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典型的なARKitインテリアアプリは、ユーザが家具を置きたい室内の床を選択すると、その床の上にユーザがあらかじめ選んでいた家具をAR表示する、という機能を実装している。Pottery Barns社が開発した「Pottery Barn 3D Room View」にも、同様の機能がある。
ところで、以上のようなAR家具レイアウト機能にはひとつの欠点はある。その欠点とは、そもそも家具をAR表示したい場所に既存の家具が置かれていたら、置きたい場所を正しく選択できないことだ。既存の家具を動かさない限り、ユーザは本当に置きたい場所に家具をうまくAR表示できない。
同アプリは、この欠点を克服した。同アプリには、室内で任意のサイズの空間を選択すると、その選択範囲を空白な空間としてAR表示する機能が実装されているのだ(上の動画参照)。この機能を使えば、まずはじめに家具を試しに置きたい場所を空白し、それから家具をAR表示すれば、ユーザの思い通りのレイアウトがバーチャルに実現する。
なお、同アプリが日本でもリリースされるかどうかは不明だが、以上の「家具を消す」機能を実現したアプリが日本で開発されても何ら不思議ではない。
前述したように、ARKitを活用したインテリアアプリはすでに多数存在する。そんなインテリアアプリのなかで、先駆的かつ代表的なものはインテリアメーカー最大手IKEAがリリースした「IKEA Place」(上の動画参照)だ。
同アプリは、ユーザが家具を置きたい場所に家具をAR表示する機能だけではなく、レイアウトを撮影して家族や友だちとシェアする機能も実装している。
少し変わったインテリアアプリには、レンタル倉庫事業を展開するMakeSapceがリリースした「MakeSapce」がある(上の動画参照)。同社は、ユーザが預けたいモノをスタッフが運搬して倉庫に保管し、ユーザが好きな時に保管したモノを戻すというサービスを展開している。このサービスにおいては、預かるモノの容積で保管料金が決まる。このユーザが預けるモノの容積を測定する作業に、ARKitの空間認識機能を使うのだ。
同アプリには預けるモノのサイズを測る機能のほかに、預けたモノをスタッフに運んでもらう予約を入れる機能もあるので、ユーザは文字通りアプリひとつで倉庫を管理できるのだ。
Appleが発表したARKitあるいはGoogleが公開したARCoreで開発されたアプリで形成されるモバイルAR市場においては、VR市場とは対照的にノンゲーム・アプリつまりは実用的アプリの成長が見込まれている。
調査会社Digi-Capitalは、2017年10月にVR・AR市場の長期成長予測を発表した。その発表によると、今後5年間でもっとも成長するのはモバイルAR市場とされる。VR・AR市場の成長を業種別に予測した場合、以下のようにランキングされる(上の画像も参照)。
本記事で紹介した「Pottery Barn 3D Room View」および「IKEA Place」は、上記の「モバイルARを活用したeコマーズ」に分類される。それゆえ、おそらくこれからも多くのARインテリアアプリがリリースされると考えられるのだ。
2017年後半にARKitとARCoreが相次いで発表され、モバイルAR市場の基礎が築かれた。ただ、現時点ではARCoreに対応したAndroidスマホが少ないため、モバイルARアプリ市場は本格的に立ち上がっていない。
しかし、来年にはARCoreに対応したAndoirdスマホも増えてくることが予想される。2018年は、ARKitとARCoreが両輪となってモバイルAR市場が大きく飛躍する年になるのではなかろうか。
ソース:Next Reality
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