の孤独は、一人でも二人でも、大勢でも楽しめるものです。
一流の孤独は、知らない人ともナマで話せます。二流の孤独は、知っている人とネットで話します。
よくパーティーなどで知り合いとばかり話をしている人がいますが、一流の孤独はパーティーも一人で行って、知らない人との出会いを生むことができるのです。
一流の孤独は閉じこもっておらず、常に自分をアウェーに置いています。二流の孤独はホームに閉じこもっています。
勉強でも仕事でも恋愛でも、自分が居心地の良いコンフォートゾーンに閉じこもれば安心は得られます。しかし自由は得られません。そして不満が生まれるのです。
一流の孤独は、同じ場所に居続けることはなく、変化を恐れないものなのです。一方、二流の孤独は、変化をひたすら恐れ、前へ進むのではなく後ろ後ろへと戻って赤ちゃん返りをしてしまい、究極は母親のおなかの中へ戻ってしまうのです。そこが一番安心できる場所だからです。
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紹介したい項目はまだまだありますが、それは本書を読んでのお楽しみとしましょう。
きっと今のあなたの心に元気を与えてくれる言葉や、共感できる言葉が見つかるはずです。
人は誰でも一人で生まれ、一人で死んでゆくもの。この本は、自分の人生を豊かにするには、いかに孤独を楽しめるようになるかが大切なのだと、読者に気づかせてくれる一冊となっています。
本書の冒頭に「孤独感とは、それを自分でどう感じるかである」と書かれています。日常の生活の中で、あえて孤独を意識し、それを「一流の孤独」として自分のものにしていく方法を見つけてください。そうすれば、あなたの人生はより豊かなものになるはずです。
最後にもう一つ、この本に隠された著者の想いを探ってみましょう。
著者の中谷彰宏さんは、この本をかつてご自身が経験されたことをもとに着想され、執筆されたのではないでしょうか。
最初に書かれていた「この本は3人のために書きました」というくだり。ここに出てくる「3人」は、それぞれご自身の過去から現在までの姿をあらわしているように感じるのです。
おそらく著者も、昔は孤独を「寂しい」と感じる二流の孤独人間で、そこから一流の孤独とはどのようなものかを理解し、孤独を「楽しむ」ことができるようになったのだと思います。
そして最後には「孤独な人を応援したい人」となり、この本をしたためたのでしょう。
中谷さんは、数多くの著作を世に出しておられる方で、多くのファンを抱えている作家さんです。短い文章の中にも心に響く言葉が数多く織り込まれ、気持ちがふさいだ時や、落ち込んだ時に元気を与えてくれる著作がたくさんあります。
しかし本書は、これまでの著書とは異なり、ご自身の過去から現在までの来し方を感じることができる、珠玉の一冊となっています。