株式会社ダズル CEO 山田氏


7月にVRプロダクト向け分析サービス「AccessiVR(アクセシブル)」のティザーサイトを公開した株式会社ダズル。


2017年初旬のローンチを予定しており、現在クローズドβを募集中であるこの「AccessiVR」についてお話をお伺いした。


AccessiVRとは


AccessiVRは、VRプロダクトの分析と運営サポートサービスを提供する、デベロッパー企業向けのミドルウェア。


「VRコンテンツデベロッパーのプロジェクト責任者が、プロダクトを改善し目標を達成することをサポートするためのツール」をプロダクトコンセプトとし、運用計画・実行、データ分析、改善をシームレスにサポートする。


VR特有のデータとして「視点データ」や「インプットデバイス利用データ」などを取得でき、データビジュアライゼーションによって可視化し、理解しやすい形で提供していく。


対応VRプラットフォームは、OculusRiftGear VR、HTC Viveを予定しており、GoogleのDaydreamも検討している。ゲームエンジンはUnity、Unreal Engine4、Amazon Lumberyardなどへの対応を予定している。


VRコンテンツを作る企業のサポートをしたい


――AccessiVRの開発経緯についてお教えください。


山田氏:まず、ダズルとしてVR事業で何ができるかを考えたときに、BtoCの事業も並行してやりつつも、まずビジネスとして成立する広告などのBtoBの事業をやりたいと考えました。


しかし、広告を見るユーザーが整っていない段階で広告を始めるのは早いなと考えていました。


そんな中で、弊社の強みである技術力やスマートフォンゲーム運用のノウハウが活きる、VRプロダクト向けの分析ツールがよいのではないかと思い、プロダクトの開発に至りました。


――構想がまとまって稼働したタイミングから、ある程度の形にするまでの期間はどれくらいでしたか?


赤塚氏:構想がまとまったのはは3月くらいで、実験的なプロダクトに一部の機能を入れていきました。


必要最低限なものを実装するのにかかった期間は1ヶ月くらいで、今は見た目の美しさや、使い勝手の良さなどさらにプロダクトとしての価値を高めています。


左から 岩田氏、松竹氏、赤塚氏


 


――AccessiVRを開発していく上で、改善に役立つデータというのはどのように決められたのですか?


岩田氏:ダズルではVRのカジュアルゲームをつくっているので、エンジニアとしてどういうものがあればどういう改善ができるかというのを社内の人間である程度は共有できています。


さらに、競合サービスを使いつつ自社のメンバーからこんなものが欲しいというようなフィードバックを受け、機能を追加していくというような感じです。


山田氏:自分たちでもAccessiVRを使いながらVRコンテンツを作っているので、VRコンテンツ向けに使い易いようなものにしていっています。


 


――開発体制をお教えください。


岩田氏:デザイナー含めて5人。エンジニアが3名です。


 


――社内での既存の事業とVR事業のリソースの配分はどのようになっていますか?


山田氏:既存の事業が6、VR事業が4という感じです。


作業風景


 


――実際にプロダクトを作っていく上でのターゲット層はどこを想定していますか?


山田氏:企業向けですね。VR市場が伸びていくためにはコンテンツが増えなければならないと考えていて、その市場の成長に貢献するためにも、コンテンツを作る企業のサポートができるものを目指しています。


 


――VRコンテンツを作られてる人は個人でも多いと思いますが、そこについてはどのように考えていますか?


山田氏:VR市場も今のスマホゲーム市場と同じだと考えていて、VR市場が成長するためには企業がしっかりと良いモノを世に送り出していかないといけない。だから我々は、まずは企業様に使っていただきたいです。


 


ヒートマップでコンテンツを改善していく


――AccessiVRの実装方法はどのようにするのでしょうか?


岩田氏:利用者にSDKを配布するのでそれを導入し、送りたい情報をAPIから呼び出すという方法を取っています。


基本的にはSDKを入れるだけなので簡単に利用できます。



 


――AccessiVRを使って、具体的にどのような流れで改善ができるのでしょうか?


岩田氏:現在、VR上で配置してあるオブジェクトのヒートマップと、動画のヒートマップを導入しようとしています。


岩田氏:オブジェクトのヒートマップは、物がどの角度から見られているのかが分かるので、そもそもオブジェクトが見られているのか、見せたい角度で見せられているのかが分析できます。


動画のヒートマップに関しては、動画のどこが見られているのかが分かります。


山田氏:例えばVRゲームにマニュアルを用意していても、それに気づかなければ意味がありません。


そんな時にヒートマップがあれば、本当に見られているのか見られていないのかというのが分かり、どこにマニュアルを配置すればよいのか、本当にマニュアルが必要かなのかという部分まで分析が可能になります


 


――自分たちが見てほしいものを見てほしいタイミングで見せるのが難しいですよね。


松竹氏:コンシューマーゲームであればイベントシーンなどは固定できますが、VRではそれができないので視線誘導が重要だと考えています。


視線のデータを集めることで、特定のタイミングでどこを見ているのかがわかり、クリエイター側が見て欲しいものを適切なタイミングで見せることが可能になります。


クリエイターがテストプレイを間近で見られる状況ならいいですが、集計データとして有効な数を見るのは物理的に不可能なので、データを集めて後から分析できるというのは良いと思っています。



 


――他に取れるデータはあるのでしょうか?


岩田氏:構想段階ですが、マップをどう移動しているかというデータを取ることができれば、誘導したいコンテンツへの導線を改善できると思っています。


 


――AccessiVRの導入にあたって、サポートは受けられるでしょうか?


山田氏:導入をご検討下さる企業様に対してはもちろん全力でサポートさせていただきます。9月末にデモ版が完成予定なので、そこに向けて現在頑張っているという状況です。


 


――対応プラットフォームはどうなっていますか?


岩田氏:SDKはUnityもUnreal Engine 4もどちらも対応しています。この2社は現時点でVRの2大ゲームエンジンであると考えているので、どちらも対応する必要があると思っています。


他社の解析ツールとの違いは、各ゲームエンジンに対応できるというところだと思っています。


 


――対象としているのは日本のみですか?


山田氏:メインは日本ですが、アジア圏も想定しています。


その中で、なるべく早いうちに英語と中国語のサポートはできればと思っています。


 


――ビジネスモデルはどのようになっていますか?


山田氏:MAUに応じて月額制で提供しようと思っていますが、まだ金額感は決定していません。


最初は導入してもらうことが重要だと考えているので、なるべく多くの企業様に使っていただきたいと思っています。


初期の一定期間は無料で、一定期間終了後に有料プランに移行というのがベースでありつつ、初期導入企業に対してはなにか特典をつけるというのも考えています。


無料期間でどの程度インフラにコストがかかるのかも分かってくると思うので、そこで実際の金額を決定できると思っています。


 


――他にVR向けのプロダクトは作っているのでしょうか?


山田氏:VRゲームをいくつか作っていて、すでにリリースしたものが1つ。申請中のものや開発中のものが3,4つあります。


それ以外にVR動画もやろうと思っていて、機材も購入済みです。


様々な動画を撮影していって、スキームを作ってカスタマイズし、受託などもできればと思っています。


AccessiVRの問い合わせの中でも、動画に導入したいというものが多いです。


動画はVRコンテンツの参入として分かりやすく、市場ができていきやすいと思っているので、特に動画対応は重視しています。


 


――採用面で、どのような人材の募集をしているのでしょうか?


赤塚氏:フロントもサーバーサイドも、エンジニアは基本的に募集しています。


AccessiVRはVR向けとはいいつつも、ユーザーが見るものはJavaScriptを使っていたりするので、それに強いフロントエンドエンジニアは募集しています。


また、高負荷に耐えられるような設計ができるサーバーサイドのエンジニアを募集しています。



 


ダズル、そしてAccessiVRの強み


――御社やAccessiVRの強みはどういった部分でしょうか?


岩田氏:スマートフォンコンテンツやVRコンテンツを実際に開発・運用している我々が、現場の目線で使いやすいものを開発しているという点、そして、技術者の目線から、ライトで組み込みやすいモノを作っているという点です。


実際、他社のアナリティクスツールを使ってみて、使いづらいという感想がありました。それに対して使いやすいプロダクトを提供できるというのがAccessiVRの強みだと思っています。


赤塚氏:githubを使って開発をし、CI環境の導入は当然のように行っているなど、モダンな開発フローを採用しています。


コードの品質はかなり担保できていますが、品質を求めすぎてプロダクトの開発が止まってしまうのは問題なので、そういう部分のバランスも考えつつ開発を行っています。


使う言語やミドルウェアなど、基本的には各チームのエンジニアに任せているので自由度は高いですが、その分求めているレベルも高いと思います。なので、チーム間の移動は大変かもしれませんが、言語が変わったくらいで困るようなエンジニアは採用していないですね。


山田氏:基本は中途のみの採用で、特に技術者はコードも提出してもらっていたりして、かなり高いレベルの人しか採用していないです。そういった部分も、強みだと思っています。


 


――ありがとうございました。


「AccessiVR」は、VRコンテンツを作成している企業はもちろん、VR市場への参入を考えている企業にも非常に有用なミドルウェアなのではないだろうか。


また、優秀なエンジニアは常に募集しているとのことなので、我こそはと自信がある方は募集してみるのもよいかもしれない。


AccessiVR

https://accessivr.io/


株式会社ダズル

http://dzl.co.jp/


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情報提供元: VR Inside
記事名:「 ヒートマップからVRコンテンツの改善を行える「AccessiVR(アクセシブル)」開発インタビュー