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Oculusの初期の頃、同社はVRのレンズを通して映画を探索することを任務とするOculus StoryStudioのような内部グループをスタートさせました。
そして、「Quill」は、現在は閉鎖されてしまったOculus StoryStudio内で生まれた素晴らしいVR描画およびアニメーションアプリです。
手描きアニメーションの芸術性とCGIの利点を独自に組み合わせることで、美しいVRシネマの制作を可能にします。
Facebookが「Quill」を手放すことは残念ですが、元の制作者であるIñigoQuilez氏とその会社Smoothstep社に譲渡することでアプリは今後も維持されることになりました。
アプリは「Quill by Smoothstep」という名前でRiftで引き続き利用できるようになっており、 Quest用の「QuillTheater」アプリも10月からは「VRアニメーションプレーヤー」に名前が変更されます。
Smoothstep社は今後の展望についてあまり言及していませんが、Facebookからの引き継ぎは「Quill」の新しいパッチバージョン2.9と同じ日に行われ、いくつかの小さな改善と修正が行われました。
これらの変更で興味深いのは、Smoothstep社が「Quill Theater」のIMMと呼ばれる没入型コンテンツ配信ファイル形式をオープンソース化している点です。
Facebookは、この動きが「VRアニメーションのクリエイターと視聴者のエコシステムの拡大」をもたらすことを望んでいるとコメントしています。
実際、「Quill」の重要な課題の1つは作成したコンテンツをどのように見てもらうかということでした。
何十億ものデバイスの内蔵プレーヤーを介して簡単に視聴できるフラットフィルムを作成するのとは異なり、「Quill」では作品のネイティブ再生はOculusヘッドセットのみにとどまります。
今回IMMがオープンソースになったので、より多くのデバイス用にIMMプレーヤーを展開できるようになりました。
そのため、より幅広いデバイスでVRアニメーション作品見てもらえるようになります。
また、オープンソース形式となったことで、他のVRアートワークツールがIMMへのエクスポートをサポートすることも十分に考えられそうです。
今回Facebookが「Quill」をIñigo Quilez氏に引き渡したことで、このアプリが抱えていたもう一つの問題も解消される可能性があります。
「Quill」はOculusによって作成されたため 、PSVRやSteamVRなどの他のVRプラットフォーム用のバージョンが表示されることはほとんど期待できませんでした。
現在、このアプリはOculusとは独立した会社によって所有されているため、将来的にはより多くのアーティストがこの優れたツールにアクセスできるようになることもありえます。
今後数年間に登場が予想されている
OculusQuest Pro
AppleのVRデバイス
PSVR2
をはじめとしたVRデバイスに「Quill」が対応することになれば、VRアーティストにとって不可欠なアプリとしてこれまで以上のポジションを確立するはずです。
FacebookがVRアニメーションアプリ「Quill」を元の開発者に引き渡すことが明らかになりました。
2019年にもFacebookはVRアートツール「Medium」をAdobeに売却し、Googleも「Tilt Brush」をオープンソース化していることから、大企業はVRアート用アプリを持て余しているとする意見もあるようです。
しかし、ゲームなどのアプリは独占を強めることが利益に直結しますが、アートに関しては逆にアプリを幅広いデバイスに開放する方がVRアーティストや鑑賞者の裾野が広がり巡り巡って利益につながっていきます。
AdobeはMediumを組み込んだ最新の3D作成ツールを発売し、「Tilt Brush」も公開されたコードを使用して他の多くのプロジェクトがアートベースのVRアプリを構築しました。
このように、大企業はVRアートアプリに関しては得意の囲い込みよりも「共存共栄」の道を探っているようです。
今後も新しく登場するVRデバイスにとってVRアートも不可欠な要素となっていくことが予想されます。
そのような状況の中でVRアートアプリがどのように進化していくのか楽しみですね。
参考:Facebook Spins Out the Excellent ‘Quill’ VR Animation App, Open-sources File Format[Road to VR]
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