- 週間ランキング
(Written by Publisher’s editor)
現在、政府が推進する「働き方改革」によって、ビジネスの現場ではさらなる効率化が求められています。長時間労働を是正し、ワーク・ライフ・バランスを改善するためには、ビジネスパーソン1人1人が仕事の効率化や、生産性の向上に目を向ける必要があります。
本書『すごい効率化』の著者である金川顕教氏は、大学在学中に3大難関国家試験である公認会計士試験に合格し、さらには外資系一流企業の激務のなかで圧倒的な成果を出しながら、起業準備の時間も捻出するほど、徹底的な効率化を実践してきた人物です。
金川氏は、業務効率化にあたって企業が金科玉条のごとく用いている「PDCA」はもはや時代遅れだと断言し、逆転発想の「CAPD」の重要性を説いています。
「PDCA」とは、Plan-Do-Check-Actionの略であり、計画→実行→評価・検証→改善を繰り返すことにより、各段階をレベルアップさせ、業務を効率化するというフレームワークです。
しかし、PDCAによって「計画」を立てることから始めるのは危険だというのが著者の見解です。なぜなら、やったことがないことについては、そもそも有効な計画など立てようがないからです。つまり初めてチャレンジする目標に対して「計画」から始めるというのは、その時点で「効率的」ではないのではないかということです。
著者はこの点について、公認会計士試験のときに痛感したといいます。大学3年生までのたった2年間で公認会計士試験に合格するという目標は、常識的な計画の立て方では果たすことはできません。
資格試験の勉強法としては、テキストを読み、問題集をこなして、試験を受けるというP(計画)→D(実行)の順序で行うのが一般的でしょう。
しかしこれでは、一度試験を受けてみないことには、C(評価・検証)することができず、不合格となってからA(改善)することになってしまいます。このやり方では、大学在学中に公認会計士試験に合格するという目標は夢のまた夢でしょう。
そこで逆転の発想が生まれました。すなわち「合格」という結果ベースで考えると「C→A→P→D」の順番が一番効率的ではないかと考えたのです。
著者は、「これまで大学在学中に公認会計士試験に受かった人は何をしていたのか」にフォーカスをあて、とにかく本人たちに話を聞きまくりました。同時に、落ちた人についても検証しました。
つまり、最初に「評価・検証(C)」の視点で「改善点(A)」を理解してから「計画(P)」を立て、それを「実行(D)」することで、より短期間で効率的に成果が得られるようにしたのです。
この「CAPDサイクル」こそが本当に効率的な手法だと著者は言います。
CAPDメソッドを実践するには、次の3つを評価することがポイントです。
自分を評価するのは当然ですが、なぜ周りの人も評価すべきなのでしょうか。
それは自分自身の弱点というのは、客観的な物差しがないと漠然としたものになりやすいため、周りと比較することで、できるだけ正確に見極めるべきだからです。
たとえば、会社にものすごく仕事ができる○○先輩がいるとします。PDCAで考えると、「○○先輩みたいになりたい」という願望に近い計画になります。
しかしCAPDの発想であれば、「○○先輩は、残業もせず毎日定時に帰宅しているのに、いつも結果を出しているのはなぜだろうか?」のように、評価・検証をすることからスタートします。
一番の近道は、○○先輩に直接聞いてみることです。「仕事が速くて結果も出せる秘訣を教えてほしいです」「資料作成が苦手ですが、改善するのはどうしたらいいと思いますか?」のように聞けば、「俺はいつもこうしているけど」「お前の課題は対人関係だと思っていたんだよ」といった評価をもらえるはずです。そうすればすぐに改善に移すことができます。
一方で、結果が出ていない人を評価することも忘れていけません。同僚の△△は仕事が遅く、結果も出ていない。では、△△と○○先輩との違いは何か。そこを検証してみるのです。
たとえば、○○先輩は、出社時刻の2時間前の朝7時にはデスクで仕事をしている。しかし△△は、いつも出社時刻ギリギリで会社に来ている。その違いがわかれば、「自分は朝7時に出社する」を取り入れることになります。
そういった細かな違いに気づけば、自分が実践すべきことがどんどん見えてきます。
「CAPD」が「PDCA」よりも圧倒的に効率的だと言える理由の一つに、インターネットの普及を挙げることができます。
ネットがなかった時代は、何かを始めるとき、資料や情報を地道に集めるという作業、すなわち計画の「準備」が必要でした。
しかし、いまや誰もがすぐに情報を手に入れることができます。みんなが同じように計画できてしまうのですから、計画から始める「PDCA」では、他人より速く仕事ができるはずはありません。それは仕事の質にも影響を与えるでしょう。
今の時代は、「評価・検証」の精度こそが勝敗を決するのです。
本当の成果につながる効率化を実践したい人は、ぜひ本書を読んでみてください。
すごい効率化
(Written by Publisher’s editor)