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品質改善をおこなうためのアプリケーションは、3Dモデルの制作スタジオであるImmersionと共同で開発されたものだ。
このアプリを使用することで、現実空間上にあるエンジンに、バーチャルなエンジン部品を重ねて表示し、部品の品質に関する様々な情報をMR空間上で得られるようになる。
Renault Trucksの従業員20名からなるチームによって開発されたMRアプリケーションは、エンジンの品質検査作業員に対して、作業時に役立つ情報を提供する。
情報は現実に存在するエンジンに重なるかたちでオーバーレイ表示されるため、実際のエンジンの様子とMR情報を見比べながらチェックをおこなうことが可能だ。
くわえて、情報取得はHololensを通じておこなわれるので、両手が塞がらず、スムーズに作業を遂行できる点もメリットと言えるだろう。
また、MRを採用したため、現実空間の情報がシャットアウトされるわけではなく、周囲の情報を常に注意しながら作業でき、安全も保証しやすい。
工場などの作業員をバックアップするためのイマーシブアプリケーション自体は、これまでにも多く開発されてきた。
たとえば流通関係の企業では、作業時の効率性向上のために、作業員がどのルートを進行すれば最短で到着するのかをARマーカーで教えてくれるアプリケーションを開発し、現場に導入している。
それらのアプリケーションに比べると、Renault TrucksのMRアプリケーションは、より複雑な情報を視覚的に分かりやすく表示することを可能にした点に特徴があるだろう。
Hololens着用者は、エンジンの特定部分に関する情報だけピックアップし、インタラクティブな操作によって必要な情報だけにアクセスすることができるようになるのだ。
また、MRアプリ開発に携わっていた、Renault TrucksのエンジニアBertrand Félix氏もプレスリリース中で述べているが、これまでの品質検査時に使用していたペーパー資料を一切使わずに済むという点も大きな魅力だ。
このMRアプリを使えば、効率よくペーパーレス化を進めることができるだろう。
Renault TrucksがMRアプリを導入した背景事情には、ドイツを中心に進行中の「第4次産業革命」の動向がある。AIやIoTをコア技術としつつ、工場の生産性を高める取り組みが世界的に進む中、Renault Trucksはその一環として、MR技術に注目したというわけだ。
Renault Trucksのように、イマーシブテクノロジーを用いて、生産性の向上を目指す企業はほかにも存在する。
以下ではその一部を紹介していこう。
スウェーデンの家電メーカーElectrolux社は、ARグラスを使うことで、工場のメンテナンスを効率化するサービスを提供している企業だ。
たとえば、「Tempestive Reamplia」というソフトウェアを導入したARグラスで工場内の故障部分を見ると、遠隔地の専門家に直接その箇所の映像を送信し、適切なアドバイスを受けることができる。
トラブル解決のための具体的な指示は、ARグラス上に表示されるため、修復作業をスムーズに遂行しやすい。また専門家とのコミュニケーション以外にも、修復作業の技術に関わる書類や、注釈付き画像などにも、AR[グラスから直接アクセスできる。
原子力発電所の廃炉作業を人力でおこなうことは、いうまでもなく危険度が高い。すべての作業をロボットに任せて自動化できればよいのだが、現時点では人力でおこなわなければならない作業パートも残されている。
さらに、冷戦時代の原子力発電所を閉鎖しようとしたアメリカのエンジニアたちを困らせたのは、建物内部の状況を正確に把握できる地図が現存してない、ということだった。
そこでエンジニアたちは、3D CADと3Dプリント、そしてVRを用いて、十分な安全性を保証しつつ、スピーディーな廃炉作業を可能にしようとした。
発電所の2D図面を3Dモデルに変換し、出来上がったモデルを一度3Dプリントして現実のモデルに変換する。そして出来上がったモデルをレーザースキャンすることによって、細部まで正確に再現された原子炉のVRシミュレーション空間を作り上げたのだ。
参考URL:
Renault Trucks, Next Reality
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