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同メディアによると、アメリカ・シンシナティに拠点をおくスタートアップContact CIは、触覚(ハプティック)とトラッキングを同時に実現するハンドコントローラー「Mestro glove」(下の動画参照)のクラウドファンディングを開始した。
同ハンドコントローラーの特徴は、手や指の動きをトラッキングすることとバーチャル・オブジェクトを触った時にバーチャルな触覚(触った感じ)を同時に実現するところにある。ハンド・トラッキングに関しては、実用化にむけて多数のハンド・コントローラーのプロトタイプがすでに公開されている。しかし、ハプティック機能に関しては、実用化にはほど遠いデバイスが多いなか、トラッキングとハプティックの両方の実現を目指す「Mestro glove」は注目に値する。
このほど開始された同コントローラーのクラウドファンディングは、クラウドファンディング・サイトSeedInvestから出資することができる。同サイトの出資形式は、有名なクラウドファンディング・サイトであるKickstaterのような出資したことの見返りが開発中のデバイスの完成品、というものではない。同サイトから出資すると、出資先であるContact CIから配当金として出資金に5%の利益が加算された金額が得られるようになっている。つまり、開発中のハンドコントローラーに出資する、というより開発している企業に投資する感覚である。
なお、同サイトからの同社への出資の期限は、2017年11月6日時点で残り39日となっている。
ハンド・トラッキングとハプティックの同時実現を目指す「Mestro glove」はどのような内部構造をしているのだろうか。
同コントローラーは、腕に取り付けるモーターと手袋から構成されている。また手首より肘に近い部分にVIVE Trackerも実装している。
手袋部分に内蔵されたモーターが隠れた「腱」を動かし、触れているオブジェクトの形に合わせた抵抗を伝える。プレイヤーの手は、手袋のつっぱりを「物体に触れた感覚」として感じるという仕組みだ。
さらにこの「腱」は、ハンド・トラッキングの機能を果たしている。腱が動きがそのまま指の動きとしてデジタル情報化され、VR空間に反映されるのだ。こうした構造のため、同コントローラーは外部トラッキング・センサーを必要としない。外部トラッキング・センサーが不要なことによって、指が動くことによってほかの指を覆い隠してしまう「自己遮蔽性」によるトラッキングの不良が起こらないようになっている。
触覚のバーチャルな再現は、現在のVRテクノロジーにおける最優先課題であるが、まだその解決となるような実用的なハプティック・コントローラーは登場していない。しかし、開発中のものは多数存在する。
「VRgluv」はメカニカルな手袋、あるいはグローブのような形状をしたVRのコントローラーだ。コントローラーであると同時に触覚フィードバックを返す機能も持っており、VR空間での動作に合わせたフィードバックが得られる。
同コントローラーはどの程度の力がかかっているかを「圧力」を測定することができるようになっているので、軽くつまむ、普通に握る、力を入れて握りしめるといった動作の区別も可能だ。画面内の手を動かしているという感覚を脱して、実際にVR空間で手を動かしている感覚を作り出すためには重要なポイントだ。
カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チームは、人工的な「筋肉」の機能を果たす部品を実装したハプティック。コントローラーのプロトタイプを公開した。
同プロトタイプは、大きく三つのパーツに分けることができる。
ユーザの手の位置や動きを検出するためのセンサー(Leap Motionのセンサーを使用)、グローブをコントロールする制御基盤、そしてユーザの手に刺激を与えるためのグローブ本体だ。この三つが組み合わさって、リアルな触覚フィードバックを生み出している。
中でも同プロトタイプの根幹と言えるのが、「McKibben muscle」と呼ばれる柔らかい部品だ。筋肉と呼ばれているものの、その実態は編み込まれた繊維で覆われたラテックスのチェンバーである。人工的に作られたこの「筋肉」がユーザの指の動きに反応し、バネのような形で指を引っ張ることで圧力を感じさせる。
同研究チームは、VRインターフェイスの専門家2人を含む15人のユーザに同プロトタイプを試してもらったという。体験者は、VRでピアノを弾くデモを試した。
全員が「手袋によってVRの没入感が増した」と感じており、その経験を高く評価した、とのこと。
「Dexmo」は、「VRgluv」と似たような構造のハプティック・コントローラーである。
同コントローラーの内部にもバーチャル・オブジェクトと連動して駆動するモーターが実装されており、そのモーターがユーザに感じさせている。
同コントローラーは、すでに公式サイトより開発版を注文することができる。
以上のように多数のスタートアップがハプティック・コントローラーを開発しているのは、バーチャルな触覚を実現できれば巨万の富を得られることが明白だからである。また、バーチャルな触覚が実現したあかつきには、VR文化が大きく発展するのも間違いないだろう。
ソース:VRFocus
https://www.vrfocus.com/2017/11/contact-ci-looks-to-crowdfunding-for-haptic-gloves/
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