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資生堂の初の試みとして開発されたIotアイテム「Optune」。スマートフォンアプリと連携して、その日の肌状態に合わせてスキンケアコスメを調合してドロップしてくれるマシーンを使ったスキンケアシステムです。
マシンには個人に合わせた5つのカートリッジがセットされ、それぞれ保湿や美白、ハリケア、紫外線ケアなどそれぞれ目的の違う美容液が用意されています。
利用者は専用のスマートフォンアプリで、日々肌を撮影すると、その都度アプリが自動で肌状態を解析してくれるので、肌変化などを目に見える形で記録・閲覧できます。
オプチューン利用までの流れは下記の通りです。
①下記専用ページより資生堂オンラインショップ(ワタシプラス)に会員登録 *すでに会員の方はログインのみ
②オプチューンサービス利用登録(サービス利用開始)※
③App Storeよりオプチューンアプリをダウンロード&ログイン
初回カートリッジ・マシンの手配完了
⑤マシン到着
マシン初期設定
⑥お手入れ開始
この手順はかなり細々とやることが多いので、一つ一つ解説していきます。
もし、早く利用したレビューなどがみたいという方は、次の項目まで読み飛ばして結構です。
①まずは資生堂のOptuneのサイトで利用者登録から。
名前などの個人情報や届け先データ、そして費用は毎月自動引き落としなのでその支払い設定なども行います。
肌質やライフスタイルなどに関するいくつかの質問にも回答します。
②次に専用アプリをダウンロードし、Optuneの利用設定をします。
これを終えないとOptuneは手元に届かないので、忘れずしっかり行いましょう。
アプリでは肌診断なども行い、これによってOptuneにセットする5種類のカートリッジの組み合わせが決まります。肌診断はスマートフォンのカメラを使って肌を撮影して行いますが、コツが要りますので動画のチュートリアルをよくみて実行してください。
ここまでの流れはOptuneの申し込み画面から順番に案内通りに進めれば特に事前情報がなくても問題なく利用開始できるのですが、私の場合はアプリをダウンロードしただけでうっかり設定を完了しておらず、1週間ほど待ってもOptuneが届かなくて、サポートに連絡したら、実はアプリ上でも色々と設定をしないといけないことにその時気がつきました。しかし、その忘れている期間もすでに利用料金は発生していたので、1週間分無駄にしてしまいました。皆さんもご注意ください。
③マシン本体が手元に届いたら初期設定をします。
まずは自宅のWiFiにマシンとスマートフォンのアプリを接続させる作業から。この段階で、なんども接続エラーが出てしまい、流石の気長な私もイライラし始めてしまいましたが、気を落ち着かせながら何度か挑戦し、ようやく接続(マシンとアプリの同期)が完了。うまくいかないと手順を遡って行ったりしなければならず、機械音痴の人はだいぶ苦戦しそうです。専用カートリッジが5本同封されており、こちらもこの流れの中でマシンにセットしていきます。一度失敗すると途中からやり直すのが困難なので、ゆっくりと慎重に設定マニュアルをみながら行なっていきましょう。もしくは、機械に強い人に頼みましょう。
ついつい面倒でマニュアルや取扱説明書を読まずに使ってしまうという私みたいなガサツなタイプの人は、特にご注意ください。必ずこのマニュアル通りにやらないと、利用がスタートできません。
ようやく初期設定が完了したところで、早速1回目のパーソナルスキンケアをやってみました。
スマートフォンでアプリを立ち上げ、今の気分とスキンケアの時間帯を選択し、肌の写真を撮ります。
(写真の撮り方はコツが要ります。うまく撮れるまで何回かトライしているうちにお肌がどんどん乾燥していってしまうので、撮影は鏡の前などでフォームなどを確認しながらやると確実です。)
アプリが撮影した肌の写真から肌状態を自動解析します。
肌状態の評価は
・キメ
・水分
・皮脂
・毛穴
の4項目。
その状態に合わせて5種類のカートリッジから適量を自動で調合され、Optuneに手をかざすとそこにコスメが手のひらに抽出されます。
コスメが抽出される瞬間は、ウィーンという機械音とともに一気にビチャっと手のひらに落ちてくるので、無機質な感じでなんとも言えない微妙な気持ちになります。
こういう感覚は初めてなので、表現しようがないですね・・・。
1回分はちょっと少なめでは? と感じる量です。これをお肌に塗ってスキンケアは完了。
・・・なのですが、私の場合は2〜3分もすると肌がかさついてきてしまったので、追加でOptuneを使用することが多かったです。
利用を続けていくうちに気づいたのですが、アプリには肌チェックと記録以外にもいくつかの機能がついていて、睡眠管理機能もありました。確かに肌メンテナンスに睡眠は大きな要素の一つなので、興味深い。
そう思い使ってみたのですが、これは検証したのが私なのがいけない。もともと寝つきが悪く睡眠時間短めの私が利用すると、肌にとってはとても残念な計測結果しか出ないのは目に見えていたので、納得というか、当然というか・・・。
月額10,000円(税抜)のサブスクリプションです。
使い放題ではなく、基本的には朝夜2回が1日分として1ヶ月間使えて、プラス数回分は余分に使えるくらいはあるのですが、あまりに高頻度で使いすぎると制限がかかるようです。
カートリッジはなくなりかけたら自動的に新しいものが追加で届くようになっています。
洗顔後、スマホで肌診断を行ってから、その結果をもとにOptuneからコスメが出てくるのですが、この間、肌に何もつけていない状態なのでどんどんお肌が乾燥して行っていくのが気になりました。日によっては、マシンの立ち上がりが遅い時があり、再設定時間を含めると數十分かかることも。
さらに、スマートフォンを持っての作業があるので、そのままの手でスキンケアする場合の衛生面が気になりました。洗顔→スマホで肌診断→手洗い→スキンケアという手順がどうも面倒に感じました。
肝心なスキンケアよりもその前の段階で不満が・・・^^;。
1回分の抽出量を顔全体に塗った後、私の場合だいたい数分後にはすでにかさつきを感じてしまいました。それでもしばらくはそのまま1週間ほどOptuneが出してきたものだけでスキンケアしていたのですが、やはり日中のかさつきや化粧ノリの悪さ、くすみ感が気になってきてしまったので、最終的には1回のスキンケアで Optuneを2回使うか、Optuneを使った後に自分でも手持ちのコスメでプラスでケアするのが現状では一番良かったです。
私の場合は特に乾燥しやすい肌質というのもありますが、そういう肌質もちゃんと考慮した上で抽出内容が改善されるシステムになっていなければ、このシステムそのものが無意味なのでは? と感じてしまいました。
コスメのテクスチャや肌馴染みは、さすが資生堂だなという感じで良かったのですが、抽出のされかたや香りなどの”美容的演出”がほとんどないので、コスメを使うというよりも薬を塗るような感覚に近いです。香りの良さに心ときめくようなスキンケアではないので、かなり機能性特化型と感じました。
ですが、肌診断の時に気分を「NOT GOOD」を選択すると、ラベンダーっぽい香りのコスメが抽出されます。
システマチックにスキンケアが可能という特徴から考えると、現状では、女性よりも、男性の方がハマるかも知れません。
パーソナライズスキンケアの要は
・肌診断の精度
・それに基づき抽出されるコスメの効果
の2点に尽きると思います。
が、例えばOptuneでスキンケアする前と、後で肌診断してみても、後の方が結果が悪かったり、また使い続けても肌診断の結果が良くなることがなく、きちんとケアできているという実感が得られませんでした。
肌診断の精度が低いのか? それともコスメの調合が悪いのか? 何れにしても、この点についてはまだまだ改善の余地ありでした。
Optuneの良し悪しのジャッジポイントは、自分でコスメを選んでやるのとどちらが良い肌状態になるのか? というところに尽きると思います。
Optuneは肌状態の診断内容が悪いのか、コスメの調合が悪いのか、成分が悪いのか、抽出量か、どこがボトルネックになっているかはわかりませんが、確実にどこかに課題があるので、現状では低評価になるのは否めません。
しかし、このシステムそのものは大変評価できるものではないでしょうか。
マシンそのものの機能は、その精度はともあれ、「こんなにテクノロジーって進んでいるんだ」とワクワクさせてくれます。
あとはどんどん利用者を拡大しつつ、利用者の声を拾って改善していけば、とても利用価値の高いものになるはずです。
Optuneが判断するのはキメ・水分・皮脂・毛穴の4項目で、それぞれのバランスが整うように、5種類のコスメ(モイスト・ブライト・マインド・UVケア・プロテクト)がOptune的価値観にもとずくベストコンディションによって調合されます。一方個々人のスキンケアの趣向性を考えると、例えばもっと毛穴に特化させたいとか、くすみが気になるからそこを補強したい、といった場合に対して、ケアの「正しさ」という部分で不整合が生まれてしまいます。
私と同じように、美白とか、ハリとか、仕上がりの質感とか、スキンケアに自分なりのこだわりを持っている人にとっては、「自分にとって最適なケア」と呼ぶのには現状のOptuneは不足の状態。
では、スキンケアに特にこだわりがなく、ベーシックな保湿ケアさえできれば良い、という方にとっては十分か、と言えばそうではありません。そのような方が毎月1万円のコストと肌診断という手間をかけてまでスキンケアはしないでしょう。
ただし、毎日肌診断ができて、それに応じたケアができるという点は、今後その正確性などの進化が楽しみでもあるので、例えば自分が使いたいコスメと併用して利用するのであれば、今後も使い続けたいなと感じました。
オーダーメイドのスキンケアができるという部分については、現状ではまだまだ物足りない部分はありつつも、Optuneにはとても大きな未来を感じました。
将来的に化粧品成分の見直しや、肌診断の正確性、そして個人の求める趣向性などに添える形になれば、誰もが簡単に適切なスキンケアができるようになるのではないでしょうか。
しかしここで、美容愛好家やコスメ愛好家の皆様のこんな声が聞こえます。
「コスメは、その容器の美しさや香り、製品のコンセプトなどが楽しみとして大きいのだから、機能性だけを重視したものではコスメを使う満足感は満たされない」
確かに、コスメを一つの作品と捉えて、それを所有して日々そのデザインや使い心地などに心をときめかせるのも、美容の楽しさの重要なポイントです。それはそれとして、一方Optuneのような機能に特化したものもまた、本当にお肌のことを考える人にとっては「自分にとってのベストケア」を簡単に叶えられるものになる可能性があり期待できるものだと思います。
そして、私が一番期待していること、それは、Optuneの”メディア”的要素です。
これはあくまでも私の想像ですが、Optuneは単なる個人が使うコスメの代替品ではなく、新商品や新成分などをいち早く試すことができる、いわば宣伝媒体になりうるのではないでしょうか。
とても近い例が、ネスカフェのバリスタを使った、ネスカフェアンバサダーというサービスです。ネスカフェのコーヒーなどのドリンクを自動で抽出するマシン「バリスタ」を職場に無料で貸し出し、様々なコーヒーの中から好きなものを1杯ずつ低価格で入れられるというサービスです。ユーザー側からすれば、職場で本格ドリンクを低価格で飲めるし、ネスカフェ側からすれば、ドリンクを継続的に販売できるチャネルができるということで、双方にメリットがあります。
ネスカフェのバリスタは、この無料貸し出しによって、全国45万件にも及ぶ申し込みを集めました。ユーザーとメーカーがバリスタを介して繋がるということで、単純にコーヒーの販売というだけでなく、例えば新製品のサンプル提供によってユーザーの生の声を集めたり、他の企業とのコラボ商品でコラボ相手の広告媒体として利用したりと、かなり幅広く活用されています。
(参考画像:「ネスカフェ ドルチェ グスト」と「カルビー フルグラ」コラボ 100種類以上のレシピを楽しめる「泡ふわ温フルグラ」の広告イメージ
このような事例からもわかるように、Oputuneも企業とユーザーをつなぐパイプとして、幅広く拡大すると、それぞれがとても強い繋がりの大きな媒体となる可能性が見えます。
Optuneは、資生堂の製品はもちろんのこと、他社製品や新しい成分などのカートリッジをユーザーのもとに届け、それを使った時の肌変化のデータをもとに商品の改善などをしていけるのではないかと考えます。
ユーザーとしても新しい商品や機能性成分を試せることや、より自分の肌に求める結果に近くスキンケアができるようになります。そしてメーカーとしては、他社とのコラボによる広告収益化も可能ですし、肌診断機能を活用してビッグデータを集積しより高い品質のコスメ開発に役立てることができます。
単純に、個人のスキンケアの簡略化、というもので終わらせずに、もっと有益なものとなって広がっていくことを期待しています。
Optuneの魅力のうち
・個人の肌状態を自動で素早く解析
・美容液を自動で調合
・スマホ操作以外はハンズフリー
という3点に着目すると、エステティシャンなどのプロの方々にとっての利用価値が見えてきます。
例えば、お客様の肌チェックをした上で、美容液が勝手に調合されて出てくれば、エステティシャンの手間も省けますし、エステティシャンの知識や経験関係なく美容液調合の質が安定化されます。
また、キャップの開け閉めなどの手間も省けるので、スムーズにサービスを届けられそうです。
将来性を考えれば、という点については先にお伝えした通りですが、現段階で利用することを考えれば、下記のような方には利用価値を感じてもらえそうだと思います。
・男性でスキンケアを始めたいが、コスメ知識がそれほどない方
・忙しく、コスメを色々と選んでいる時間がない方
・肌調子を崩しがちで、ベーシックなスキンケアで調子を取り戻したい方
・美容液だけはこだわりたいけどそれ以外はこだわりがない方(好きな美容液の後にOptuneを使う)
などです。
現状ではまだまだ気になるところは多くありつつも、私がつかっている間にも機能やケアの内容がどんどん改善されていくのが見えて、今後の進化が楽しみになりました。このようなパーソナルなケアができるマシンは、未来のテクノロジーという感じがして、なんだかワクワクしますよね!
気になっている方はまず1ヶ月だけでも試してみてはいかがでしょうか。