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家庭用のVRデバイスでは体験できない、広いスペースを使ったロケーションベースのVR体験をもたらしてくれる施設が世界的に人気となっている。
ロケーションベースVRを提供する企業としては来年正式なサービスを開始する予定のNomadicや既に複数の施設を展開しているThe Voidなどがある。
The Voidや他の施設にトラッキングシステムを提供しているOptiTrackは月曜日、ロサンゼルスで開催されたSIGGRAPH 2017で全身のトラッキングが可能な新しいシステムを発表した。
OptiTrackは既にトラッキングシステムをロケーションベースVRの企業に提供しており、その一つであるThe VoidはDisney Acceleratorプログラムの対象となっている。
新しいトラッキングシステムは、足を含めた全身のトラッキングや容易なメンテナンスといった強みがあるという。
家庭用のVRシステムでは頭(ヘッドセット本体)と手(ハンドトラッキングコントローラー)をトラッキングするのが一般的で、足を含めた全身の動きを追跡できない。
Vive Trackerを足に取り付けてトラッキングする方法も考えられているものの、両足と腰でVive Trackerが三つ必要になる。Vive Trackerは一つ12,500円なので、価格を考えると家庭用に普及させるのは難しいだろう。
OptiTrackの新しいシステムでは、上のVive Trackerを使う方法と同様に足の甲に装置を付けることになる。手と足の甲に合計四つのパックを取り付けることで、自由に移動できる広い空間での全身トラッキングが可能となる。
ヘッドセットとコントローラー、そして手足に取り付けたパックの位置情報を組み合わせてプレイヤーの位置と姿勢を判断するようだ。
OculusRiftやHTC ViveといったハイエンドVRヘッドセットは精度の高いポジショナルトラッキングが可能だが、その追跡範囲は限られている。
100から150平方フィート(9から14平方メートル)のトラッキング能力は家庭のリビングルームで使うには十分だが、アーケードで使うには狭い。
OptiTrackのシステムは家庭ではなく商業施設での使用を前提としており、1万平方フィート(900平方メートル以上)ないしそれ以上のスペースでトラッキングできる。
VRゲームやモーションキャプチャーに使用されるトラッキング技術では、正確なトラッキングのために頻繁にカメラのキャリブレーションを行う必要がある。
VRアーケードでは、全てのカメラがトラッキング性能を維持していることを確認するために、オペレーターが毎日この作業を行っていた。
OptiTrackのシステムでは、システムが自分自身を調整してくれるので専門の技術者が不要になる。
専門的なVRアーケードではなく、ショッピングモールや映画館のような施設がVRの導入を考える場合にはメンテナンスの容易さがシステムを選ぶ理由になり得る。
OptiTrackの戦略責任者Brian Nilesは、「高校生でも扱えますよ」と受けあった。
VRゲームの世界でもしばしば耳にするモーションキャプチャー技術。
7月の末にSteamで早期アクセスを開始したリアルな卓球ゲーム『Racket Fury』でも、対戦相手となるキャラクターの動作はプロの卓球選手をモーションキャプチャーしたものだという。
今回新しいトラッキングシステムを発表したOptiTrackは、VRヘッドセットが登場するよりも前からトラッキングソリューションを販売してきた企業だ。
顧客となっていたのは、モーションキャプチャースーツを使う映画業界の企業だ。
同社のトラッキング技術によって俳優やスポーツ選手の実際の動きを取り込むことで、映画に使われるCGやアニメのキャラクターの動きがリアルなものになっている。
ここ数年伸びてきたVR業界でも、トラッキング技術が使われている。おまけに、ハードウェアメーカーは個人用のトラッキングシステムに集中していた。
OptiTrackは商業施設向けのトラッキングシステムを開発する企業が無く、同社の技術をこの分野に転用できることに気がついた。
新しいトラッキングシステムによって、単に「移動できる」だけではなく「蹴る」「踏む」といった足の動きを使って操作するVRゲームを提供するアーケードが登場しそうだ。
また、メンテナンスが容易になることでこれまでVRの導入を躊躇していた企業の後押しとなるかもしれない。ロケーションベースのVR体験を提供する施設の数がさらに増えることになるのだろうか。
参照元サイト名:Variety
URL:http://variety.com/2017/digital/news/optitrack-full-body-tracking-1202510638/
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