- 週間ランキング
VR空間で他のユーザとコミュニケーションできるサービスを提供するソーシャルVRアプリはいくつもある。知名度の高いところではFacebookの『Spaces』や先日マイクロソフトによる買収が発表された『AltspaceVR』などだろうか。
こうしたソーシャルVRプラットフォームは、ユーザにゲームや映画のような特定のエンターテインメントコンテンツを届けるために開発されたものではない。一方的にコンテンツを提供するのではなく、彼らをその空間に参加する仲間にしてしまうのが特徴だ。例えるならば運営側が提供するのは遊び場といくらかの玩具だけであり、それを使ってどのように遊ぶかはユーザに任されている。
中には、ユーザと開発者の境目が曖昧なプラットフォームもある。オープンソースで開発される『High Fidelity』では、クラウドサービスを使うことで簡単にVR世界のホスト側になることが可能なサービスが登場した。
マルチプレイが可能なゲームでも、メインコンテンツとしてゲームがあるならばそれを一人で楽しむこともできる。対人戦がメインのゲームやパーティプレイ前提の調整がされている作品は難しいが、ソロでも戦えるようなバランスのCo-op作品であればプレイ自体は可能だ。
こうした作品の場合、他のプレイヤーがいることは必須ではない。内容さえ好みに合えば、プレイヤーのいない旧作やオフライン環境でも遊べるだろう。
しかし、ソーシャルVRプラットフォームの場合は自分以外のユーザがいなければ何をしてもすぐに飽きてしまうと思われる。中心にあるのはコミュニケーションであり、ユーザ同士が協力することで楽しい時間を過ごせるものだ。
この場合、プレイ人口への依存度が高いと言える。
コミュニケーションを満足できるものにするのは互いの気遣いだ。これはVR空間でも現実と変わらない。相手の状況が見えないVR空間では、現実以上にどう受け取られるかを考えて発言・行動する必要があると言えるかもしれない。
ソーシャルVRプラットフォームへ飽きずにログインすることができるのは、自分が楽しむだけでなく人を楽しませることができるユーザだ。友人をパーティに招いたり、呼ばれてイベントに参加したりといった付き合いが好きならばソーシャルVRとは好相性だろう。
「バーチャルでは好きに振る舞ってストレスを解消する」という遊び方がしたいなら、NPCが相手になるオフラインゲームの方が向いている。
High Fidelityの特徴は、オープンソースで開発されていることだ。High Fidelity公式に要望を送って実装を待つだけでなく、世界中のユーザが自由にソースを改変して自分にとって理想的なVR空間を構築することができる。開発技術があるならば、要望するよりも自分で作ってしまった方が満足度は高いだろう。
だが、せっかく用意したVR空間に誰もログインしてくれなければやりがいがない。サーバを構築して自作のVR空間を全世界に向けて公開することも可能だが、これには開発とはまた別の知識や技術が必要になる。自前でサーバを用意するには、資金も必要だ。
High Fidelityがアメリカの大手クラウドサービスプロバイダDigitalOceanとのコラボレーションで作り上げたのは、ユーザがクラウドに自作のVR空間を簡単に公開できる機能だ。
Dropletsと呼ばれるDigitalOceanのクラウドサーバ技術によって、High Fidelityのユーザが数分で自作のVR空間をクラウド上から公開することができるという。管理が簡単であることはもちろん、家庭用のマシンよりも高性能なので同時ログイン可能なユーザキャパシティも大きく、レスポンスも良いはずだ。
High Fidelityの本体は、High Fidelity社が管理を行っている。オープンソースで開発されているアプリではあるが、『Decentraland』のように放任されているわけではなく、管理会社は存在するのだ。
High Fidelity社は将来的にユーザの作成したVR空間同士が繋がり、ユーザがその間を自由に行き来できるようになった世界を構想しているようだ。ちょうど、インターネット上の個人サイトを巡るようなイメージだろうか。
プログラムにも差があるため、各空間はルールが異なる自治エリアとなるはずだ。公開されるVR空間が増えれば、ユーザは「A社が公開しているエリアでライブイベント、その後B社のエリアに移動してサバイバルゲームに参加する」といった遊び方をするようになるのだろうか。
参照元サイト:Road To VR
参照元サイト:Steam
参照元サイト:Medium
Copyright ©2017 VR Inside All Rights Reserved.