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UploadVRがEpic GamesのTim Sweeneyの考える「Unreal Engine VRがゲーム以外の産業に与える影響」についてのインタビューを行っている。Sweeneyは、将来においてVR/ARの用途はゲーム以外が中心になると考えているようだ。
「VRとARは、これまでで最もビジュアルが要求されるプラットフォームになるでしょう」
これがSweeneyの考えだ。彼はUnreal Engineが生まれた背景や、モバイルデバイスの画面の小ささについても触れている。
「Unreal Engineは、PCの大型ディスプレイでPCゲームがプレイされ、大画面テレビでゲーム機のゲームが遊ばれている時代に生まれたものです。現在、大画面ではUnreal Engineによる現実のような描写を実現しています。一方、モバイルプラットフォームで視覚的な忠実性の追求を行っているところです。モバイルデバイスの画面は小さく、あなたの目に入る範囲の20%くらいでしょう。その大きさでは細かい部分を見分けることは難しくなります。ですから、世界最高レベルの、写真のような、高精細グラフィックは必要とされません。従来のモバイルデバイスでは、様式化・抽象化された映像が有効でした」
PCゲームや、テレビに繋いでプレイする据え置き型のゲーム機では、EpicのUnreal Engineによって現実と見間違うようなハイクオリティな作品が生み出されている。しかし、スマートフォンや携帯用ゲーム機の小さな画面に細かな描き込みがされた映像を表示するとかえって見にくくなってしまう。
処理能力の差という問題もあるが、携帯ゲームのグラフィックが粗いのはそれだけが理由ではないのだ。あえてデフォルメされ、アイコン化された画像を使うことでプレイヤーにとって見やすい画面を作ることができる。
また、それ自体が作品の雰囲気作りに貢献することも多い。コミカル・カジュアルな作品に写実的なグラフィックでは似合わないだろう。カートゥーン調、あるいは日本のアニメ風のグラフィックがピッタリの作品もある。
「現在では、VR/ARプラットフォームが登場しました。これらのプラットフォームにおいて、脳は現実のようなオブジェクトを期待しています。脳は非現実的な違和感や誤りに対して非常に敏感です」
人間の脳は、意識しているよりもはるかに多くの情報を無意識レベルで処理している。Sweeneyが言うように、VR空間に現実にはあり得ないようなミスがあれば脳はそれを見逃さないだろう。それははっきりと認識できないような小さな違和感として現れるかもしれない。あるいは、三半規管を混乱させてVR酔いのような不快な症状さえ引き起こすかもしれない。
「建築家や自動車メーカーによるVRの利用法は、私たちのエンジン(Unreal Engine)が目指す未来に適しています。ゲーム開発では、エンジンによってリアリティを出せないならばある種の『工夫』を行って性能の不足を補うことができます。しかし、現実のオブジェクトをVRで作成する場合にはそういった『ズル』はできません。努力によって成し遂げるしかないのです」
Unreal Engineは、コンピュータの中に現実のような架空の空間を作る。ゲームの開発を行うならば「現実らしく見せるエフェクト」によって処理を簡略化することもできるが、製品のデザインにVRを利用するならばそうはいかない。VRで作ったものをリアルに持ち込んでも破綻がないようにしなければならないからだ。
現実と架空を一致させる。これは直感的な操作が可能なVRのコントローラーと相性が良い。
「Oculus Medium、Tilt Brush、Ghost Paintのようなクリエイター用のVRアプリケーションは、これまでのエディタ以上に徹底した芸術性をユーザに与えます。Photoshop、3D Studio Max、Unity、Unrealで3Dオブジェクトを構築するのは、少し不自然です。現実では、PCの前に座ってマウスとキーボードを操作しているだけだからです。VRでは、現実と全く同じです。絵を描いたことがある人なら誰でも、VRで絵を描くことができます」
Sweeneyがここで指摘しているのは、リアルとバーチャルで行う動作の一致だ。一般的なPC用3Dソフトで3Dオブジェクトを作成する場合、マウスとキーボードのようなインタフェースを使うことになる。思い通りの操作をするには知識や練習が必要であり、直感的とは言い難い。
ペンタブレットは一見するとペンに似ているが、扱いの練習をしないとまっすぐに線を引くだけでも難しい。デジタルでの作品制作には、ソフト・ハードの習熟が必要だった。しかし、一部のVRアプリケーションはその状況を変えている。
VRのペイントアプリは、実際に手を動かすことで筆を動かすという直感的な操作方法によって誰でもデジタルクリエーターになれるようにしてくれた。これは過去のグラフィックエディタとは全く異なる特徴だ。
「ちょうど、5,000万人がMinecraftによって3Dクリエイターになったのと同じことです。Unreal Engineは自由に利用できます。誰でもウェブサイトから全機能をダウンロードし、何の契約も相談も交渉もすることなく使い始められます。多様な企業が既にUnreal Engineを利用しており、素晴らしいプロジェクトを我々に示してくれています」
「自動車産業は、中でもリーディングアダプターとなっています。彼らは、デザインのビジュアライゼーションからディーラーでの展示に至るまで、リアルタイムのエンジン技術を使用しています。何百万通りものオプションによるカスタマイズの見栄えを、リアルな映像で確認することができます。これは実物や模型の展示では実現できません」
VRを積極的に取り入れている産業として、自動車産業を挙げている。物理的に場所を取らないバーチャルだからこそ、無数に存在するカスタマイズの結果をその場で見せることができるのだ。アイデアさえ正しければ、それを実現できるツールは誰でも利用できる状態になっている。
Sweeneyはさらに、未来のVRやARが持つ可能性を考えている。
インターネットで家具を購入する場合、見た目は商品画像で確認することになる。しかし、商品によっては低解像度のJpeg画像しか用意されていないこともある。
「こういった画像は、将来的にデジタル化されるでしょう。VRまたはARで、自室にその家具を置いたときにどのように見えるかをプレビューできるようになるでしょう」
VRを使うならば、自室をスキャンして再現することができるはずだ。VR上の自室の中にAmazonで提供されている商品の3Dデータを配置し、他の家具との馴染み具合を考えてから購入を決定できる。
ARならば、現実の映像にその商品を重ねて表示して同様のことを実現する。
製品のデザインを行うプロフェッショナルは、iPadのような端末上で動作する直感的な操作が可能なアプリケーションによってプロトタイプを開発できるようになるという。3Dオブジェクトのデータを簡単に共有できるので、模型を作らなくてもデータをやり取りしながら開発を進められる。
「自動車メーカーは何もない部屋を歩きながら作業します。バーチャルオブジェクトを実際に製造する準備が整うまでの間、バーチャルオブジェクトを調整して設計を進めます。プロダクトレビューを行ったり、コラボレーションを行ったりすることもできます。すばらしいことが実現するはずです」
多くのゲームに用いられているUnreal Engineを所有するEpic。そのためにゲームの印象が強いが、自動車やネットショップのような分野でもその技術の利用を考えているようだ。
参照元サイト名:UploadVR
URL:https://uploadvr.com/gdc-epic-games-tim-sweeney-unreal-engine-vr-for-non-gaming-industries/
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