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ゲーム・エンタメ系のコンテンツはもちろん、建築や医療といった分野でも活用されているVR。導入する大学も増えつつあることがVR Firstの資料で示された。この資料は世界553の大学ネットワークにおけるVRの普及率だけでなく、大学で使われているデバイスのメーカーごとのシェアまで公開されている。
VRを語る上で、ヘッドセットがなくては始まらない。一つだけ、という学校まで含めれば、備品としてVRヘッドセットがある大学は79%に上る。ARヘッドセットは71%、コントローラーデバイスは54%の大学にある。
用意された数も増えており、1校あたりのヘッドセット所有数が半年前の4倍になっているという。半年前には平均1.5個しかなかったものが、現在では5.6個まで増えている。
生徒の人数で考えると、半年前には51人に一つのヘッドセットしかなかった。これが18人に一つまで増えた計算だ。
1990年台にパソコンが学校に導入されたときは、このくらいの数だったように思う。全校生徒がパソコン室にある30台を使うような状態だった。そう思えば、これから一気にヘッドセットが普及する様子も十分想像できる。その時期についてはまだわからないが、そう遠くはないだろう。
いつ初めてのヘッドセットを導入したのか、という質問についても答えのグラフが掲載されている。VR/ARヘッドセットはいずれも2016年に一気に普及していることが見て取れる。
導入時期 | VRヘッドセット | ARヘッドセット |
---|---|---|
2015年より前 | 16% | 23% |
2015年 | 22% | 26% |
2016年 | 62% | 50% |
※ARヘッドセット導入時期の合計は99%になる。おそらく小数点以下を丸めた結果だろう。特にコメントは添えられていないため、未回答ではないと思われる。
2016年はVRの年だったと言われているが、それが数字で示された形だ。各メーカーからヘッドセットが一般向けに発売され、導入する大学も多くなったようだ。
どのような分野でVR/ARが活用されているのかが、ワードクラウドで示されている。パッと見ただけで分かる通り、二大巨頭はゲームと教育だ。他に心理学、歴史、映画、健康の分野で多くのプロジェクトが進行しているという。
インパクトは小さいものの、観光や都市計画といった分野にも応用されているようだ。
各メーカーのシェアもグラフ化されている。
VRではOculusが首位(44%)となっており、Vive(23%)とSamsung Gear VR(19%)がそれを追う形だ。OSVR、Daydreamその他も使われているものの、上位三社が全体の86%を占めている。
ARではMicrosoft HoloLensが独走状態(43%)で、次点がGoogle Glassの11%となっている。Microsoftの独占状態にも見えるが、実は「その他」が25%もある。VRヘッドセットに比べてやや普及が早かったこともあり、今後の買い替え次第では大きく状態が変わるかもしれない。
コントローラーとしては、Leap Motionが圧倒的(59%)だ。ただし、昨年末に発売されたばかりのOculus Touchが11%あることも見逃せない。OculusがVRヘッドセットで大きなシェアを持つことを考えると、今後さらに拡大することが考えられる。
各大学には、平均して11台のVR対応PCがあるという。そのうち84%がメーカー製だ。残りは自作である。
GPUは94%がNVIDIA、残りがAMDを選んでいる。CPUは98%がIntel、残りがAMDだ。
メーカー製でIntelのCPUとNVIDIAのGPUを搭載したマシンが中心らしい。
この調査結果で特徴的なのは、モバイルVRの弱さだろう。Google Daydreamは登場が遅く、まだ対応端末が少ないので仕方がない。しかし、Gear VRやCardboardならばもっと普及していてもおかしくない。一般ユーザへのアンケートであれば、これらのシェアが大きいのではないかと想像できる。
個人ではなく大学が購入しているからこその違いだろう。モバイルVRは手頃だが、体験の質で本格的なヘッドセットに劣る部分がある。VRを通して学習するためのツールとしては、高い質が求められたのではないだろうか。開発実習用としても、ヘッドセット向けコンテンツ制作経験の方が役に立つと考えられたのかもしれない。
モバイルVR中心のコンシューマ市場と、専用ヘッドセット中心のエンタープライズ・プロフェッショナル市場。そんなVR業界分割の兆しも見える気がする調査結果だ。
参照元サイト名:VR First
URL:https://www.vrfirst.com/assets/docs/VR_First_Infographic.pdf
※PDFファイル
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