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WMRプラットフォームは、2017年にVR市場へと参入しました。
Mixed Realityという名称から想像できないほど、実際にはVRに特化したものであり、マイクロソフトのSteamVRドライバーを介してほとんどのSteamVRコンテンツに対応しています。
最初のWindows MR用ゴーグルはAcer、Dell、HP、Lenovo、Samsungという多くのハードウェアメーカーからリリースされ、Oculus RiftやHTC Viveのような競合製品と競うことになりました。
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しかし、市場での立ち位置を確立することはできず、Steam Hardware Surveyなどのデータによれば、Windows MRの市場シェアはピーク時の約10%から低下し、現在では約5%に留まっています。
Windows MRがVR市場で伸び悩んだ背景には、ユーザーの不満とライバルの台頭が挙げられているようです。
Windows MRゴーグルは、アウトサイドイントラッキングが主流な中いち早くインサイドアウトトラッキングを採用し、VR技術における一つの大きなブレイクスルーとなりました。
しかし、Windows MRゴーグルでは前方に向けられた2つのカメラのみが搭載されており、手の動作の追跡範囲が制限されていることから、トラッキング性能に不満が囁かれていました。
インサイドアウトトラッキングを採用したライバルのVRゴーグルは、手の動作範囲を広くするために複数のカメラを使用してトラッキング性能を向上させています。
コントローラーの使いにくさもWindows MRの評価の低さの理由に挙げられています。
Windows MRゴーグルに付属するコントローラーはコスト削減のための設計がなされており、ユーザーからは人間工学に基づいていないという不満がありました。
これが、より使いやすいOculus TouchやValveのIndexコントローラーといった競合製品との比較でユーザー体験が劣る原因の一つです。
Windows MRはライバルよりも低価格でのVR体験がメリットとしてあげられます。
しかし、スタンドアロンのVRゴーグルOculus Quest(現Meta Quest)が市場に登場し、その使いやすさやワイヤレス機能、低価格などによって多くのユーザーの支持を得ました。
こうしたデバイスの人気はWindows MRシリーズの存在感を薄くし、2020年のHP Reverb G2はライバルよりも使いやすく、高画質でありながらほとんど話題になりませんでした。
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MicrosoftはXR分野において戦略の軸足をMetaとのソフトウェア中心のパートナーシップに移しています。
このパートナーシップを通じてXbox Cloud StreamingやMicrosoft Office SuiteがQuestストアに追加されました。
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次はWindows 365をQuestに導入する計画も発表されており、ユーザーはサブスクリプション料金でフルWindows 11 PCをクラウド経由でストリーミング利用できる見込みです。
MicrosoftがWindows MRの廃止を決定しました。
低価格、低スペックPCでもPCVRが体験できる貴重なプラットフォームでしたが、登場から5年でその歴史的な役割を終えることになります。
最近のMicrosoftのVR関連のニュースはMeta Questの提携が中心となっていたことから、この展開を予想しているユーザーも少なくなかったのではないでしょうか。
VR技術は急速に進化しており、Windows MRプラットフォームのハードウェアとソフトウェア両面で更新を続けるのにリソースを割くのは得策ではないと判断したと思われます。
今後のマイクロソフトのVR/AR戦略は、公式発表やさらなる情報が気になるところです。
参考:Microsoft Is Killing Windows Mixed Reality, Will Remove Support For It From Windows[UploadVR]
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