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HTCが中国でのVR産業発展を狙って昨年設立したIVRAことthe Industry of Virtual Reality Alliance。VR産業に関わる企業と機関が多数参加するこのIVRAから、VRヘッドセットの標準仕様が発表された。
歴史のあるマシンではなく、新しいデバイスであるVRヘッドセットには明確な基準が存在しなかった。そのため、これまでは各企業が独自に設計・製造・検査を行ってきた。
技術の黎明期にはそういった段階も必要だが、基準が無いために比較しにくいのが消費者にとっては不親切だ。また、あまりにも質が低いものが製品として出回ってしまうことも考えられる。
今後はIVRA参加団体にとって、今回の文書がVRヘッドセットに関わっていくときの基準になると思われる。
昨年の9月に設立が発表されたIVRAだが、設立のニュース以降は目立った動きがなかった。そのIVRAにとって初めての大きな発表がこの標準仕様となる。
標準仕様は正式には「General Specifications for Virtual Reality Head-Mounted Displays」(VRヘッドマウントディスプレイの一般仕様)と題されており、中国の産業情報技術省(MIIT)の支援を受けて作成されている。
MIITはIVRAの設立時から支援をしているとされているので、中国政府との良好な関係は続いているようだ。
この標準仕様はモバイルベースのVRヘッドセット、または有線接続を必要とするより高性能なVRヘッドセットの設計・製造・検査とテストに関する手引きとなる。この文書は、VRヘッドセットに関する守らなければならないルールというわけではない。あくまでもガイドラインだ。
IVRAの参加企業が必ずしもこの文書に従って独自のVRヘッドセットを設計する必要はない。しかし、この基準を守ることで他のヘッドセットとの比較・検討も容易になる。購入を考えている消費者にとって、最低限のスペックを満たしていることを確認できるのは後押しになるだろう。
各団体がこのIVRAの基準を満たす製品を作るようになることで、VR業界全体の発展にも繋がるかもしれない。低品質のVRヘッドセットの体験で消費者をガッカリさせることがないように、安定したVR体験を提供することが求められている。
実際の仕様はまだ発表されていないが、まもなく中国で発表されるだろう。
これまでにあまり活動の様子が見えなかった団体であり、世界的なものではなく中国の団体ということであまり目立たなかったIVRA。中国におけるVR産業の活性化を狙って設立されているので、日本には関係の薄い団体だと思われてしまっても仕方がない。
しかし、実はかなり強い影響力を持っていそうなことも事実だ。このIVRAにはサムスン、ノキア、AMD、Ubisoft、NVIDIAといった世界的な企業も参加している。中国国内だけを対象にした中小企業の連合というわけではないのだ。
中国ではVRを教育に取り入れる取り組みなども積極的に行われている。政府がVRの利用に前向きなこともあり、VRに関する実験を行う場としても適切だ。IVRAに参加する団体が中国で試験運用後、サービスを世界に拡大するといった展開も増えることが予想される。
そうなれば、地理的に近い日本にも早い段階で進出してくるだろう。2017年には、今回の標準仕様に合わせた中国発のVRヘッドセットが日本にもやってくるかもしれない。
参照元サイト名:UploadVR
URL:https://uploadvr.com/htcs-ivra-introduces-vr-headset-standard/
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