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本メディアでは2017年末に$400(約¥43,000)以下のWindows VRヘッドセットが出揃うこと、およびそうしたVRヘッドセットに対応したVRコンテンツが豊富であることを報じている。
同VRヘッドセットに関しては、まだ残されている疑問がある。それは、VRヘッドセットと専用コントローラー、そしてそれらを動作させるwindows PCのセットをそろえるには、いったい費用はどのくらいかかるのか、という疑問だ。
こうした疑問に対して、US版windowsブログは以下のように答えている。
今年末のホリデーシーズンには、多様なWindows Mixed Realityヘッドセット(MicrosoftはVRという単語をあえて使用しない)とモーションコントローラーが、HP、Lenovo、Dell、そしてAcerからリリースされます。
ヘッドセットとコントローラーのバンドルは$399(約¥43,000)より安い価格から発売を始め、このバンドルに対応した既存のPCおよび新製品のPCは$499(約¥54,000)から販売を始めます。
以上の記述に従えば、Windows VRヘッドセットはセット価格で$900(約¥98,000)を下回ることになる。この価格は、Windows PCを使うハイエンド型VRヘッドセットであるVIVEおよびOculus Riftと比べて破格とも言える。
ちなみに専用コントローラーに関しては、すでにMicrosoftから発表されたものはリファレンスデザインに過ぎず、実際に発売される時は各メーカーが独自にデザインをカスタイマイズするようだ。
さらに同ブログ記事では、Windows VRヘッドセットに対応したPCは、ユーザーのニーズに合わせて2種類用意することを約束している。その2種類とは、以下の通り。
・Windows Mixed Reality Ready PC:グラフィック性能として60fpsを実現するグラフィックボードがCPUと一体となっているモデル
・Windows Mixed Reality Ready Ultra PC:グラフィック性能として90fpsを実現するグラフィックボードとCPUが分離しているモデル
Windows Mixed Reality Ready Ultra PCはWindows Mixed Reality Ready PCより高額になると予想されるが、2種類のPCが両方とも$499を下回るかどうかにかんしては、同ブログは何も言及していない。
上記2種類のPCモデルに関連して、Windows Mixed Reality開発者センターには、この2種類のPCモデルに関する最小スペック表が掲載されている。その表から重要情報を抜粋すると、以下の表のようになる。
スペック項目 | Windows Mixed Reality Ready Ultra PC | Windows Mixed Reality Ready PC |
---|---|---|
OS | Windows 10 (RS3) Fall Creators Update | Windows 10 (RS3) Fall Creators Update |
CPU | i5 Intel Core i5 (第4世代) CPU4基、AMD FX-4350 4.2Ghz以上 | Intel Core i5 (第7世代) CPU、Intel® Hyper-Threading Technology enabled2基以上 |
RAM | 8GB DDR3 | 8GB DDR3 Dual Channel |
HDD | 10GB以上 | 10GB以上 |
グラフィックカード | NVidia GTX 965M、AMD RX 460以上のDX12に対応したグラフィックカード | Integrated Intel® HD Graphics 620以上のDX12に対応したグラフィックカード |
2種類のPCモデルの最小スペックにおける差異で重要なのは、CPUとグラフィックカードの差異であろう。
同ブログでは、さらにWindows VRヘッドセットがSteamに対応することを表明している。その表明は、以下のように綴られている。
加えて、Windows Mixed RealityヘッドセットがSteamコンテンツに対応することを発表することに興奮を覚えています。
バーチャル・リアリティに熱狂しているヒトならば、Steamこそが最先端の没入的コンテンツを楽しむことができる場所だと知っているはずです。
以上の表明は、一見すると非常に歓迎すべきことのように思われる。しかし、この表明を額面通り受け取ることはできない。というのも、以上の表明はSteamという単一のゲームプラットフォームにVIVE、Oculus Rift、そしてWindows Mixed Realityという3つの規格の異なるVRヘッドセット対応コンテンツが混在することを意味するからだ。
2017年末以降、Steamを利用しているVRコンテンツ開発者は上記3つのVRヘッドセットに対応するか否か決断を迫られることになるだろう。もし3種類のVRヘッドセットに対応すると決断したとしても、専用コントローラーの挙動がかなり異なっているので、果たして対応が可能なのかどうか技術的に検討しなければならないだろう。
VRユーザーにとっても、Windows VRヘッドセットのSteam参入は良いことばかりではない。仮にWindows VRヘッドセット独占タイトルがリリースされた場合、VIVEあるいはOculus Riftユーザーは、さらにVRヘッドセットを購入するかどうか決断を迫られる。こうした悩ましい状況に対して、あるいは(OculusコンテンツをVIVEでプレイすることを可能とする)Reviveに類した非公式ツールが登場するかも知れない。この非公式ツールを使えば、Windows VRヘッドセット対応コンテンツをVIVEやOculusに非正規に移植できる、というわけである。
まとめると、Windows VRヘッドセットのVR市場への参入は、この市場にさらなる多様性をもたらすだろう。だが、多様性がもたらされる裏返しとして、開発リソースと消費ニーズの分散が生じるかも知れない。いずれにしろ、同VRヘッドセット関連の動向は、2017年後半のVR市場における注目点であることは間違いない。
Windows VRヘッドセットのセット価格を報じたUS版Windowsブログ記事
https://blogs.windows.com/windowsexperience/2017/08/28/windows-mixed-reality-holiday-update/#iImqguPfuDQDMqEQ.97
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