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VRヘッドセットは徐々に安価なデバイスになっているが、PCベースのデバイスを使った高品質なゲームを楽しみたいと思うとそれなりの費用をかけて環境を整えなければならない。さらに、日本の家庭環境を考えるとルームスケールのVRゲームを遊ぶためには部屋を片付けてプレイエリアを確保しなければならないという家庭も多いだろう。
「ゲームのために10万円はかけられない」「購入を決める前に一度VRゲームを体験してみたい」というゲーマーには、VRアーケードに行ってみるという手もある。
ロケーションベースのVRゲームや特別なデバイスを使ったVRゲームを提供しているアミューズメント施設もあるが、家庭用デバイスとゲーミングPCでプレイできるゲームを試せる施設もあるからだ。こうした施設でゲームをした場合も、きちんとデベロッパーの利益になるという。
PCベースのVRヘッドセットで利用できるVRゲームを購入するためのプラットフォームとしても、メジャーな存在となったSteam。VRヘッドセットは持っていなくてもPCゲームをSteamで購入しているというユーザは多いだろう。
そんなSteamで一度購入したゲームはもちろんユーザが自由に遊べるのだが、料金を支払ったからといってそのゲームに関する全ての権利を得たわけではないことに注意が必要だ。デベロッパーが設定した料金はあくまでも一般のプレイヤーとしてゲームを遊ぶための金額であり、ゲームを解析してBGMや画像、ソースコードを自作ゲームに組み込むことまで許されているわけではない。
ゲームを商業目的で使うことも、これらの行為と同様に許可されていない。Steamでプレイヤーとして購入したゲームを、自分の運営するVRアーケードやネットカフェで提供することはできないのだ。
VRアーケードにとってもデベロッパーにとっても簡単なのは、Steamを通して商用ライセンスを得る方法だ。デベロッパーが設定した料金を支払うことで、同時に1台のコンピュータでそのゲームを提供することが許される。
デベロッパーにとっても、複数のVRアーケードと個別に交渉や契約を行わずに済むシンプルな方法だ。だが、誰でも商用ライセンスを得ることができてしまう(デベロッパーが個別に契約内容を事前確認できない)という難点もある。
アーケードの運営者にとっても、規模が大きな施設だとコストがかさんでしまうのが悩みになるかもしれない。1ヶ月のライセンス料が15ドルの場合、10のブースがあるVRアーケードではゲーム1本に150ドルがかかることになる。
Steam経由ではなく直接デベロッパーに連絡を取れば、「10ライセンスで100ドル」のような値引きをしてくれるように交渉する余地があるかもしれない。
しかし、多くの場合はSteamを使う方法を求められるだろう。デベロッパーにとってその方が管理が簡単だからだ。
多くのVRアーケードが採用しているのが、ゲームのプレイ時間に応じて料金を支払う仕組みだ。アーケードのPCには各タイトルがプレイされた時間を追跡するシステムが構築されており、そのプレイ時間に応じた料金が支払われる。
1分あたり4円の契約で、先月は1,000分プレイされたので4,000円といった具合だ。この例はVirtual Reality Popの記事で示されたものだが、Steam Site Licenseの例と比べると金額が非常に安いことが分かる。時間単価の設定次第ではあるが、VRアーケードの運営者にとってはゲーム1本の値段を抑えられる方法だ。
よほどの人気作でなければデベロッパーの収入は減ることになるので、Steam Site Licenseの使用を求められることもあるだろう。
月ごとの定額やプレイ時間に応じての料金を支払うのではなく、生涯ライセンスを得るという方法もある。しかし、デベロッパーのJoe Radakによればこれを求めるのは悪手だという。
デベロッパーにとっては損になるので、一般的にはこうした契約を結んでいることはないだろう。
質の低いゲームを売り逃げたいという悪質なデベロッパーもいるかもしれないが、彼らのゲームをVRアーケードで提供しても顧客を引き付ける効果が得られないので無意味である。
VRアーケードはゲームのライセンス料を抑えたい、デベロッパーは開発に資金をかけるためにライセンス料を高くしたいというジレンマはあるが、両者が良い関係を築くこともできる。
そのために重要となるのがきちんと連絡を取ることだという。
VRゲームのデベロッパーは、ユーザが自身のゲームをどう評価しているかを知りたいと考えている。VRアーケードでどのくらいプレイされているのか、ユーザが一度に何分くらいプレイするのかという情報はアップデートや次回作の開発にあたって参考にしたい内容だ。
VRアーケードの運営者がこうしたプレイ時間の情報やユーザからのフィードバックをデベロッパーに伝えていけば、より良い作品の開発に繋がるだろう。
残念ながら、デベロッパーの許可を得ずにVRゲームを提供しているVRアーケードも存在するようだ。しかし、ほとんどのVRアーケードではきちんとデベロッパーにも利益のある契約を結んでいる。
デバイスを購入せずにVRアーケードで遊ぶだけでも業界の発展に繋がっていくだろう。
参照元サイト名:Virtual Reality Pop
URL:https://virtualrealitypop.com/so-you-want-to-start-a-vr-arcade-5a0c08250968
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