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「商品が売れるまでのプロセス」をデジタルに変革するマーケティングDXにおいて、SNSによる集客は今や一般的な手法です。
2022年の国内ソーシャルメディアマーケティングの市場動向調査(サイバー・バズ、デジタルインファクト共同による/参考:ExchangeWire)においても、SNSマーケティングの市場規模は増加の一途をたどっており、その流れはデジタル化の流れの加速に呼応して、今後もさらに増え続けると予想されています。
今後のマーケティングDXにおいて、多くの企業にとってSNSは避けては通れないものになっていくでしょう。
そこで、まずはマーケティングDXにおけるSNS活用のメリット性について理解しておきましょう。
スマートフォンの普及により、リアル店舗で商品を購入するのではなく、スマホからオンラインで商品を購入するユーザーが増えています。
実店舗で購入する場合であっても、情報収集の方法が多様化した現代は、店舗情報などを検索する際も、Google検索に加えて、各種SNSでハッシュタグ(#)検索をかけ、情報を探すユーザーも多くなってきました。
マーケティングDXにSNSを活用するアプローチは、情報収集から商品購入までをスマホ1つで完結したいというデジタル社会の顧客行動に適しています。
SNSで自社商品に関心を持ってくれた顧客に対して、商品に関する情報などをしっかりと伝えつつ、スムーズにオンライン購入まで導くことができれば、顧客満足度の向上に直結するでしょう。
アナログからデジタルへの顧客行動の変化は今後ますます加速すると考えられます。
そのため、SNS運用などのデジタルを使ったマーケティングを実施していない企業は、ユーザーに自社商品・サービスの情報を届けにくい状況になることは避けられず、集客において大きな問題を抱えてしまうことにもなりかねません。
今や、消費者行動に即した販売アプローチを考える上で、モバイルフレンドリーという視点は欠かせない要素なのです。
デジタル社会の中では、良い商品・サービスを提供しているだけでは企業が生き延びていくことはできません。
潜在的な顧客に対してしっかりと商品やサービスの存在をアピールできる状況を作るためには、いち早くマーケティングDXに取り組み、スマホでの利用が多いSNSの活用を行っていくべきでしょう。
SNSで発信した情報は、各ユーザーが「いいね」や「シェア」などの機能を使うことにより、インターネット上で拡散していくという特徴があります。
SNSに投稿される商品やサービスに対する反応は、まさに顧客の声そのものであり、ポジティブなものであってもネガティブなものであっても貴重なデータです。
こうした企業の商品やサービスについて生の声を拾いやすいことは、商品やサービスを開発・改善を行う際に有効なだけでなく、万が一クレームに繋がるような点があったとしても事前にその予兆を捉えやすいという利点もあります。
SNSの情報拡散力そのものも大きな武器です。
これまでの情報発信ではよほどの大手企業でもない限り、全国的にテレビCMなどを流すことはできないため、自社の近隣地域で放送されるCMや新聞広告など、地域限定の情報発信になってしまいがちでした。
しかし、SNSを活用すれば、近隣地域だけでなく全国各地、それどころか世界に向けてグローバルに情報を届けることができます。
この発信力に、前述の「その情報を受け取った顧客のニーズをリアルタイムに探りやすい」というメリットが掛け合わさることで、SNSはマーケティングとして絶大な威力を発揮するのです。
顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)とは、製品やサービスを購入する過程も含めて、ある商品の購入の利用によって顧客が得る一連の流れ・体験のことです。
それは物理的・金銭的な価値にとどまらず、満足感や不満といった心理的・感覚的な価値も含みます。
当然ながら、その顧客体験が優れたものであれば、リピーターになってもらえる可能性が高まり、その体験が満足いかなければ継続的な購入・利用は見込めないばかりか、最悪の場合はSNSなどを通じたネガティブなイメージの拡散に繋がるおそれがあります。
製品やサービスの物理的・金銭的な価値を後から変更することは容易ではありませんが、一方で満足度などの心理的・感覚的な価値に関しては、アフターサービスの充実などによって、後からでも付加価値を提供することができるでしょう。
それゆえに、何かトラブルがあった際の企業側のサービスやサポートの質は、顧客体験に直結しているのです。
顧客体験向上のためには、常に顧客の視点でマーケティングを進め、何かあれば即座に修正・改善を行える体制を構築しておくことは重要な施策です。
SNSを通じて、リアルタイムに顧客の声を集めることで、素早く不満をキャッチし、その点を改善したりフォローすることができれば、企業に対する信頼が高まり、顧客満足度も向上するでしょう。
このように、マーケティングDXにおいて「顧客の声を即座に拾いやすい」SNSを活用することは、「顧客体験を根底から変革できる可能性」を秘めています。
製品やサービスに不満があったとしても、多くの消費者は企業に直接クレームを入れることはなく、単に「もう買わない」という選択をするでしょう。
これは企業にとっては、顧客とともに、自社の課題を認識して改善する機会を失ったということです。
SNSはこうした「これまでは企業まで届くことがなかったリアルな声」を拾い上げることができるツールなのです。
もちろんSNS上のコメント全てに対応する必要はなく、それぞれの「声」はあくまでもマーケティングのためのデータの1つに過ぎません。
しかし、こうした声をもとに、あらゆる場面で顧客体験の質を高めるための施策を行うことが、製品やサービスに対する顧客のロイヤリティ(信頼や愛着)を高めることに繋がるのです。
それは、ひいては企業やブランドの価値が高まることを表しており、企業やブランドのファン化を促進することにも繋がっていくでしょう。
これからのマーケティングDXにおいて、SNSを活用した情報発信が欠かせない事はおわかりいただけたかと思います。
続いては、企業がSNSを活用する際のもっとも有効な手段であるSNS広告にフォーカスして解説していきます。
SNS広告とは、WEB上でユーザー行動を分析し、SNSのタイムラインなどにユーザーが興味のある事柄に関連する広告を表示する手法です。
SNS広告は、自社の製品やサービスの存在をまだ知らないユーザーに対しても、積極的に広告を発信できる「プッシュ型広告」です。
つまりSNS広告とは、ユーザーを分析して、それぞれの興味関心にあった広告を表示させることアプローチであり、ユーザー自身も気づいていなかった潜在的な需要を掘り起こすことに特化した広告手法だと言えます。
それに対して、WEB広告として代表的なリスティング広告は、ユーザーが入力したワードに基づき広告が表示される「プル型広告」の仕組みに分類され、その代表格がGoogleのアドセンス広告です。
この手法を活用すると、すでに関連商品やサービスに関心があるユーザー、つまり購買目的が高いユーザーにフォーカスして広告を表示させることができます。
SNS広告 | プッシュ型広告潜在顧客にリーチができる |
リスティング広告 | プル型広告顕在層に印象を与える |
SNS広告に限らず、全てのWEB広告を目にした場合、顧客は次のような心理・行動の変化をたどります。
こうした消費者の「関心度(フェーズ)」に合わせて、提示する広告を使い分けることで効果が期待できます。
SNS広告は、特に潜在的な顧客層に「商品を認知させる」「興味・関心を向けさせる」という点に秀でた手法です。
また、自社のブランディングを構築するための最初のステップとしても非常に威力を発揮する手法なのです。
SNS広告を運用するには、まずは自社の商品やサービスを誰に届けたいのかや、広告を通じて何を達成したいのかを明確にする必要があります。
そうしたゴールを設けることで、運用計画や戦略を立てる際の指針を定めることができるのです。
SNS広告を検討する際に、「多くの人に自社の商品・サービスを知ってもらいたい」という思いから、「利用者が多いSNSを活用したい」と考える方は少なくありません。
確かに各SNSの利用者数は、すなわち「アプローチできる可能性がある人数」であるためこの考え方も誤りとは言えないでしょう。
とはいえ、SNS広告で効果を得るためには、自社の商品・サービスのターゲット層を踏まえて、SNSプラットフォームを使い分けなければなりません。
ターゲット層とずれたプラットフォームで発信してしまうと、どれだけユーザー数が多かったとしても、成果が出ないだけでなくマイナスブランディングとなってしまう恐れすらあるため注意が必要です。
そこで、まずはここで国内でユーザー数の多い、主要5大SNSのユーザー数とその傾向についてご紹介します。
(参考:WE LOVE SOCIAL/【2023年2月版】人気ソーシャルメディアのユーザー数まとめ)
SNS広告を効果的に活用するためには、上記のような各プラットフォームのユーザーの傾向や特徴を分析した上で、自社にあったSNSを選択することが不可欠です。
また、SNS広告は一度配信して終わりではありません。
情報が日々アップデートされ続ける現代において、SNSを通じて製品やサービスをアピールしていくためには、常に広告を改善し続けない限り、一過性の効果しか得られないでしょう。
そのため、実際に広告を運用する担当者は、クリック率(CTR)やクリック単価(CPC)、顧客獲得単価(CPA)などのデータを計測し、配信効果の記録と分析をした上で、その結果をもとに常により良いアプローチを追い求めていかなければなりません。
しかし、実際にこのようなタスクを担当できる人材は限られています。
まず、データを集めて分析するには、アナリティクスへの理解やスキルなどが必要です。
また、広告に過激な表現や倫理的に問題となる内容、差別と受け取られかねない内容などが含まれていた場合は、炎上に繋がるリスクもあり、結果的に企業の信頼性を大きく損なう問題にもなってしまいます。
そのため、企業内でSNS発信、および広告を担当する者には、DXリテラシー(データとデジタル技術の有効活用)とネットリテラシー(適切な判断と発信する責任)の2つのリテラシーがどちらも揃っていることが非常に重要となってきます。
トラブルを回避しつつ成果を上げるためには、なるべく豊富な経験を有する人材をアサインすることが望ましいですが、それが難しい場合であっても社内に適任者がいないことを理由に後回しにするのではなく、専門人材の登用などを含めて積極的に検討していくことが望ましいでしょう。
SNS広告では、それぞれのSNSごとに広告費用が設定されており、多くのSNSではユーザー行動(クリック数やインプレッション数、アプリのインストール数)の「回数」によって費用が算出されます。
つまり、これまでの広告で一般的であった「一枠いくら」という広告費の決め方ではなく、成果型の広告費算出方法です。
SNS広告は、広告配信のタイミングや見せ方を工夫することで、より広く拡散され予想を越えるアクセス数を得られる可能性があります。
この場合、広告制作費などに照らして、極めて高い費用対効果を生む場合もあるでしょう。
ただし、想定を越えたCVがあると、その分広告費用が膨れ上がる可能性もあるため、必要に応じて1日の上限金額を設定しておくことも重要な戦略となってくるでしょう。
加えて、企業のDX予算内に組み込むためには、そうしたSNSの広告費用だけを見るのではなく、DXやマーケティングの全体予算として費用対効果を算出することが必要となります。
マーケティングDXにおける企業の情報発信力をテーマに、SNS運用と広告戦略について解説しました。
SNS広告は、精度の高いターゲティングを活用して、認知拡大から購入に至るまでの様々なフェーズにおいて、幅広い層に対して「自然に」アプローチできるという特徴を持っています。
広告を出して終わりにするのではなく、常にデータを計測・分析し、運用と改善を行うことでさらに大きな効果が期待できる広告戦略なのです。
その他の広告戦略と比較して、よりユーザーにとって身近なところにあるSNS広告の仕組みは、既存のビジネスモデルを大きく変革させ、集客効率を格段に向上させる可能性を持った施策だといって良いでしょう。
そのため、特に中小企業がマーケティングDXに取り組む上では、真っ先に検討すべき戦略なのです。
これからマーケティングDXに取り組む企業、または、取り組んではいるけど今ひとつ成果をあげられていない企業は、この機会にSNSの重要性に対する理解を深め、ぜひとも貴社のビジネスに組み込んでみてください。
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