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VR体験をすることで、ユーザには様々な変化が起きる。
没入感のあるVR体験はまるで現実のように感じられ、安全な部屋の中に居ながら危険な崖の端を歩く体験をしたり、自分が苦手とする生き物に触れる練習をしたりすることも可能だ。適切な方法でそうした経験を繰り返せば、恐怖症を克服することさえ期待できる。
長期的な効果だけでなく、音楽のように気分を変えることもできるはずだ。VRによって心を操ることを目指すTRIPPは、400万ドル(4.5億円)の調達を発表した。
難民問題を扱ったVRドキュメンタリーも作られている
自分の意思で見る方向を変えて360度を眺められるVR映像では、2Dの映像よりもその場にいるような感覚が強くなる。この特性を活かし、難民・紛争の問題や環境保全を訴えるVRドキュメンタリーも制作されている。
これらの作品は、視聴者の心を動かし、行動を根本から変えるきっかけになるかもしれない。
しかし、TRIPPが目指しているのはこうした意味で視聴者を動かすことではない。彼らが動かそうとしているのはユーザの気分(ムード)だ。
感覚としては、音楽を聴くのと似ている。ジョギングをするときにハイテンポな曲で気分を盛り上げたり、寝る前にリラックスできるクラシックを聴いたりするのと同じように、TRIPPのVRが利用できるという。
あるいは、ユーザの考え方そのものを変えてしまうこともあるかもしれない。人はつい物事の良くない側面に注目してしまいがちだが、良い面を積極的に評価していけばより明るい気分で生きることができる。
音声と映像、そしてゲーム要素と瞑想を組み合わせたTRIPPのVRコンテンツは脳を変化させる力がある。
他人からどう見られているかを気にしすぎるユーザがリラックスできるように促したり、身体を落ち着かせて睡眠の質を高めたり、より瞑想の効果を高めたりすることが期待されている効果だ。もちろん、逆に落ち込んでいるときにテンションを上げられるようなコンテンツも用意されるだろう。
Mayfield Fundのマネージングディレクター、Tim Changによれば、TRIPPは自宅でNetflixを見るようなものではない。むしろ、ネットを使った「旅」なのだという。
VRで様々な世界を経験することで、ユーザは自分が望む状態に気分を変えることができるのだ。瞑想用のガイダンスを含むVRコンテンツや、視覚・聴覚を刺激するVR映像も制作されているので、TRIPPはそれらの系譜に置かれるものになりそうだ。
ゲームのようなエンターテイメント用途や、業務のトレーニングなどに利用されるシミュレーション用途がクローズアップされがちなVR技術だが、この技術を瞑想の補助に利用しようと考える人々もいる。
宗教の一要素として行われる瞑想もあるが、瞑想によって日常生活のストレスを緩和したり創造性を高めたりすることもできると言われている。有名な経営者やクリエイターが取り入れていることもあり、真似をしてみたいという需要もあるのではないだろうか。
しかし、素人がいきなり瞑想などといっても難しい。何も考えないのは意外と難しく、雑念が湧き上がって気持ちを落ち着けることができないだろう。
そこで、瞑想を補助するツールとしてVRを用いることができる。『SoundSelf』は、ユーザの精神活動を抑えるためのツールとして開発された。
アプリの内容としては幾何学模様が表示されてユーザの声に反応して動くだけなのだが、その独特の動きを見ていると他のことを考えるのを防げるかもしれない。実際に、特殊な意識状態に入ることができたユーザもいるようだ。
デベロッパーはLSD無しにクスリを使ったときのような体験ができる技術としてVRを活用している。
古くから、芸術家はアルコールや薬物による酩酊状態からインスピレーションを得て作品に落とし込んできた。しかし、アルコールの過剰摂取は身体に良くないし、彼らが使っていた薬物の中には現在では禁止されているものも多い。
これからの芸術家は、作品制作のインスピレーションをVR瞑想から得るようになるのかもしれない。
スピリチュアルな思想に興味がなくても、リラックスツールとしてこうしたVRコンテンツを利用することはできる。痛みや恐怖の緩和にVRコンテンツが有効であることを示唆する研究結果も増えてきており、場合によっては鎮痛剤の使用を減らすことさえできるかもしれないという。
AppliedVRのように医療機関での使用を想定して開発された本格的なコンテンツもあるが、それ以外でもリラックス効果を考えて作られたVRコンテンツは多数存在している。
参照元サイト名:Venture Beat
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