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VRヘッドセットの画質を評価する場合、平面ディスプレイをレンズを介して見るという構造上、平面ディスプレイでは考慮されなかった仕様をも参照しなければならない。
VRヘッドセットの画質を評価するために参照すべき仕様は、以下のようなものである。
上記仕様のうち、リフレッシュレートとは1秒間にディスプレイに画像を描画する回数を意味しており、この数値が高いほど動きが滑らかに見える。
VRヘッドセットの画像の精細度(きめ細かさ)を決定するのは、画素数と視野角である。だが、この両方の値が高いほど良い、というわけではない。
VRヘッドセットの画質を最も左右する指標は、画素数と視野角から導かれる「視野角あたりの画素密度」だ。「視野角あたりの画素密度」とは、視野角1°あたりに存在する画素数を意味する。
この「視野角あたりの画素密度」を計算するには、VRヘッドセットにおける片目に見えるx軸方向の画素数を、視野角で割ると導き出せる。例えば、VIVEの場合、片目で見えるx軸方向の画素数が1080ピクセルで、視野角は110°なので「視野角あたりの画素密度」は約10となる。
なお、画素密度に言及される場合、「平面ディスプレイ1インチあたりの画素数」として定義されることがある。この画素密度は、ディスプレイの性能を反映しているものも、視野角を考慮していないのでVRヘッドセットの画質を評価する指標としては不適切である。
それでは、この「視野角あたりの画素密度」でヒトの肉眼を評価すると、どうなるのか。
ヒトの肉眼は、視野角1°につき60ピクセルまで識別できると言われている。この限界値から考えると、ヒトは同じ視野角の範囲で見えている60 x 60ピクセルの画像と、90 x 90ピクセルの画像は「同じ画素密度」として認識していることになる。
ヒトの肉眼の限界が「視野角1°につき60ピクセル」というと、ずいぶんと限界値が小さいように思われる。しかし、「視野角あたりの画素密度」で既存のVRヘッドセットを比較すると、肉眼に遠く及ばないという事実が判明する。
「視野角あたりの画素密度」で比較したVRヘッドセットの性能は、以下の表のようになる。
VRヘッドセット名 | 片目で見える画素数 | 視野角 | 視野角あたりの画素密度 |
---|---|---|---|
Oculus DK1 | 640 | 90 | 7.1 |
OSVR HDK1 | 960 | 90 | 10.7 |
HTC Vive | 1080 | 110 | 9.8 |
製品版Oculus Rift | 1080 | 110 | 9.8 |
(ヒトの肉眼) | 7200 | 120 | 60 |
参考までに、ヒトの肉眼の眼界値にもとづいて算出した数値も併記した。なお、ヒトの肉眼の視野角である120°は、両眼視における数値である。
表を見るとわかるように、VIVEおよびOculusの画素密度は、ヒトの限界値に対して1/6以下なのだ。
画素密度による画質の違いを、平面画像で再現すると以下のようになる。なお、以下に示す画像サンプルは、平面オブジェクトなので、同じ画素密度のオブジェクトをVRヘッドセットで見ると多少異なった印象となる。
画素密度が「60」の画像と「7.5」のそれでは、歴然とした差があることがまさに「一目瞭然」だ。だがしかし、この画素密度「60」の画像とその1/8にあたる「7.5」のそれと似たような違いが、ヒトの肉眼の限界値とVIVEおよびOculus Riftで体験する画素密度のあいだにあるのも、歴然とした事実なのだ。
まとめると、VRテクノロジーは画質においてさえ、まだ進化の余地が多く残されている。VRの世界は、もっと「きれいに」なれるのだ。
VRヘッドセットの画質に関するRoadtoVRの考察記事
http://www.roadtovr.com/understanding-pixel-density-retinal-resolution-and-why-its-important-for-vr-and-ar-headsets/
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