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RoadToVRがGear VRをポジショナルトラッキング対応に改造してしまった大学生の研究結果を取り上げている。昨年行われたこの研究では、Gear VRにSteamVRの技術を用いたポジショナルトラッキング機能が追加された。
Samsung Gear VRのようなモバイルVRヘッドセットは、PCベースのヘッドセットと違って煩わしいケーブルが無くて小型なので扱いやすい。しかし、その場で頭の向きを変える動きしかトラッキングすることができない(回転トラッキング)。
回転トラッキングだけでも、一つの場所に座るか立った状態でぐるりと回りを見ることはできる。主人公が座った状態だったり、一つの部屋だけが舞台となっていたり、視点が固定された状態が自然に感じられるコンテンツならば、十分な没入感を得ることも可能だ。だが、身体を動かすことでVR世界を前後に移動したいと考えるとポジショナルトラッキングが必要となる。
モバイルVRでユーザの位置を追跡するのは難しい。モバイルVRでのポジショナルトラッキングは、Oculus内部でも優先すべき事項になっているという。
現在実用化されている方法としては、有線ヘッドセットのように外部に設置したベースステーションを使うものか、Google Tangoで使われているような特殊なセンサーを使うものがある。他にも、VicoVRやUnivrsesはそれぞれにポジショナルトラッキングを実現しようとしている。
Valveは、2016年の8月にViveで使用しているトラッキング技術を無料で公開した。第三者がロイヤリティを支払うことなくこの技術を利用して製品を開発・販売することができるようになり、位置追跡可能なコントローラーのような周辺機器の開発が容易になった。
この技術は企業に利用されるだけなく、エンジニアリングを学ぶ学生にも活用されている。今回ユタ州立大学の二人の学生は、SteamVRのトラッキングテクノロジーをGear VRに搭載することを思いついた。あくまでも学術的な目的を持って行われた研究ではあるが、SteamVRの技術によってモバイルVRにポジショナルトラッキング機能を加えられることが示された形だ。
研究用に改造されたヘッドセットの上部にはむき出しのチップが乗っており、全面には赤外線センサーが3つテープで取り付けられている不格好な状態だが、これでも動作するのだ。強引に外付けするのではなく、最初からモーショントラッキング機能を持たせるつもりでヘッドセットを設計すればよりコンパクトに見栄え良く製品化できるだろう。
この技術でモーショントラッキングを行うためには、HTCのベースステーションが必要となる。モバイルVRの利便性を一部捨てることになるが、自室ではベースステーションを使ってモーショントラッキングを実現し、リビングでは手軽なモバイルVRヘッドセットとして利用することもできるはずだ。
画像や動画だと複雑そうに見えるが、構造はシンプルだ。ベースステーションからの赤外線をキャッチする三つのセンサー(図面上)と、センサーから赤外線を受け取ったタイミング情報を集めるマイクロコントローラー(右)、そしてWi-Fiでそのデータをコンピュータへと伝えるためのモジュールで構成されている。
動画で使われているハードウェアではスマートフォン本体とは別に電源が使われているようだ。しかし、ここはスマートフォン本体からの給電で動作可能にできるかもしれない。そうなれば、ヘッドセット自体は現在と変わらないシンプルさを維持できるはずだ。
この研究に関するより詳しい情報は、ユタ州立大学のページからPDFファイルでダウンロードできる。
参照元サイト名:Utah State University
URL:https://spaces.usu.edu/display/ece3710/Positional+Tracking+for+Mobile+Virtual+Reality
参照元サイト名:RoadToVR
URL:http://www.roadtovr.com/students-hack-positional-tracking-onto-gear-vr-steamvr-tracking/
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