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脱毛でいう「出力」というのは、主に機械が照射する光の強さの事を指しています。
光の強さというと何となく眩しいかどうかというイメージですが、脱毛の光の強さでは毛を温める強さなので、出力が高ければ熱く、低ければそこまで熱くないという形で想像すると良いでしょう。
医療脱毛でも光脱毛でも、脱毛の光の強さはよく「ジュール(J)」という単位であらわされます。
ジュールという単位については殆どの人が馴染みのないものかと思いますが、ものを温める力の程度に換算するなら、1ジュールは2.4㎎の水を0℃から100℃に温める熱量。
計算から言えば、420000ジュールの強さであれば、1リットル(1000g)の水を0℃から100℃に一瞬で引き上げて沸騰させる事が出来るという事になります。
もちろん、脱毛でそんな強い光を照射したら大やけどになってしまいます。
脱毛で利用される光の強さについては、医療レーザー脱毛であれば8~40ジュール程度。エステサロンの光脱毛でいえば8~20ジュール程度です。
エステの方が低い理由として、やはり出力が高い光での照射はヤケドなどのリスクも高く、そもそも法的に利用する事が出来ないため、人体に対してトラブルが起こらないであろう20ジュール程度が限度となっているようです。
20ジュールというとなんだかすごく弱そうな気がしますが、毛の重量が1本1㎎にも満たない事を考えると、20ジュールの光エネルギーが毛に集中されれば100℃を超える温度に一気に上昇しますので、毛根の細胞にダメージを与える脱毛の効果はしっかりと発揮する事が出来ます。
以上のように、脱毛の「出力」や「パワー」は、大きければ大きい程高い熱を発生させる事となりますので、細胞へのダメージは大きくなります。
しかし、実は出力が強ければ脱毛の効果が高いかというと、そう単純なものでもありません。
それはなぜかと言うと、まず一つ目の理由として、光のエネルギーが全て毛に集中するわけでは無いから。
脱毛は肌に埋まっている「毛根」部分の毛に対して光のエネルギーを当てる必要がありますが、実際にはその多くが肌表面などで吸収されてしまいます。
そして、毛根部分にどの程度のエネルギーが残りやすいかどうかというのは、光の種類(周波数)によって違いがあります。
光には「紫外線」や「赤外線」など色々種類があり、例えば紫外線は肌表面で吸収されやすく、赤外線の方になるにつれて細胞の奥、肌の奥の方までエネルギーが届きやすくなというような違いがあるため、丁度毛根部分に到達するような種類の光を使えば脱毛の効果は高く、それ以外の光が多ければ脱毛の効果は低くなります。
脱毛に利用されるマシンはそれぞれ使っている光の種類が異なり、例えばよく医療脱毛で使われるアレキサンドライトレーザーは肌の浅めの位置にエネルギーを蓄積しやすく、YAGレーザーであれば深めの位置にエネルギーを蓄積しやすいという違いがあります。
狙っている位置が違うので、当然効果にも違いがあり、同じ20ジュールで照射したとしても腕など毛根が浅い毛はアレキサンドライトが向いていて、男性のヒゲやVラインなど毛根が深い毛はYAGレーザーの方が向いているという形になります。
更に、これが医療脱毛ではなくエステ脱毛の場合は差がより大きくなります。
その理由としては、エステサロンで利用されている光脱毛は医療レーザーと違い、色々な種類の光を照射しているので、毛根に届きやすい光もあれば肌表面に吸収されやすい光もあるといった状態。
そのため、同じ20ジュールの出力とはいっても毛根部分に集中するエネルギーが少ないため、その分効果も弱くなってしまうのです。
もう一つ、出力がそのまま効果の高さに繋がらない理由は、脱毛機によって照射する範囲や速度が異なるという点があります。
脱毛に利用される出力の強さ「ジュール」は、1本の毛に対する光の強さではなく、一回の照射に対する強さであるため、一回の照射範囲が広ければ毛一本に対するエネルギーは割合として少なくなります。
また、光が照射される時間についても、ゆっくりと照射されればその分エネルギーが分散するため、レーザーの照射されかたによっても効果が変わります。
この他にも、日焼けしている肌は毛根に対してエネルギーが伝わりにくく、逆に白い肌は弱い出力でも毛根へのアプローチがしやすいなど、肌質によっても脱毛効果は変わってきます。
こういった変化も考慮して適切な出力を設定する事が、脱毛の効果を最大限発揮するために重要なポイントとなりますので、単純に出力が高い機械だから良い、出力が低い機械を利用しているから悪いというものではなく、色々な脱毛機の特性をしっかりと理解し、最適な脱毛を行える知識を持った所で施術を行う事が、最短で満足する結果を得るために必要です。