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岩手県大槌町と凸版印刷株式会社が今回、東日本大震災津波の記録と教訓を後世へ伝承していくため「大槌町震災伝承ARアプリ」を共同で開発し、5月19日より公開しました。
スマートフォンのカメラから取得する画像情報から利用者の位置情報を取得する、VPS(Visual Positioning Service)技術とAR技術を活用しており、現地の実際の風景に大槌町の象徴的な被災建築物を高精度で再現されています。
・現在は解体された被災建築物を被災時の姿で再現
大槌町旧役場庁舎と、観光船はまゆりが乗り上げた旧民宿あかぶの写真資料を基にCGが作成されていて、現地でスマートフォンのARアプリを起動し、カメラで画像情報を取得すれば、現在の風景に当時の建物の位置や大きさなどが高精細CGによって正確に再現されます。
・周囲を回りこみ詳細な箇所まで観察
VPSに活用することにより、リアルタイムで位置情報が測れるため、被災した建物の表示位置を固定させたままで、体験者の動きに合わせて回り込みながら観察をすることができます。
それにより、写真など静止画像では伝えづらい情報を、あらゆる角度から得ることが可能となりました。
・津波の浸水高を表示
スマートフォンの画面で見ているAR画像に、当時押し寄せた津波の高さ(役場旧庁舎:10.7m、民宿あかぶ:12.9m)が表示され、またAR画像を撮影し、画像として保存する機能も備わっています。
この機能により、震災津波の状況をより実感することができ、それを記録することで改めてこの震災から得る教訓や危機意識をリアルに伝えることができるようになっています。
2011年3月11日に発生した東日本大震災津波は、大槌町に家屋の全壊・半壊4,167棟、死者・行方不明者1,286名という大きな被害をもたらしました。
大槌町は、国内外に向けて東日本大震災津波の教訓を伝え続けていくことは、多くの人に将来の大災害に備えることの重要性を認識させることに繋がり、また、このような被害が二度と繰り返されないよう、津波の記録を正確に将来の町民に「防災文化」として継承していく必要があり、それが責務であるとの考えから震災伝承事業を推進してきました。
凸版印刷は、印刷技術で培われたカラーマネジメント技術や高精細な画像データ処理技術、形状を精確にデジタル化する計測技術といった先端表現技術を活用し、ARやVR技術を用いたデジタルアーカイブなどのソリューションを提供しています。
2021年10月にはスマートフォンのカメラから取得する画像情報から利用者の位置情報を取得する、VPSを用いて、現実の空間にバーチャルコンテンツを高精度に融合させたガイドシステムを開発、博物館や観光地などに提供し、アーカイブデータを活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進してきました。
そういった背景から、大槌町が保管していた資料を基に、凸版印刷が長年培ってきたAR技術を活用し、被災した当時の状況を現地で体験することができるスマートフォン向け高精度ARアプリが開発されています。
アプリ入手方法:App StoreおよびGoogle Playよりダウンロード可能です。
本アプリは、大槌町内にある旧役場庁舎跡地および旧民宿あかぶ跡地の現地2か所で体験することができます。
岩手県大槌町と凸版印刷株式会社は、東日本大震災津波の痕跡を実際の風景に高精度で再現することができる「大槌町震災伝承ARアプリ」を共同で開発し、5月19日より公開しました。
VPSを用いて震災当時の状況をリアルに体感できるということで震災伝承活動において大きな役割を担うことができそうですね。
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