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VR/AR市場の成長や各社から販売されるVRヘッドセットの販売台数は、デバイスの購入時期を考える世界の消費者や最先端テクノロジーへの出資を検討する投資家にとって重要な情報だ。2017年第2四半期のVR/AR市場について、IDCは「堅実な成長軌道を維持している」とレポートをまとめている。
VR及びARヘッドセットの出荷台数は、前年比で25.5%増加しているという。
2017年のVR市場を語る上で欠かせないのは、VRヘッドセットの値下げだ。
3月にはPCベースのVRヘッドセットとしてHTC Viveとともにメジャーな存在となっているOculus Riftが初めて値下げされ、ハンドトラッキングコントローラーと合わせると約800ドルだった価格を600ドルまで引き下げた。
第3四半期に入ると夏のキャンペーンの一環として行われたハードウェアのセールで過去最安値となる399ドルでRiftとTouchのセットが販売され、かなりの売上があったようだ。
先日発表されたSteamのハードウェア調査によると、Steamユーザが使用するVRヘッドセットの43.81%がOculus Riftだという。最も使用されているのはHTC Vive(52.31%)だが、Viveとの差はこの一月で15%以上縮まっている。
Oculus Rift DK2を使用するユーザも少数ながら残っているため、HTC対Oculusという構図で見れば両者の差はさらに小さい。拮抗した状態だ。
また、8月にはHTC側もついにViveの値下げを発表している。スポークスパーソンによれば、Oculus Riftの値下げに対抗したものではないとのことだ。
世界共通ではなくアメリカとカナダに限られたバンドルだが、ソニーも実質的なPSVRの50ドル値下げとなるバンドルの提供を開始している。
2017年には、複数のメーカーから新しいVRヘッドセットがデビューすることも決まっている。発売時期が遅いので市場調査の結果に現れてくるのは第4四半期からになってしまうが、クリスマス商戦には影響を与えることになるだろう。
Viveの値下げを行ったHTCは、Daydreamプラットフォームに対応する独立型VRヘッドセットの発売を予定している。Viveの後継機ではないが、おそらく低価格でVRを体験したい消費者の受け皿となるだろう。
マイクロソフトの技術を使ったWindows MRヘッドセットも複数のメーカーが開発を進めており、既に発売されたものや詳細なスペックが公開されているものもある。VRヘッドセットに比べると低スペックなパソコンでも動作するようなので、手が出しやすいデバイスになるかもしれない。
IDCのレポートではVRとARがいずれも調査の対象となっている。しかし、この調査の大部分はVRヘッドセットに関するものだ。AR技術を取り入れたハードウェアの開発はVRに比べて遅れており、出荷台数の98%がVRヘッドセットだという。
大きな割合を占めるのは、スマートフォンを装着して使うタイプのモバイルVRヘッドセットだ。これが出荷されたデバイス全体の半数を占める。
有線接続が必要なVRヘッドセットの販売台数はモバイルVRよりも少ないものの、第1四半期の34%から43%へと割合を増やしている。この大きな理由となったのは、Oculus Riftの大幅な値下げとPSVRの好調な売れ行きだ。
ARヘッドセットはまだメジャーな消費者向けのデバイスが出てきておらず、少なかった昨年よりもさらに出荷台数が減る結果となっている。
サムスンは、Gear VRの人気によって最も多くのVRヘッドセットを販売した企業となっている。VRヘッドセット出荷台数全体の26.7%がGear VRだ。
2017年版のGear VRはリモコンに対応し、価格も少し上昇している。
サムスンに続くのがソニーだ。PSVRはGear VRに比べると高価なデバイスだが、出荷台数の24.4%がPSVRである。
『バイオハザード7』のような人気タイトルが継続的に売れていることに加え、シューティングコントローラーを使う『Farpoint』の登場でロケーションVRのようなシューティング体験もできるようになった。
第三位はFacebook(Oculus)だ。上位2社に比べると出荷台数は半分以下の11.6%だが、HTC(4.4%)を大きく超えてきた。主な理由はOculus Riftの価格を引き下げたことだろう。
サマーセールと二度目の値下げによって、第3四半期にはさらにシェアを伸ばしている可能性が高い。
HTCはライバルのOculusに差を付けられてしまったが、最近になってViveの値下げを行った。この価格改定によって、シェアを回復することができるだろうか。
2017年の第2四半期も成長を続けていることが確認されたVR/AR市場。次の四半期にはOculusサマーセールやHTCの値下げによる販売促進効果が見られるはずだ。第4四半期になると複数の新デバイスも登場し、さらに市場全体が活性化するだろう。
サムスンとソニーは相変わらず強いが、ハイエンドデバイスの価格低下を考えるとこの2社も安泰とは言えないかもしれない。
参照元サイト名:IDC
URL:http://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prUS43021317
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