posted by しゅん

ボトックスとは?

ボツリヌストキシン注射療法(通称ボトックス)は、ボツリヌス菌という神経毒の一種を安全に活用できる形にした薬の作用で、筋肉や、汗腺の働きを抑制することで、表情ジワの抑制や、筋肉のボリュームダウンによる痩身効果、汗どめ効果などを期待して行う注入治療です。
手軽に受けられる美容治療として世界的に有名で、シワが刻まれる前の若いうちから始める事で将来的に出来るシワなどのエイジングサインを予防する効果もあります。

ボトックスでの失敗事例

ボトックス注射は多くの方に有用な治療法ですが、実際に受けた人の中には、「失敗した」「後悔した」と感じる人もいるため、本当に有効な治療法なのか? と疑問を感じる人も少なくありません。
ボトックスを受けた方から実際によく聞く失敗談をいくつかご紹介します。


1.笑えなくなった

口が開かない、顔が引き攣る、変なところにシワが寄るようになった…というような変化から、今までと同じように笑う(笑顔を作る)事が出来なくなってしまったというケースです。
表情筋が抑制されるため、注入の内容によっては確かに笑いにくくなるなど表情を作る事が難しくなる場合があります。

2.目が大きく開けられない

おでこボトックスを受けた方に多い事例です。
まぶたは通常であれば眼瞼挙筋という筋肉で持ち上げて開いているのですが、眼瞼挙筋が弱い眼瞼下垂の方や、加齢などによってまぶたの皮膚が垂れている方では眼瞼挙筋の力だけではまぶたを開ききれず、おでこの筋肉まで使って目を開いている事があります。
この場合におでこへボトックス注射をしてしまうと、元々目を開くときに使っていた筋肉の働きが抑制されるため、目を開ける時に瞼が重いと感じてしまうのです。
目を閉じた状態で軽く眉毛を指でおさえ、そのまま目を開いた時に眉毛が動くような方はこの失敗になるリスクが高いといえます。


3.全然効果がなかった

よくあるのが、えらボトックスや脹脛(ふくらはぎ)ボトックスといった痩身を目的として治療した場合に、「全く効果を感じなかった」というもの。
そもそもえらやふくらはぎを細くするためのボトックスは、筋肉そのものを細くしていくため効果がハッキリと分かるまで時間を要します。
治療1回では効果が感じにくく、少なくとも3~5回程度は必要になる可能性がありますので注意しましょう。

または、相場よりも安すぎるボトックスを受けて効果が無かったというケースも。
これはボトックスの薬剤そのものがしっかりと管理されていなかったり、有効濃度よりも薄められて使用されてしまっているようなケースが考えられます。
そもそもボトックスは薬剤の原価がある程度しますので、安すぎるところには注意が必要です。


4.表情が不自然になった

美容皮膚科や形成外科、美容外科以外でやった人に多い失敗ケースで、歯医者や、町の皮膚科などで治療を受けた方に多い印象です。
もちろん一般の皮膚科でも良い治療を受けられる事もありますが、ボトックス注射は筋肉同士の力関係などを十分に把握していないと適切な治療効果を発揮する事ができず、十分な知識や治療経験を持った医師の施術が必須です。

そのため、仮に美容専門のクリニックで受けたとしても、開業したてとか、そもそもボトックスの経験が浅い先生のところで受けた場合には同様の失敗に陥る可能性が高くなるといえます。


5.ごく少数の例

アレルギーが出た、腫れたなど、分かりやすく副作用が生じるケースです。

非常にレアなケースで、数年前に一度、SNSですごく腫れてしまったという方が写真を公開していました。詳細が分からないのでどういう条件下でそうなったかはわかりませんが、気の毒です。

例えば血管に入ってしまったとか、バイキンが入ってしまったとか、という場合でも腫れたりしてしまうので、そうならないよう術者が気をつけてさえいればまず起こらないけれど、術後に激しい運動をしたり、汚れた手で触ってしまったりしたら傷口から感染してそういうことも起こりうると思います。


ボトックスの失敗を防ぐためのポイント

1.ボトックス認定医指導医の治療を受ける

ボトックスビスタを販売するアラガン・ジャパン社では、注入についてボトックス注入指導医という認定制度を作っており、製剤を正しく使用し良い治療結果を得るための技術を持った医師を、注入指導医として全国のクリニックの医師に指導する仕組みを整えています。

その指導医であれば、注入の失敗が起こるリスクは極めて低く、また、その指導医から指導を受けて認定を受けている医師であれば正しい使い方を知っているので、失敗の可能性が低いでしょう。

また、認定指導医ではなく認定医となっている場合にも、注入方法を学んだいう証明ではあるため選択する一つの材料となります。
ただし、認定医と言っても、ビデオを見ただけで認定資格をもらえるという場合もあると聞いていますので、技術的に高いかどうかは実際の施術経験によるところが大きいというところが注意点です。


2.安すぎる料金(薬剤)の所は避ける

「ボトックス」というのは実は、アラガン社のボツリヌストキシン製剤の商品名です。ボトックスがボツリヌストキシン製剤の中でも代表的なものであるため、代名詞としても使われています。

ボツリヌストキシン製剤にはボトックスの他にも多種あり、韓国のリジェノックスやイノトックス、コアトックス、ドイツの ボコーチュア(ゼオミン)...等、色々とあります。

そしてこの中で唯一日本の厚労省認可をとっているものがボトックスビスタで、眉間と目尻の表情ジワへの効果としてボトックスビスタの治療が認可されています。

そういうアドバンテージもあるためボトックスビスタは比較的高価格になっていて、10単位で20,000円前後が相場という状況。
それに対して、韓国製のボツリヌス製剤は10単位3000〜9000円くらいと比較的安価でかつ価格設定の幅も広いです。

もちろん低価格な薬剤では効果を期待できないというわけではなく、医師の方に伺うと殆どのケースで「どちらも効果には大きな差が無い」と説明されますが、確実に効果を感じたいという方は、できればベーシックなボトックスビスタで様子を見た方がいいと思います。

その理由として、やはりボトックスビスタは世界的にみても基準が厳しいと言われている日本の厚生労働省から認可を受けているため、効果が十分にある事が確認されている薬剤ですので、ボトックスビスタで治療を受ける事で治療が体質や目的にあっているかどうかという判断がしやすいためです。
私個人の経験上でも、一番安定して効果を感じられるのはやはりアラガン社のボトックスビスタですので、最初はボトックスビスタでの治療を受けてみる事をおすすめします。

ボトックスビスタでも安すぎる場合は注意

ただし、ボトックスビスタを使用した治療であっても、その価格が12,000円よりも安かったら、要注意です。

なぜなら、ボトックスビスタの薬剤の原価は、50単位で5万円ほどであるため、10単位で最低でも1万円は取らないとクリニックが赤字になるという計算が成り立つからです。
そこに医師や看護師の人件費などもかかってくるため、大体のクリニックが15000円以上の価格を設定しています。

もし、あまりにも安い場合は、薬剤を薄めて使っているか、別の薬剤を注入している可能性があると考えられます。

これは私の経験談ですが、某大手チェーン店のクリニックで、ボトックスが8,000円と格安だったので、不思議に思い、実際に受けにいってみたところ、いつもよりも効果が出てくるのが遅く、また、効果の度合いも中途半端だったので、やはり厚労省認可のアラガンではないなと確信しました。
おそらく、薄めているか、違う薬を使用しているか、海外向けの商品を安く仕入れて保管状態が悪く薬が劣化しているか、どれかだろうと思いました。


ボトックスビスタ以外の薬剤でも医師の説明に納得できればOK

ボトックスビスタではなく、韓国製などの安い薬を使用する場合ですが、きちんと医師がボトックスビスタとの違いなどを説明し、それに同意の上で使用するのはいいと思います。

問題なのはボトックスビスタを使用すると表記したり、そう思わせるような説明をしておきながら、実際には他の薬剤を使用するといったケースですので、具体的にどの薬剤を使用するのかなどは治療前にしっかりと確認をしておきましょう。

3.ボトックスの施術頻度が高いクリニックを選ぶ

やはり注入治療は、とにかく経験値が物を言います。
形成外科専門医だからうまい、皮膚科だから下手、という物ではなく、経験を積むほど上手くなります。
またそれだけではなく、施術頻度が高いクリニックということは、製剤が大量に安く手に入れることができるという事になります。そのため、ズルをして製剤を安く購入する必要もないですし、新しい薬を手に入れるサイクルが早いので、薬が劣化する前に使い切ることができます。
なので、技術的な失敗リスクと、製剤の劣化による効きが悪くなるリスクを避けられます。


4.失敗したからと言って慌てない

術後腫れた、具合が悪くなった、など、トラブルが起きた場合は、すぐにクリニックに相談してください。

それ以外の、効果を感じられなかった、仕上がりが気に入らなかった、等の事情で、SNSで怒りの投稿をしたり、先生を批判するのはやめましょう。

ボトックスは、3カ月〜半年で効果が切れますので、放っておけば元に戻ります。仕上がりが不満だからと言って一生後悔するようなことではないので、慌てなくても大丈夫です。

また、初めていったクリニックであれば、先生も想定外の仕上がりになってしまうということはあり得ますので、その場合は、先生にもう一度相談して次回に打つ箇所を相談するとか、効果が出過ぎてしまったというのであれば2回目は少し少なめに打ってもらうなど調整が可能なので、一旦相談してみることをお勧めします。

私の場合はえらボトックスを打ちにいった時に、もともとそんなに張ってはいないので、半分の量で十分ということで、半分の量で打ちました。実際それで効果があったので、別のクリニックで受ける時にもそれを伝えて半分にしてもらっています。


5.痩身系は、効果が遅い場合や、たるみが出る場合なども想定しておく

ふくらはぎに関しては、1回で効果が出る人もいれば、3〜6回など繰り返さないと効かない人もいます。なので、1回で効果が出なかったからといって、「効かなかった!」と決めつけずに、様子を見てみましょう。

また、えらに関しては、35歳位以上になるとえらが萎むことでたるみが出たり、頬がこけたりする人が多いそうです。それも踏まえて受ける必要があります。

効果が実感できなかったからといって「えらボトックスはやらない方がいい!」と自分の経験だけで人を巻き込む人が多くいます。気持ちはわかりますが、全員が全員同じ結果になるとは限りませんので、自分がうまくいかなかったからといって、その施術を全否定するのはやめましょう。

ボトックス施術のいいところ

私の顔を見てください。不自然に感じますか?
実はボトックスは10年くらい前からやっていますが、今どこに打っているか見てわかりますか?
正解は、おでこ、眉間、目尻、小鼻、えら
です。

たまにSNSで見かける、「ボトックスは変になる! 自然が一番!」という人もいますが、人それぞれの考えです。私は、ボトックスをしている自分の方が好きです。

つい顔をしかめてしまうと眉間にシワがよって怖い印象を与えてしまうし、おでこもつるんとしていた方が疲れた印象を与えず相手も気持ちがいいと思います。
笑いジワも、嫌いではないのですが、私は目元がかぶれたりしやすくメイクもあまりできまないため、その代わりにシワを止めるということで薄めのメイクでも可愛くいられると自分では思っています。
思いっきり笑っても、シワを気にせずいられるので、逆に表情が豊かになった気がします。

ボトックスで失敗したと感じる人や、やってみたいけど失敗が怖いという方は、まずはボトックスの上手な先生のところに受けにいってみてください。それでも、やらなきゃよかったと思うなら続けなくても良いですし、メリットを感じられたという方は、続ければいいんだと思います。

ボトックスは整形ではなく、予防のための美容治療です。効果が切れればまたもとに戻るというのもある意味で安心できるところです。
シワが深くなってから直すとなると整形が必要になるかもしれませんが、より自然なままきれいでいたい方にとっては、ボトックスを味方につけるととても頼れる存在なのです。 

情報提供元: 女美会
記事名:「 【ボトックスの闇】やらない方がいい? 失敗事例から学ぶ、対策と選び方