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2016年が「VR元年」と呼ばれて久しいが、2017年はVR飛躍の年になるのだろうか。
イギリスのブリストルで開催される映画祭、Encounters Film Festivalで、VR映像作品のショーケースが開催されるのは2017年で2度目となる。
だが、前年と違うのは、今年のそれはコンペという形式で開催され、優勝者には1000ポンド(約14万7,059円)の賞金が授与されるという点だ。
コンペはImmersive Encountersと題され、VRでのストーリーテリングの可能性をユニークなアイデアで実現する映像作家の参加を呼びかけている。
Encounters Film Festivalは1995年から続くショートフィルムとアニメーションの映画祭であり、新人クリエイターの発掘や支援、およびプロモーションを主なコンセプトにしており、全世界のクリエイターの作品を募集している。
映画祭の核となるのがコンペ(Encounters Festival International Competition)であり、グランプリ受賞者の作品の中にはアカデミー短編映画賞の候補にも選ばれるものもあるという。その他にも、
・BAFTA(英国映画テレビ芸術アカデミー、英国アカデミー賞を主催する団体)
・ヨーロピアン・フィルム・アカデミー(ヨーロッパ映画賞主催団体)
・カートゥーン・ドール(ヨーロッパ圏で製作された短編ショートアニメに贈られる賞)
などの数多くの世界的な映画賞への登竜門としての役割も持っている、新進気鋭のクリエイターにとって重要なフェスティバルだと言える。
Immersive Encountersに応募できる作品はVR、AR(拡張現実)、360度動画作品であり、映画祭のオフィシャルサイトを通して作品を応募することが出来る。
応募は5月23日まで受け付けており、映画祭は9月19日〜24日の約1週間にわたって開催され、イギリスのブリストルで行われる。
インディペンデント映画祭として有名なサンダンス映画祭も、2017年からVRコンテンツやARプロジェクトをラインナップに加えるなど、今後VR/ARが映画業界に浸透する速度は加速していくだろう。
※サンダンス映画祭でVR上映された、Oculus Story Studio製作のVRアニメーション、”Dear Angelica”。
一方で日本では、スマホVRをプラットフォームとする「攻殻機動隊Virtual Reality Diver」が先日一般公開された。
VR空間に没入して、精緻に作り込まれた戦闘ロボットの3D映像が、自身の身体を通り抜けていくような斬新な感覚に衝撃を受けた人も多いのではないだろうか。
また、KA0RU氏が製作したVR絵本「博士と万有引力のりんご」を観ると、VRというプラットフォームが映画を「観るものから、体験するものへ」と変えうるポテンシャルを秘めていることが分かるのではないだろうか。
Encounters Film FestivalのディレクターであるRich Warren氏は、VRがストーリーテリングにもたらすポテンシャルについて次のように語っている。
ストーリーだけでなく、カメラワークや被写体の映し方なども含めて、2D映像よりも作家の個性が強く出るVR映画。
Immersive Encountersの選考基準に「VR技術の使い方の面白さ」を挙げている点を見ても、それは単なる技術的側面のアピールにとどまらない、映画の持つ新しい可能性を切り開こうという姿勢が垣間見える。
今後、このような実験精神豊かなインディペンデント映画シーンがさらに普及して、VR映画シーンが草の根レベルで普及することを望まずにいられない。
現在は、VRテクノロジーに、ハプティクス(触覚)を加味して、バーチャル空間での体験をより現実世界でのそれに近づけようとする実験も、多くの開発者が取り組んでいる。
これら新技術の融合と、従来の映画の文法とがクロスオーバーする場所には、どんな新体験が待っているのだろうか。
2017年は、今までに体験したことのないVR体験ができるチャンスが、誰にとってもより身近なものになることだろう。
参照元:VRFocus
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