スマホで360°パノラマ動画を手軽に体験できるVR体験アプリ「パノミル」を配信する株式会社ピクセラ。


株式会社ピクセラは、これまでデジタル機器を中心にソフトウェアからハードウェアの設計まで行い、映像事業でも30年以上の実績を誇る企業。


近年では進化するIT事業への事業転換を課題としており、2015年7月にはOakキャピタルから14億円の資金調達を行い、一部をAR/VR事業に投資してきた。


今後ARやVRを用いたライブ配信システムを展開する予定とのことで取材にお伺いしました。


今回取材には応じていただいたのは営業企画本部本部長の森氏とサービスプラットフォーム開発部上席技師の鬼頭氏。


森氏(左)と鬼頭氏(右)


VRライブ配信を検討?!株式会社ピクセラの今後の取り組みを取材


━━VR事業に参入しようと思ったきっかけはなんでしょうか?

森氏:当社はプリンタドライバの開発から始まり、動画編集ソフト、PC周辺機器の開発を行い、自社ブランドPRODIAの液晶テレビやチューナーなどデジタル家電、スマホ用TVを作ったりしていました。


昨今ではVR元年と呼ばれる時代の流れになり、360°カメラなども台頭していきたので、当社でも得意とする映像処理技術を活かした事業展開でVRに取り組もうと思った次第です。


サーバ構築などの配信インフラと配信プレイヤーの2軸に重きを置いて取り組んでいます。


━━VR事業はいつから始めたのでしょうか?

森氏:研究開発に関してはそれよりも以前から行っておりましたが、本格的に開始したのは2015年8月からです。


━━パノミルの開発を始めたのもその頃からでしょうか?

森・鬼頭氏:そうですね。8月以降開発に着手し、パノミルを配信したのが2015年12月です。



開発期間としては3ヶ月弱です。


━━Play Storeなど配信先のレビュー平均評価は5段階で4.4と良好ですね。

開発するにあたり、苦労した点をお聞かせいただけますでしょうか?

鬼頭氏:立体音響のライブラリをUnityに埋め込む際に、音の吸い上げやつなぎこみが上手くいかず、音と映像のタイミングがズレました。


Unityでの開発自体は初めてだったこともあり、その他でもアプリ起動後に遷移する惑星型の視聴コンテンツ選択UIを作成するのも苦労しました。


━━パノミルで配信の360°動画コンテンツでは映像のつなぎ目がほとんどありませんでしたが、その点はどのように調整したのでしょうか?

鬼頭氏:そうですね、手間暇はかけました(笑)

パノミルで公開している映像コンテンツ1つ1つに対して約2週間の時間をかけて丁寧に編集しています。



海中の映像コンテンツに関しては海中でカメラが揺れますので、VR酔いしないように揺れの補正なども行っておりますので労力をかけました。


━━パノミル内で新規映像コンテンツの追加はありますでしょうか?

森氏:はい。VRでの映像視聴の普及のため、今後も随時配信します。


いつまで配信を続けるかに関しては未定です。


━━パノミルに続くVRアプリの開発は考えていらっしゃいますでしょうか?

森氏:はい。現段階で開発中のものがありまして、VRでのライブ配信を実現したいと思っています。


━━なるほど、開発中のVRライブ配信はCGMになる予定でしょうか?

森氏:いえ、こちらはCGMではなく、企業様とパートナーを組ませていただきまして映像配信をしたいと考えております。


━━どういったジャンルのライブ配信を検討されていますでしょうか?

森氏:メインはスポーツで野球・サッカー・バスケット・卓球などの球技や、芸能分野のライブ中継・ミュージカルなど様々な分野の導入も検討しています。



━━━こちらは専用のアプリ経由でライブ配信を視聴するかたちでしょうか?

森氏:そうですね。パノミルをアップデートする形式にするのか、スポーツジャンルごとにアプリを分けるのかは検討中です。


ジャンルごとにアプリを分けることでユーザーインターフェースがシンプルになり使いやすくなると思いますので。

パノミルはシステム的にはマルチプラットフォーム(Android/iOS)に対応しておりますし、VRライブ配信をできる環境を整えているところです。


また、ビジネス展開についても企画中です。


━━配信上、問題となりそうなことはありますでしょうか?

鬼頭氏:ライブ配信に使用するカメラをどれにするか、という問題があります。


例えば、GoProをかけ合わせた360Herosで撮影する場合、熱を逃がしにくいので炎天下で中継の場合に止まってしまうことがあるのではないかなど、検討課題はいくつもあります。


近く中継テストなども行いますので、そこで出た課題を解消していきたいと思います。


━━すごく楽しそうですね!今から楽しみです。アーカイブ配信もする予定でしょうか?

森氏:はい、その予定です。


━━収益構造についてのプランを教えてください。

森氏:こちらは現在企画検討中につき現時点、詳しくはお伝えできませんが、B to B to BまたはB to B to Cでの提供を予定しています。


━━サービスインはいつ頃になりそうでしょうか?

森氏:現時点では具体的な時期を申し上げられませんが、スポーツの開幕やミュージカルの公演初日など、イベントのスタート時に合わせて導入していけたらと思います。


━━ありがとうございました。最後に告知したいことなどございますでしょうか?

森・鬼頭氏:パノミルでInstagramをやっています。360°カメラで撮った写真をたくさんアップしていますので是非フォローしてください(笑)


━━ありがとうございました。



VRでのスポーツライブ配信はかなり面白い取り組みとなりそうでした。


単純に視点的な新しさだけでなく、顔認証や背番号認証システムを使うことで、初心者でも画面内に映っている選手が誰なのかを

把握することができ、最終的にはスポーツ観戦人口のすそ野を広げるアイテムにもなりそうです。


また、既存のスポーツ中継と合わせてみるのも面白いと感じました。


既存のスポーツ中継のアングルは定着している「見やすさ」があるので、見やすい画面に加え「見たことのない画面」での観戦を楽しむスタイルが広がるかもしれません。


スマホアプリで、高解像度で没入感あるライブ体験が近く可能になるその日が待ち遠しい。


株式会社パノミル

http://www.pixela.co.jp/


Instagram パノミル by ピクセラ

https://www.instagram.com/panomiru/


Copyright ©2016 VR Inside All Rights Reserved.

情報提供元: VR Inside
記事名:「 スポーツの見方が劇的に変わる!株式会社ピクセラの開発するVRスポーツライブ配信システムについてインタビュー