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1993年に設立されたAxon社は、世界中の警察や軍隊で採用されているスタンガン「テイザー」を開発した会社です。
スタンガンを「非致死性」と呼ぶAxon社は、当然ながら、ティザー銃の使用者に十分な訓練を受けさせることにも注力してきました。
使用者と標的の安全のみならず、法的責任と企業イメージのためにも、同社のスタンガンが使用されたほとんどのケースで重大な傷害を生じないという主張が重要になるからです。
最近、テーザー銃が世間の注目を浴びた不幸な事件として、2021年にミネソタ州で起きたダンテ・ライト殺害事件があります。
この事件では、警官が誤ってテーザー銃ではなく自分の銃を引き抜いて発射してしまったと主張しています。
そして、銃とテーザー銃を取り違えたのはこれだけではありません。
報道によると、米国では警官が2つの武器を取り違えたケースが少なくとも16件あり、そのうち4件は死亡に至っています。
そこで、Axon社はより臨場感のある訓練方法としてVRに着目し、
「新しい没入型技術を使って、現場で実際に起こる状況に対して警官をよりよく準備させる」
ことを目標に掲げVRトレーニングチームを立ち上げ訓練用コンテンツの構築を行ってきました。
今回Axon社に買収されたFoundry 45は、2015年の設立以来VRとトレーニングやマーケティングを組み合わせることに注力してきたことで知られています。
VRベースのトレーニングソリューションの提供能力を強化するために、Foundry 45のチームを既存のAxon VRチームと統合させるとされています。
VRを活用した高度に現実的なシナリオの多様なセットで、警官が
・批判的思考
・デエスカレーション技術
・戦術的スキル
を身につけるのに役立つ仮想現実コンテンツを提供していく予定です。
Axon社はスタンガンなどの訓練用コンテンツ制作を成長市場とした上で、以下のようなコメントを発表しました。
バーチャルリアリティは、多くの業界でゲームを変えるトレーニングツールに急速に定着しつつあります。
Foundry 45の買収は、公共安全における革新的なスキルやシナリオベースのトレーニングを提供するAxonを加速し、Axonの新しい成長市場へのグローバルな拡大を促進させていくものとなります。
近年では警察官の過失による死亡事故が多く取り上げられ、日本でも報道される機会が増えてきました。
この原因の一つとされるのが経費削減です。
米国のいくつかの州では警察組織での経費削減が行われ適切な訓練がなかなかできず、訓練不足のまま現場に出た警察官が事故を起こし、さらに経費を削減されるという悪循環にあるといわれています。
VRトレーニングの利点としては、記憶の持続に役立つ高い臨場感のある体験ができるだけでなく、
・公共安全組織がより安価で簡単に導入できること
・より幅広いシナリオでより多くのトレーニング時間を確保できること
が挙げられます。
VRトレーニングが悲劇的な事故を回避するのにどれほど役立つかどうかは検証の余地がありますが、役に立ってほしいと願うのは確かです。
参考:Maker of the Taser Acquires VR Studio to Bolster VR Police Training[Road to VR]
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