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「EVO Japan 2018」では、今年6月に発売されたばかりのニンテンドースイッチ向けゲーム「ARMS」が種目としてラインアップされている。
また、プロe-Sportsチームである「SCARZ」が同じくニンテンドースイッチ向けゲーム「スプラトゥーン2」について部門を立ち上げるなど、日本でもe-Sportsが活性化しつつある。
そんな中、8月に行われた「Dota 2(ドータ ツー)」の世界選手権においては、VRを使ったライブ配信が実施された。
日本だけにとどまらず、e-Sportsというジャンルが大きく飛躍しようとしている状況だ。
そこでこの記事では、VRライブ配信を実施した「Dota 2」と、「Dota 2」のゲームジャンルであり、e-Sportsのメジャー種目となっている「MOBA」について紹介したい。
「Dota 2」はゲームの固有名称で、「MOBA(マルチプレイ・オンライン・バトル・アリーナ)」と呼ばれるゲームジャンルの作品。
「MOBA」の目的は敵の拠点を破壊すること。
敵・味方とも人間が操作するプレイヤーで、それぞれのプレイヤーがヒーローと呼ばれるユニットを操作して戦う。
ヒーローにはそれぞれ、防御力は高いが攻撃力は低いだとか、攻撃力は高いが防御力は低い…といった特徴が設定されているため、勝つためにはチームメンバーとの協力が欠かせない。
ヒーローは特徴やヒーロー同士の相性こそあれ、強さ自体に明確な差が持たされているわけではないので、プレイヤーのテクニックと戦略がゲームのポイントとなる。
現在e-Sportsのメジャー種目になっているのは、このようにプレイヤー自身の腕前が極めて重要なゲームジャンルだからだろう。
なお、そもそもこのゲームジャンル自体を生み出したのが「Dota 2」の前作である「Dota(Defense of the Ancients)」。
「Dota」は、「War Craft3(ウォークラフト3)」という「RTS(リアルタイムストラテジー)」から派生して作られた作品で、いわばジャンルの元祖であるため、これまで「Dota」的なゲームのことは「Dota系ゲーム」と呼ばれていた。
しかし「League of Legends(リーグ・オブ・レジェンド)」や「Heroes of the Storm(ヒーローズ・ザ・ストーム)」、「Vainglory(ベイングローリー)」など同ジャンルのゲームが増えてくるにつれ「MOBA」というジャンル名が定着していったのだ。
「Dota 2」は5VS5のチーム戦でプレイする「MOBA」で、「Ancient」と呼ばれる敵の拠点を破壊することが目的。
とはいえ、いきなり敵拠点を破壊するなんてことはできない。
敵「Ancient」までの3つのルート(=レーン)を辿り、敵拠点までの間に配置されている敵の建物を破壊していくことで、徐々に敵「Ancient」へと迫っていく。
もちろん、敵ヒーローは建物を守ろうとするし、敵ヒーローもこちらの建物や拠点を狙って行動している。
プレイヤーが選択可能なヒーローは100種類以上あり、個性豊かなパラメーターとスキルを保有。
しかし、格闘ゲームのようにヒーロー同士がいきなり戦うゲームではない。
ヒーローにはRPGのようにレベルが設定されており、経験値を貯めることでレベルアップして強化できる。
このため、いかに敵よりも早く成長させるか…というところがゲーム進行上のポイント。
自分が敵ヒーローを倒した場合には大量の経験値を獲得できるが、逆に敵ヒーローに倒された場合的に大量の経験値を与えてしまうので、いかに倒されないように敵を倒すか…という立ち回りが重要だ。
ヒーローには、序盤は弱いがアイテムによって強くなっていく「キャリー」、スキルによる援護を得意とする「サポート」、敵の成長を妨害する「ヌーカー」、敵の攻撃を妨げる壁役「デュラブル」、集団船を得意とする「イニシエーター」…などなどの役割が設定されている。
こうした自分のヒーローの役割を最大限活かしつつ、仲間のヒーローと連携し、敵の弱点を突く…という戦略性に本作のおもしろさが詰まっている。
プレイヤーたちの戦略を楽しむ「Dota 2」にとって、VRライブ配信がどんな意味を持つのか?というと、観客が「Dota 2」の世界に入り込めるという新たな価値が生まれることだ。
「Dota 2」は現在どの場所にどのプレイヤーが存在するのかという空間情報が意味を持つゲームだ。
このため、通常マップ、ミニマップとも俯瞰形式で各キャラクターの位置関係が把握しやすいインターフェースになっている。
位置情報を元に戦略を家が得るプレイヤーにとっては理にかなったインターフェースだ。
しかし観客にとっては、個性的なヒーローたちがド派手なスキルで戦う要素もまた魅力!
この点、VRであれば、観客はヒーローの視点でプロゲーマーの操作する「Dota 2」の世界を体験できる!
ヒーローたちが活躍する様子を、まさにその場に立ち会って鑑賞できるというわけだ。
一方、VR空間にスクリーンを使って俯瞰の状況を投影するモードもあり、これまで通り、プロゲーマーたちがどんな戦略を駆使しているのか…という観点から鑑賞することもできる。
プレイヤーは俯瞰視点、VR観戦者は一人称視点…というように、非VRのプレイヤーとVRを使用する観戦者という形で分けるのは、他のゲームジャンルでも活用できそうだ。
たとえば日本発のe-Sports種目「対戦格闘ゲーム」は、基本的にプレイヤーは横から見たサイドビュー形式でプレイする。
これは、技のリーチが重要な要素となる「対戦格闘ゲーム」において、3Dの主観視点よりも敵との間合いが把握しやすい2D視点の方がプレイしやすいからだ。
しかし、観戦者としては各キャラクターの視点から試合を体験してみたい…。
こうした要望を両方叶えることができるVR技術は、今後e-Sportsの種目として発展していくゲームジャンルにとって、有効なソリューションになるんじゃないだろうか。
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