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最近は若くして起業する人が増えてきました。
自分のアイデアで世の中を変えるというのは非常にエキサイティングなことだし、シリコンバレーで成功する起業家たちに憧れて起業を夢見る若者はこれからも増えていくでしょう。
しかし起業家(アントレプレナー)になりたいと考えても、具体的にどう行動すればいいのかわからない人がほとんどだと思います。
しかも「起業家になりたい」という言い方をすると、必ず周囲の大人から「起業は手段であって目的ではない。そんな考えで起業しても失敗するだけだから止めておけ」といった忠告をされます。(試しにブログで「起業家を目指す」と宣言してみてください。絶対にこういうコメントが複数つきます)
こうしたコメントを見ると、「崇高な志や偉大なアイデアありきじゃないと、起業を夢見ることすら許されないのか…」と落胆してしまいがちですが、その必要はありません。今の時代は、誰もが「起業家精神」を持つことが求められているからです。
起業家精神は、生まれながらのものではなく、学ぶ意欲さえあれば、誰にでも学べ、磨きをかけられるものです。つまり起業家になることが「目的」だとしても、それを叶えるための気概がホンモノであれば問題はないのです。
そこでぜひ読んでほしいのが『THINK WILD あなたの成功を阻むすべての難問を解決する』です。
本書は、夢があるけどその叶え方がわからない、もしくはすでに夢を実現させたものの、どうやって次のステップに発展させればいいのか悩んでる人たちに向けて書かれた一冊で、最初の一歩を踏み出し、成功をつかむまでに必要なことすべてが書かれています。
著者のリンダ・ロッテンバークは、伝説の非営利ベンチャーキャピタル、エンデバーの共同創業者兼CEO。1997年の創業以来、27か国、45を超える都市に拠点を置き、1000人超の起業家を支援してきた人物です。
興味深いのは、著者自身、具体的なアイデアをもとに起業を決意したわけではないということです。
「自分は本当は誰で、将来、何になりたいのか」と疑問を抱いていたとき、当時活躍していたビルゲイツやマイケル・デル、ハワード・シュルツといったスタートアップのCEOたちに影響を受け、アントレプレナーになることに決めたと言います。
その決意の後に、「世界中のアントレプレナーの起業と事業拡大とを支援する組織を立ち上げたらどうだろう」「大きな夢を抱く個人の力と、急成長する事業のエネルギーとを利用して、地元経済の活性化につなげる組織があったらどうだろう」といったアイデアが浮かび、エンデバーを立ち上げました。
しかし初めは、彼女の考えに理解を示してくれる人はいなかったといいます。こうした経験を通して、彼女は次のような教訓を得ます。
「そう簡単に理解は得られない。周囲と逆の発想をすることがアントレプレナーになるための第1歩だとするならば、周囲が最初から、こちらの考えを受け入れてくれることを期待してはならない。伝統的な道を歩んできた人が相手ならば、なおさらである。だから、自分と同じような考えに情熱を燃やす”変わり者”を見つけた方が話が早い」
本書ではこのように、エンデバーが支援してきた1000人を超える起業家をはじめ、著者自身が経験した数多くのエピソードとともに、起業家になるために必要な教訓がたっぷりと記されています。そのため非常にリアルで臨場感があり、読み応えがあります。
フェイスブックCOOのシェリル・サンドバーグや、リンクトイン共同創業者のリード・ホフマンらも絶賛している話題の一冊なので、起業に興味がある人はもちろん、会社員として新しい事業を立ち上げ成功させたいと夢見る人は、ぜひ読んでみてください。
THINK WILD あなたの成功を阻むすべての難問を解決する
起業家精神は、シリコンバレーやアントレプレナーだけのものではありません。これからの世の中は、誰であってもアントレプレナーのように考えて行動することが重要になってきます。
起業家精神とは、「アイデアを練り、批判をものともせず、支持者をプロジェクトに引き込んで、挫折を乗り越える」気概のこと。これがどんな種類の仕事にも必要であることは言うまでもないでしょう。
不確実な今の時代、「変化する」こと以外に、生き残るための確実な方法はありません。どんな人でも、リスクを負って自分を改革しつづけるスキル、つまり「起業家精神」を身につける必要があるのです。
本書は冒頭で、アントレプレナーを次の4つのタイプに分け、新しいネーミングをしています。そして読者に、4つのうちのどれかを選び自分の物語をスタートさせることを勧めています。
あなたは次のどのタイプに当てはまりますか? もしくはどのタイプの起業家を目指しますか?
ガゼルとは、アフリカからモンゴルにかけての草原や砂漠地帯に住む、足が速く、高く跳び上がる哺乳類のこと。そのため新規事業を立ち上げ、急成長しながら爆発的な社会現象を巻き起こそうとする、成長率の高い企業をこう呼びます。
FacebookやInstagramのような「起業家」と聞いて真っ先に思い浮かぶ伝統的なアントレプレナーをイメージしましょう。
ガゼルはアントレプレナーとして成功する術を熟知していると思われやすいですが、実際は何度も同じ間違いを繰り返すといいます。事業拡大を急いだり、すぐに本業から逸れたり、共同創業者と衝突したり。
本書では、ガゼルが犯しやすい失敗とその過ちを避ける方法がリストアップされているので、ガゼルを目指す人は必読です。
スカンクは「イントレプレナー」、すなわち社内起業家のことです。
社内起業家とは、「大きな企業のなかで、積極的にリスクを負い、イノベーションを重ねて、アイデアを利益の出る完成品に仕上げる責任を負う者」と定義されています。
福利厚生も退職金制度も充実している大企業で働く人からすると、「自分には起業家精神の話は関係ない」と思うかもしれません。しかし自分の会社は安定しているとか、自分の仕事は安泰だと思い込み、変化を起こすことを避けていては、いつのまにか取り残されてしまいます。
会社として生き残るため、そして個人が組織の中で生き残るためには、イノベーション能力と積極性、つまり「起業家精神」が求められるのです。
スカンクは、外敵を撃退するために強烈な悪臭を放つあの哺乳類です。大企業のアントレプレナーは、異臭を放つほど開発やプロジェクトに没頭するべきだという意味でこう呼ばれています。
ドルフィンは高い知性を持ち、ポッドという小さな群で暮らす社会的な動物です。また利他的な行動を示す数少ない動物でもあるので、「非営利組織」で働くアントレプレナーのことをこう名付けています。
これまでは「非営利」組織なんだから営利企業のようなビジネス手法を取り入れるべきではない、という考え方が強くありましたが、この10年ほどで「非営利組織もアントレプレナーのように考え、行動すべきだ」という考えが広まっていると言います。
なぜならアイデアを発展させ、影響力を発揮し続けるためには収益性を無視することはできないからです。だからこそ、古いしきたりに頑固に抵抗し、真の変化を求めて戦う「ドルフィン」が、今まさに求められていると言います。
4つのタイプのうちで急増中なのがバタフライです。チョウは種類が多く、自由で個人主義だからフリーランスタイプのことをこう呼びます。
またチョウは環境全体の健全性や良好性のバロメーターでもあり、多ければ多いほど健全なエコシステムと言えるので、フリーランスの存在意義とも重なります。
バタフライは、さらに個人事業主と小企業の2つのグループに分けられます。
最近、個人事業主タイプが増加しているのは、あらゆる世代に門戸が開かれていて、場所にとらわれることなく、マイクロベンチャーを立ち上げることができるからです。
小企業タイプの中には「ガゼル」を目指すアントレプレナーもいますが、大半は小規模のまま、地域に根差した事業を続けることで満足するタイプだといいます。
「起業家」といっても、このように様々なタイプがあり、働く人は全てこの内のどれかのタイプに当てはめられます。
「自分には起業なんて関係ない」と思っていても、変化の時代に生き残り成功するためには、誰もが「起業家精神」を持って自分を改革していくことが求められるのです。
本書は「1.始める」「2.成長する」「3.成功する」の3部構成となっており、それぞれのフェーズにおいて重要な教訓が惜しげもなく紹介されています。ぜひ読んでみてください。
THINK WILD あなたの成功を阻むすべての難問を解決する