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初音ミク以前のバーチャルアイドルと初音ミクには決定的な違いがひとつある。
初音ミク以前のバーチャルアイドルはタレント事務所など特定の組織がプロデュースしていた。
これに対し、初音ミクはキャラクターとしての外観は「ボーカロイド」という音声合成ソフトとして提供されているため、ソフトのユーザーが自由に楽曲を作ってプロデュースし、ネットを使って配信することができた…という点だ。
つまり、初音ミクはただバーチャルアイドルとしてヒットした…というより、バーチャルアイドルに対して新たなビジネスモデルでアプローチし、成功させた事例といえる。
そんな「初音ミク」も登場から十年を数え、また新たな形のバーチャルアイドルが登場しつつある。
それが、最近話題になっている「キズナアイ」だ。
「キズナアイ」とは、日本初のバーチャルYoutuber(自称)。
Youtubeを中心に活躍、今年に入って話題を集めており、チャンネル登録者は9月15日現在で79万人を超えている。
動画の内容は多彩で、ライブと称する生配信やゲーム実況など。
肩書通り、Youtuberが配信している王道コンテンツを配信している形だ。
3Dモデルで表現されたビジュアルと、表情や声、しぐさのかわいらしさから、人気が出るのも頷ける!
「バーチャルYoutuber(自称)」という肩書をそのまま受け取って楽しむ…というのが本道…と思いつつ、どうしても気になってしまうのが、誰が声をやっているのか?や、誰がモデリングをしたのか?…といった点。
さらに、無粋とは思いつつ、やはりどんなサークルや企業が、何を目的に展開しているのか…というのも気にかかる。
これについては、公式ホームページを見るとある程度確認できる。
「キズナアイ」は、3Dモデルデータの配布と、一定の範囲内での二次使用を許諾しており、ダウンロードページに制作スタッフが記載されている。
それによると、イラストは森倉円氏。
モデリング制作監修はTda氏、モデラーはトミタケ氏となっている。
声については記載がないので、声は「キズナアイ」自身ということなのだろう。
ちなみに、権利について詳細に記載した「ライセンス条項」ページには「Project A.I.(当製作委員会)」が「キズナアイ」の著作権を占有しているとある。
すくなくとも権利ページからすると、企業体ではなく、複数のクリエイターが集まった製作委員会が展開しているプロジェクトのようだ。
ビジネスモデルについては、現時点ではYoutubeを起点にして知名度を高め、そこから企業やコンテンツとのコラボレーション、CM、グッズ制作などに展開させようとしていると推測できる。
つまり、この点では一般的なアイドルのビジネスモデルと近い。
なお、商業的な試みでは、すでに株式会社バンク・オブ・イノベーションのスマホ向けRPG「ミトラスフィア -MITRASPHERE-」とのコラボレーションが実現している。
【関連サイト(外部サイトに移動します)】
Youtubeチャンネル「A.I.Channel」
Youtubeサブチャンネル「A.I.Games」
Twitterアカウント「Kizuna AI@Virtualの住人」
公式ホームページ「Kizuna Ai Official Website」
「キズナアイ」の展開がユニークなのは、製作委員会によって作られたYoutubeの配信というスタイルを採りながらも、3Dモデルデータを配信し、二次利用を許可するという手法を取り入れている点だ。
製作委員会によって「キズナアイ」の活動をトップダウン型で配信していくというのは、初音ミク以前の従来のバーチャルアイドルの手法に見える。
この手法と二次利用許可型は一見相性が悪いように思える…が、そうではない。
というのも「キズナアイ」の活動の場が、テレビや雑誌ではなくYoutubeだからだ。
これによって、「キズナアイ」に共感したクリエイターが「キズナアイ」の二次創作としてYoutube動画を作った場合、その動画も本家の配信と同様、Youtubeに並ぶことになる。
この結果、様々なクリエイターによって様々な描かれ方をした「キズナアイ」がネット上に出現。
ファンは自分が気に入った「キズナアイ」を支えればよい…というところに行きつく。
これは「初音ミク」と同じ形だ。
つまり、「キズナアイ」は、一見従来型の手法を取りつつ、巧妙に「初音ミク」型の手法を活用している。
人々の趣味嗜好が多様化した現在において、多数のクリエイターがそれぞれの思うアイドル像を描くことで様々な趣味嗜好に応える…というのが理に適っているように思う。
このページをご覧の方は、話題になっているらしい「キズナアイ」が何なのか、サクッと知りたいからこそご覧いただいているのだと思う。
そこで、「キズナアイ」をサクッと知る上で押さえておきたい動画を3つご紹介!
ものをサクッと知りたいならWikipediaをチェックするのが早道。
ところが「キズナアイ」は、Wikipediaに掲載されていない…。
これはネットユーザーにとっても不便だけど、「キズナアイ」にとっても心外なようで、Wikipediaへの登録を訴えかける動画が用意されている。
この動画を見ると、Wikipediaで調べたい「キズナアイ」の基本情報が押さえられるので、入門にはピッタリだ!
これまでの経緯を効率よく理解するのに助かるのが、総集編やダイジェスト。
「キズナアイ」は一度Youtubeでアカウント停止を受けており、その期間中に作られたのがこちらの総集編。
アカウント停止を受けた理由は「全裸」が原因。
…といっても「全裸」になったわけじゃなく、「キズナアイ」は3Dモデルデータなので、「全裸」で服を着ていないも同然…という発言を行ったというもの。
実際3Dモデルデータはデータサイズを軽くするため、服の内側の情報は削ってしまうので、確かに言われてみれば「全裸」と言えないこともない…。
ゲーム実況を見るなら、現在話題になっていて、これからも話題になるゲームのプレイを見るのがオススメ。
そこで「キズナアイ」が、話題のバトルロワイアルFPS「PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS(PUBG)」をプレイしている動画をどうぞ。
「PUBG」はPCゲームとしてSteamで先行リリースされ、まだ正式販売される前だというのにSteamの同時接続数1位ゲーム「Dota2」を打ち破り、記録更新したという作品。
今後の正式リリースにおいては、日本ではDMM GAMESから発売が予定されており、大々的なプロモーションも行われているため、今後さらに話題が高まっていきそうなタイトルだ。
Youtube動画だけでなく、「キズナアイ」はInstagramも展開、そちらではイラストレーションを中心に公開が行われている。
また、イラスト投稿サイトPixivでも「キズナアイ」のイラストが増加中。
共感するクリエイターは順調に増えているようだ。
このため、今後さらにネットでの露出は増えていくだろう。
今後さらに拡散していきそうなので、今のうちにしっかり情報を押さえておくのがよさそうだ!
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