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Varjo Technologiesが人間の目と同じ解像度のVR/AR/XRディスプレイ「20|20」を発表した。
Varjoのディスプレイは70メガピクセルで1メガピクセルのOculus、Vive、Hololens、Magic Leapなどと比べ、70倍の画質を誇っている。
次世代コンピューティングプラットホームとしてVarjoのプロダクトは2017年終わりごろにリリースされる予定だ。
Varjo Technologiesが近日リリースのVarjoのVRコンピューティングプロダクトに搭載される、世界初、人間の目と同じ解像度のVR/AR/MRディスプレイを発表した。
プロフェッショナルユーザー向けにデザインされたこのディスプレイはOculus、HTC Vive、Microsoft Hololens、Magic Leapなどのメジャーヘッドセットの70倍以上の高画質で今までにないレベルのVR/AR/MR体験を実現することができる。
Bionic Displayと呼ばれるVarjoの特許を取得したテクノロジーが人間の目の動きを自然に再現し、スーパーハイクオリティイメージをユーザーが見つめる方向に作り出す。
フェイス・ハンドトラッキング、ハプティックコントローラーなど、投入感の高いVRコンテンツを実現するための様々なテクノロジーが登場してはいるものの、ディスプレイの画質が低いことがリアルなVR体験を妨げる障害として、大きな課題となっていた。
360°で視界を再現できても、現実世界と同じようにはっきりと見えないのでは、せっかくの最先端テクノロジーが台無しになってしまう。
Varjo Technologiesの新ディスプレイテクノロジーを使えば、現実世界と同じようにバーチャルを見ることができるようになり、よりバーチャルリアリティーと呼ぶにふさわしいリアルな体験をヘッドセットで作りだすことができるようになる。
さらにVRだけでなく、ビデオ・シー・スルー(Video-See-Through)テクノロジー(VST)と組み合わせることで今までにないAR/MRキャパシティーが実現した。
ビデオ・シー・スルー(Video-See-Through):
VRヘッドセットにおいて、外の現実世界を装着したまま見ることができるヘッドセット技術のこと。
ヘッドセット内に投影されるVR/AR/MR映像と外の現実世界の映像を組み合わせる技術のことを指すときにも使われる。
Varjoのテクノロジーなら、外の現実世界の映像も見たままのクオリティでそのままヘッドセットの中に投影、またバーチャルコンテンツとその映像を組み合わせても、最高画質で違和感なくコンテンツが楽しめる。
ヘッドセット比較 | 画質 | Field of view(視野) |
---|---|---|
Varjo 20|20 | 70 メガピクセル | 100° |
Oculus, Vive | 1.2 メガピクセル | 100° |
VR in 5 years * | 16 メガピクセル | 140° |
HoloLens | 1 メガピクセル | 32° |
ODG R9 | 2 メガピクセル | 50° |
Meta II | 1.8 メガピクセル | 100° |
* Oculusチーフサイエンティスト、Michael Abrash氏がOculus Connect 3で発表した予測
Varjoとその他ブランドの画像比較はこちらのリンクから:http://www.varjo.com/media/
コードネーム「20|20」と名付けられた、Varjoのプロトタイププロダクトはすでにデモンストレーションが始まっており、2017年末にはこのテクノロジーを使ったプロフェッショナルユーザー向けのプロダクトやアプリケーションがリリースされる予定だ。
VarjoのチームはMicrosoft、Nokia、Intel、Nvidia、Rovioなどで働いていたデベロッパーと、クリエーター、光学科学者で構成されており、人間の目を自然に再現する独自のディスプレイテクノロジーを作り上げた。
Varjo Technologiesの設立者、CEO、Urho Konttori氏 コメント:
「特許を所得したVarjoのディスプレイイノベーションは現在の最先端技術をさらに10年先に推し進めるテクノロジーです。
人間の視覚を完璧に再現できる高画質でVR/ARコンテンツが今まで体験したことのないリアルなものになります。
Varjo VSTと合わせれば、さらなる可能性が広がり、VRはもはや近未来の技術ではなく、現実のプロフェッショナルツールと言えるでしょう。」
フィンランド、ヘルシンキを拠点にしたVarjo Technologiesは現実とデジタルをつなげるVR/AR/MRコンピューティングデバイスの開発を進めていく。
(7月19日18:00追記)
(追記執筆者:池谷 翼)
VRInsideはVarjoにインタビューを申し込み、結果として担当者のUrho KonttoriさんからVarjoの想定顧客層や価格設定などについてメールを通じてご回答を頂くことが出来た。
以下ではその内容を紹介していこう。
――――Varjoさんがターゲットとして想定していらっしゃる顧客層は、どういった方々なのでしょうか?
Urho Konttoriさん:Varjoはデザイン、建築や不動産、シミュレーションとトレーニング、エンターテイメント、そしてエンジニアリングといった業種に従事しているプロフェッショナルの方々、そして企業のお客様を対象としております。
――――Varjoの主な使用用途は何でしょうか?
Urho Konttoriさん:Varjoの使用例はお客様ごとに全く異なったものとなります。ただ(その中でも)キーバリューとなっているのは、Varjoがあらゆるバーチャル環境を人間の目の解像度で生み出すことを可能にする、という点です。
――――高解像度画像を処理するためにどれくらいの処理能力が要求されるのでしょうか?
Urho Konttoriさん:処理には、現在のVRHMDのハイエンドモデルが持つ処理能力のおおよそ2倍ほどの能力が求められます。私どもは今のところ、デモにおいてはGeForce GTX 1080を1つだけ使っております。
――――もしもユーザーが素早く動いた場合、Varjoは正しく動画を処理することが出来るますか(画像処理負担にどれだけ耐えられるか)?
Urho Konttorさん:(処理において)ユーザーが素早く動くかどうかは問題になりません。けれどもいくらかの画質劣化は、ユーザーが高速で動いている合間に生じるかも知れません。
――――ユーザーがVarjoを導入した場合、どのようなXRエクスペリエンスを得ることが出来るのでしょうか?
Urho Konttoriさん:たとえば360°の高解像度画像は真に迫った、生き生きとした映像としてユーザーの目には映ることでしょう。特にそれらの高解像度画像が立体的な画像として、ステレオで再生されるときには尚更です.
――――今のところ、Varjoの提供価格はどのくらいとなる見通しでしょうか?
Urho Konttoriさん:私どもはVarjoの価格設定についてはまだアナウンスしておりません。けれども1000米ドル以上、1万米ドル以下に設定される見通しです。
今回の取材においてvarjoさんのお話から得られた重要なポイントは、3点に整理できる。
第1に、やはりVarjoさんは顧客層のペルソナを、日常的業務においてVRを利用しているプロフェッショナルや企業に(現在のところ)絞っているということ。
第2に、Varjoの処理には(現行機種の)VRHMDハイエンドモデルのおよそ2倍ほどの処理能力が要求されるということ。
第3に、1000米ドル以上、1万米ドル以下という高価格帯での提供が予想されること。
現段階ではvarjoが一般のコンシューマ向けに提供されるわけではないことは明らかである。
しかしそのことからvarjoがAR・VR市場に与えうるインパクトを過小評価してはならない。
既存のVRHMDのスペックを遥かに超える解像度は、AR・VR企業が参照する新たな開発目標として市場全体に刺激を与えうるだろう。
プレスリリースによればvarjoを活用した商品の出荷は2017年度Q4からと予定されている。
続報を待ちたい。
参照元URL: http://www.varjo.com/press/19062017/
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