圧力も感知するVR用スタイラスペン


VRアプリは、ゲームやエンターテイメントといった受け身のコンテンツだけではない。ユーザが絵や3Dモデルを作成できる『Tilt Brush』のようなアプリも存在している。


しかし、ハンドトラッキングコントローラーでは紙と鉛筆を使うような緻密な操作をするのが難しい。


デベロッパーのJimmy Grayが開発するプロトタイプVersaのシステムが完成すれば、VR空間でアート作品を作るための新しいデバイスとなるかもしれない。


初期のVRスタイラスプロトタイプ



Grayが開発を進めているのは、圧力を感知することも可能なVR用のスタイラスペンだ。


圧力感知


上の動画は今年の4月に公開されたものだが、Vive Trackerを搭載したスタイラスを使ってPhotoshopで文字を書いている様子だ。


スタイラスはVive Trackerをそのまま取り付けたシンプルなものだが、メッセージの内容通り圧力を感知して線の太さが変わっているのが分かる。


「ボタンを押しているかどうか」しか入力できないコントローラーによる操作と異なり、圧力を感知できることで表現の幅が広がるだろう。


精度の限界


ValveのLighthouse技術によってVive Trackerのトラッキングが可能となっているが、その精度はタッチパネルで使うスタイラスペンやペンタブレットには及ばない。


細かな写真の編集や、2Dイラストの制作にこのシステムを使うのは難しいだろう。


圧力の感知に関しても、ペンタブレットでは圧力のレベルを1000以上に分けて非常に細かく感知できるものもある。現在のVive Trackerでは、そこまで繊細な動きを捉えることはできない。


2D作品の制作には向かないが、ハンドトラッキングコントローラーを使う場合に比べればVRアートを作りやすくなるかもしれない。


Tilt Brushでの利用



GrayはVRのデベロッパーであると同時にアーティストでもあり、YouTubeでTilt Brushを使って3Dのアインシュタインを描く様子を公開している。


彼のVRアートへの興味が独自にVR用のスタイラスを自作するに至るきっかけとなっているようだ。


進化したVersa



Grayは7月7日、VRスタイラスの以前よりも洗練されたプロトタイプの映像を公開した。このプロトタイプはVersaと呼ばれている。


4月に公開された動画ではペンタブレットのように文字を書いているだけだったが、新たに公開された動画ではVersaの3つのモードが紹介されている。


3つのモード


3つのモードの最初は、コントローラーモードだ。


軸の部分を握って持ち、一般的なハンドトラッキングコントローラーのように扱っている。搭載されたスティックを親指で操作することで、メニューの選択などにも利用できるようだ。


次にスタイラスモード。


スタイラスモードではペンのようにVersaを持ち、空中に滑らせて線を引くことができる。VR空間で3Dアート作品を制作するときには、ペンのように握ることで正確な操作が可能となるだろう。


最後のタブレットモードでは、過去の動画のように平らな面にスタイラスを押し付けて使う。スタイラスモードのように立体的な表現はできないが、2Dで文字や絵を書く場合には操作しやすい方法だ。


ワイヤレス化


形状が進化し、機能も増えたVersaの特に大きな変化と言えるのがワイヤレス化だ。


4月に公開された動画ではPCとスタイラスを接続するケーブルが映っていたが、今回の映像ではVersa本体にケーブルが接続されている様子がない。


VRヘッドセット自体も無線化がトレンドになりつつあるので、入力ツールもワイヤレスが基本になるだろう。


このVersaの実用化に向けた動きとして、Grayはクラウドファンディングを利用して開発資金を募る計画のようだ。


 


Vive Tracker自体が小さなデバイスではないこともあり、現状のVersaはスタイラスとして使うには大きめになってしまっている。


ワイヤレス化には成功しているようなので、小型化が進めばVRアートの制作に使うデバイスとしての需要に応えられる存在になるかもしれない。


 


参照元サイト名:Road To VR

URL:https://www.roadtovr.com/vive-tracker-used-create-pressure-sensitive-photoshop-stylus-vr/


Copyright ©2017 VR Inside All Rights Reserved.

情報提供元: VR Inside
記事名:「 Vive Trackerを使ったスタイラスペンの開発が進む