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プレイステーションVR(PSVR)本体ローンチ時に話題を呼んだ「サマーレッスン」は、女子高生の家庭教師として一週間を過ごすという疑似恋愛的な内容だった。
また、PC向けのVRで大きな話題を集めた「VRカノジョ」もまた、アダルトゲームという枠の中での疑似恋愛コンテンツといえる。
疑似恋愛コンテンツが、他のジャンルのコンテンツと大きく異なっているのは、VRやARなど存在しなかった時代から、「いかに現実の恋愛と錯覚できるか」という点を目指していたこと。
つまり、そもそもVRと親和性が高いジャンルといえる。
そんな恋愛コンテンツの中でも金字塔と言える作品が、VR元年が明けた今年に入って、VRコンテンツとして発表された。
「ラブブラス」シリーズの最新作「ラブプラス EVERY」だ。
そこで、この記事では、「ラブプラス」シリーズのこれまでの要素を振り返って、恋愛コンテンツが恋愛を疑似体験させるため、いかにアイデアを尽くしてきたかを紹介したい。
VR/ARを問わず、様々なコンテンツで参考になるハズだ。
ラブプラス新プロジェクトが始まります!//t.co/ywdt3fkGXD#lovepluspic.twitter.com/Bf8lTvRMnH
— ラブプラス公式 (@loveplusproject) 2017年8月25日
「ラブプラス EVERY」は、恋愛ゲーム「ラブプラス」シリーズの最新作。
これまでのシリーズは、ニンテンドーDS、ニンテンドー3DS…と、任天堂の携帯機に向けてリリースされてきたが、最新作はiOSとAndroidに対応したスマートフォン端末に向けてのリリースとなっている。
恋愛ゲームというと、たいていはタイプの異なる数人のヒロインがいて、各ヒロインとの恋愛ストーリーを楽しめる…というもの。
「ラブプラス」シリーズもこのフォーマットに大きな違いはないのだが、ヒロインの数が3人と、恋愛ゲームの中では少なめになっている。
また、登場するヒロインはシリーズ中どの作品でも共通。
最新作である「ラブプラス EVERY」でも登場するのは、お姉さん的な魅力を持った姉ヶ崎寧々、同年代でお嬢様的な魅力を持った高嶺愛花、ちょっとわがままで妹的な魅力を持った小早川凛子というおなじみの3人だ。
登場キャラクターは少ないものの、その分各美少女…彼女とのつきあいが深く設計されているのが「ラブプラス」シリーズの特徴。
一般的な恋愛ゲームでは、小説やコミック、映画の恋愛モノがそうであるように、恋愛が成立するところでストーリーがエンディングを迎える。
しかし「ラブプラス」シリーズでは、恋愛成立は過程にすぎず、彼氏・彼女の関係になってからのお付き合いの比重が高い。
つまり、ひらたく言えば、ゲームの中で交際中の自分の彼女とイチャイチャするのを楽しめる…というのが「ラブプラス」シリーズの魅力なのだ。
最新作「ラブプラス EVERY」でもこの点は共通している模様。
さらに「ラブプラス EVERY」独自の要素としてVR機能が追加されているため、VRの臨場感でイチャイチャが楽しめてしまう…。
VRの持つ没入感を、最大限活かしたコンテンツになっていると言え、この時代にリリースされるべくしてリリースされるコンテンツといえるだろう。
東京ゲームショウ2017ビジネスデイ1日目、多くの方にモバイルVR体験に来ていただきました。
ありがとうございました!
明日もよろしくお願いします。#loveplus#TGS2017pic.twitter.com/rTGa3Cd29f— ラブプラス公式 (@loveplusproject) 2017年9月21日
「ラブプラス EVERY」は東京ゲームショウ2017で出展され、そのブースが注目を集めた。
というのも、作品の舞台である十羽野高校を再現していたからだ。
ブースでは十羽野高校の制服を着たコンパニオン達がガイドを行い、学校の教室で使われている机と椅子を使ってVR体験。
十羽野高校という架空世界をこれ以上ないほどの没入感で楽しめたようだ。
スマホ向けVRゴーグルによってVRを実現し、さらにはARKitやARCoreといった技術によって気軽にAR機能も実現可能になったスマートフォン。
しかし、こうした状況も現在ならではの話。
「ラブプラス」がリリースされた8年前の時点では、ここまでスマートフォンも普及しておらず、当然VRやARといった技術もそれほど有名ではなかった。
では「ラブプラス」シリーズはどうやって「カノジョ」達の存在感を作り出していたのだろうか?
//www.youtube.com/watch?v=agspRHcsuQQ
初代「ラブプラス」では、タッチ操作によるスキンシップと、現実の時間と連動した時間管理こそが、「カノジョ」達の存在感を高めていた。
「ニンテンドーDS」は、タッチパネルによるタッチ操作に対応していたため、タッチ操作によって「カノジョ」をなでたり、キスをしたり…といったスキンシップを実現。
さらに、臨場感のカギとなっていたのが、「リアルタイムクロック(RTC)」機能。
これは、「ニンテンドーDS」の時計機能を使って、現実の時間とゲーム内のイベントとを連動するというもの。
現実の時間や、現実の季節のイベントと連動したゲーム内イベントを起こすことで、現実とシンクロしたかのような臨場感を実現した。
また、こうした「いかにゲーム内を現実らしく感じさせるか」という試みは、クリスマスには東京都内のケーキ店で3人の「カノジョ」をイメージしたケーキが販売されるという現実側のイベントとしても実施。
「ニンテンドーDS」はカメラを持たない端末だが、2010年にiPhone/iPod touch用アプリとして「ラブプラス i」が提供され、ARマーカーを使って彼女とのAR写真を撮影できる機能が実現した。
//www.youtube.com/watch?v=Sz6p45GsLJQ
続編となる「NEW ラブプラス」は、「ニンテンドー3DS」向けソフトとして発売。
「ラブプラス」が本来持っていた機能に加え、「ニンテンドー3DS」が持つジャイロセンサーによって様々な角度から彼女を見たり、顔認識エンジンによってプレイヤーの顔を彼氏と認識するようになったり…という機能が追加された。
「ニンテンドー3DS」がカメラを持っていることで、写真撮影周りの機能が強化されていることも大きい。
観光地など実在するスポットの写真を「カノジョ」の画像と組み合わせてデートコースを作成できる…という機能によって、より「現実に付き合っている感」が強く感じられるようになった。
「ラブプラス EVERY」は、まだどのようなビジネスモデルで提供されるのか判明していない。
恐らく基本プレイは無料で、なんらかのデジタルアイテムに対し課金する形だろう。
しかし、かつてクリスマスイベントでケーキを販売したように、そのほかの形式も十分考えられる。
本作に登場するヒロインは、単なるキャラクターではなく、自分のカノジョとして極力現実に寄り添うような形で提示されているため、プレイする側も「より現実的にヒロインの存在を感じたい」と願わずにいられない。
このため、デジタルかリアル化に関わらず、様々なビジネスモデルが考えられそうだ。
仮想世界を扱うVR/AR業界の関係者としては、今後の動向が見逃せないコンテンツといえるだろう。
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