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VRでフィットネス
従来のテレビゲームでは、椅子に座ってコントローラーやマウスとキーボードを使ってプレイするのが一般的なスタイルだ。しかし、VRゲームの多くがハンドトラッキングコントローラーを使った操作に対応しており、デバイスやゲームによっては立ち上がって歩きながらプレイするものもある。
激しい動きが必要なアクションゲームもあり、短距離のダッシュや水泳に匹敵するカロリーを消費するという。さほど動きの激しくないゲームでも、立ち上がってハンドトラッキングコントローラーを使っているとウォーキング程度のカロリーは必要になるようだ。
VRゲームは面白い上に、プレイすることで運動にもなる。この特徴を活かして、ジムで利用するVRフィットネスマシンや家庭で利用できるVRフィットネスアプリがいくつも開発されている。そうした新世代のマシンを導入する施設も増えているようだ。
酔っ払ってバーで喧嘩をするVRアプリ
VRゲームをプレイするために運動することで健康の維持は可能だが、ゲームの内容まで健康的なものばかりというわけではない。むしろ、現実ではできないようなことを実現してくれるVRゲームもある。
『Drunkn Bar Fight』は、現在ベータテスト段階にある。HTC ViveとOculus Riftの両プラットフォームに対応し、近くグローバルリリースを迎える予定のゲームだ。現在は早期アクセスタイトルとしてSteamで販売されており、価格は1.180円となっている。
酒をたくさん飲んで強くなり、バーに居る全ての人と戦わなければならないというDrunkn Bar Fight。ただ素手で殴り合うだけでなく、酒のビンや椅子を投げてぶつけたり、他の客を投げて窓から放り出したりとやりたい放題ができるゲームだ。
1対1の格闘技ではなく酔っぱらいの乱闘なので、手元が狂って投げたビンが無関係の観客に直撃することもある。そこからNPC同士の喧嘩が始まることもあるようだ。決して本格的なやり込みゲームではないが、笑いを取る意味では十分だろう。
フィットネスを主目的に開発されたゲームではないが、喧嘩がテーマなので運動量も多い。
世界的に人気のVRゲームでは、『Fruit Ninja VR』も運動量の多いタイトルだ。
次々と飛んでくる果物を両手に持った日本刀でスライスしていくこの作品は、HTC ViveとOculus Riftに両対応してSteamで販売されている。価格は1,480円だ。PSVR版も同額でPS Storeにて販売されている。
Drunkn Bar Fightと違ってルームスケール非対応のゲームだが、短い時間で集中しなくてはならないタイプのゲームなので長時間プレイを続けるとかなり身体を動かすことになるだろう。
こちらもフィットネスが主目的ではなく楽しめるVRゲームとして開発された作品ながら、プレイすることで体重が落ちたとレビューしているユーザもいる。
ゲームとしての賑やかさよりもフィットネスアプリの要素が強いVRゲームとしては、『Soundboxing』(HTC Vive/Oculus Rift 798円)や『Audioshield』(HTC Vive/Oculus Rift 1,980円)がある。いずれもボクシングとリズムゲームを融合させた作品で、プレイヤーに向かって飛んでくるマーカーをタイミングよくパンチで迎え撃つことになる。
前の2作ほど派手さはないが、シンプルだからこそフィットネスに集中したいというユーザには適しているだろう。
SoundboxingはYouTubeの楽曲に合わせてユーザが制作した譜面を遊べる(もちろん自分が譜面を作ることもできる)のが特徴の人気タイトルだ。地味ではあるがVRのリズムゲームでは完成度の高い作品と言われており、1,000円以下で購入できるのも嬉しい。
Audioshieldの特徴は、曲から譜面が自動生成されるシステムを搭載していることだろう。Soundboxingと異なり、手持ちの好きな曲で遊ぶことができる。ただ、譜面生成の精度があまり良くないのでリズムに合わない曲も多いようだ。
また、プレイするたびに譜面が変わってしまう。そのため、繰り返し練習を重ねてハイスコアを狙うというプレイスタイルには適さない。
リズムゲームとして極めたいならSoundboxing、毎回違う譜面で飽きずに運動できる点を重視するならばAudioshieldを選ぶというのも一つの方法だ。
体幹が鍛えられるIcaros
上記のようなHTC Vive、Oculus Rift(一部PSVRも)で利用できるVRフィットネスアプリのメリットは、時間を選ばず自宅でプレイできることだ。アプリの価格も1,000円から2,000円程度なので、VRゲームを遊べる環境があるなら気軽にフィットネスを始めることができる。
自宅でプレイできるのでジムを訪れる他の人に気兼ねすることもなく、自分が好きなジャンルのゲームをプレイできる。マシンを利用するために待つ必要もなく、雨の日や帰宅が遅くなった日でも自宅で運動できる。
一方で、自由度の高さがマイナスに働く可能性もある。自宅でVRゲームをしているだけならば誰の目もないので、「今日は疲れた」とプレイしない日が続いてしまうかもしれない。身体を動かす要素が少ないVRゲームの新作にフィットネスの時間を奪われてしまうこともありそうだ。
また、HTC ViveやOculus Riftを使うVRシステムがトラッキングするのは主にユーザの上半身だ。ボクシングアプリで腕や胸の筋肉を鍛えるには適しているが、下半身を鍛えたいユーザにはあまり向いていない。
個人で購入できるVRフィットネスマシンもあるが、価格や設置場所を考えると一般の消費者にとってはジムでマシンを利用するのが良さそうだ。
ジムで導入されるVRフィットネスマシンの例としては、体幹を鍛えることのできるIcarosがある。Icarosは世界で約200箇所の施設に導入されており、VR空間を飛ぶ(コンテンツによっては泳ぐ)経験をしながら全身を鍛えることができるマシンだ。
価格は送料込みで約100万円と個人で購入するには高価だが、日本にも導入している施設がある。
通常はVRヘッドセットとしてGear VRを使うマシンになっており、HTC ViveまたはOculus Riftと組み合わせての使用も可能だという。
現行のPCベースVRヘッドセットはパソコンとの有線接続が必要なことに加え、サイズや重量の大きさが難点だ。しかし、今後数年でヘッドセットの小型化が進み、ワイヤレスで利用できるようになるだろう。
IcarosはVRヘッドセットと組み合わせて使うマシンだが、VRヘッドセットではなく巨大なスクリーンにVR映像を投影することを選ぶ施設もある。スクリーンを使えば、個人単位ではなく部屋単位のグループでフィットネスが可能だ。
香港のPure Fitnessは、2015年の6月に25万ユーロ(3,320万円)以上を投じて270度に広がるVRスクリーンを導入したという。
VRゲームの運動量を活かして家庭でダイエットや筋力トレーニングに使用できるVRゲームが開発されており、こうしたアプリを利用して体重を落とすことに成功したというユーザもいる。
一方でVRデバイスでトラッキングしにくい全身や下半身を鍛えるためにデザインされたマシンも存在しており、ジムは会員が飽きずに運動を続けられるようにVRスクリーンやVRマシンへの投資を行っている。
自分の目標レベルや生活スタイルに合わせて、ジムで、自宅でVR技術を使って身体を動かす時代が近づいている。
参照元サイト名:Daily Mail
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