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アップデートによる主な変更は、各コンテンツに対してリアルタイムレンダリングを可能にするよう仕様変更した点だ。これによって現在最も配信数の多いジャンルであるゲームコンテンツ以外にも、ニュースやビジネス用コンテンツの配信数増加が期待できるようになるという。
Secret LocationはトロントをホームとするVR関連コンテンツ制作会社。
Sleepy Hollow from Secret Location on Vimeo.
これまでにFOXテレビなどと協力し、人気ドラマ「Sleepy Hollow」を原案とする「Sleepy Hollow: VR Experience」などの制作をおこなってきた。
なお同作は2015年度のCreative Arts Emmy Awardにおいて「Outstanding Creative Achievement」を受賞しており、コンテンツ制作スタジオとして高い実力を備えていることを伺わせる。
「Vusr」はSecret Locationが開発したイマーシブコンテンツ配信プラットフォームで、VRコンテンツの他にもAR、360°動画などについても取り扱っている。またVRコンテンツはルームスケールVRに対応した内容のものまで配信可能だ。
コンテンツ開発者にとっては、「Vusr」を利用することで、自身が制作したイマーシブ・コンテンツを公開出来る場を確保でき、また、公開と配信を通じてマネタイズもおこなえるシステムが整備されている点がメリットとなる。
さらに一度公開したコンテンツであっても、VRヘッドセットなど最新のイマーシブコンテンツ対応ハードウェアが発売される度に、それらに対応した内容にアップデートすることも可能だ。
Vusrのリリース当時、Secret LocationのテクニカルディレクターであるRyan Andal氏は次のように語っていた。
「Vusrは今日の市場において競合し合う、多様なタイプのVRヘッドセットに合うコンテンツを制作するなかで生じる問題を解決する、はじめてのプラットフォームです。(Vusrは)ヒートマップによる指向性トラッキングのような革新的なクリエイティブパブリッシャーツールを特徴としており、また、全球型サラウンドサウンドもサポートしています」
日進月歩のハードウェア開発競争が続くVR・AR業界において、Vusrのこれらの特徴は特に重要性が高いものだと言えるだろう。
今回のアップデートでVusrはコンテンツのパブリッシュから、コンテンツ配信、マネタイズといったことが容易に行えるように改良されている。
ただし先述の通り最も大きな変更点はリアルレンダリングへの対応だろう。
リアルレンダリングとはコンテンツ内でのCG再生において、あらかじめ用意していたのCGを再生する(プリレンダリング)のではなく、グラッフィクカードやCPUによってその場必要となるCGを描画していくという手法だ。
これによってコンテンツ内で可能となる表現方法の幅が広がり、多目的なアプリを配信しやすくなるという効果が期待される。
こうしたリアルタイムレンダリングについて、Secret Locationの創設者、James Milward氏は次のように語っている。
「コンテンツパブリッシャーはリアルレンダリングされたVRやARコンテンツを盛り込めるようになり、そして単なる360°動画を超え出る、限りない可能性への道を開きます」
「障害を取り除き、配信を簡易化することで、業界内でのコンテンツの質と量を向上させていく、そしてそれが我々が業界を育て上げていくために必要なことなのです。」
Secret Locationはクリエイターが効率的なコンテンツ配信と市場展開をおこなう上では、多様な配信目的に応じた最適なプラットフォームを利用することがなにより重要だと考えているようだ。
そしてMilward氏の言にも現れているように、リアルレンダリングへの対応はクリエイターらによるイマーシブ・コンテンツのパブリッシュを加速させる一助となると期待を寄せてもいる、ということになるだろう。
Vusrが登場した2年前と比較すると、現在はイマーシブ・コンテンツのクリエイターが発表できる機会や場は増加している。
しかし自主制作のコンテンツでもマネタイズ可能なシステムがしっかりと整ったプラットフォームとなると、まだそこまでの数は多くない。
Vusrは今後、イマーシブ・コンテンツ制作業界を盛り上げていく役割を果たせるだろうか。
参考URL:
SecretLocation, Vusr, VentureBeat, VRScout
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