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Yahoo! Japanがシリコンバレーのベンチャーキャピタル企業であるThe Venture Rearity Fundとパートナー提携を結んだ様子だ。両企業の提携は戦略的投資を通じて、VR・AR産業におけるイノベーションを刺激し、VR・AR産業のエコシステムを発展させることへ主眼が置かれている。
VR・AR市場における将来的成長の見込みが非常に大きなものであることは周知の通り。例えば市場調査会社であるIDCはAR、VR市場が2020年までに世界中で143億ドルを超える規模となり、2015年からの年間成長率は198%になると予測している。
両企業がビジネスパートナーとなったのも、こうした成長性を見越してのものだ。
The Venture Rearity Fund(The VR Fund)はVR、AR、MR関連事業のスタートアップへの初期投資を専門としている企業だ。投資する分野はVRなどのインフラや開発ツール、コンテンツやアプリケーションなど様々な領域にわたり、これまでに5000万ドルにのぼる資金を投じてきたと推測されている。
一方のYahoo! Japanは、1日当たり9000万を超えるユーザーが訪れるインテ―ネットメディア。月間平均70億を超えるビューを計上する超有名ポータルサイトだ。
それでは両企業が提携することには、ビジネス上でどのような意味を持つのだろうか?
以下にYahoo! JapanとThe VR Fundそれぞれの代表者の声明を引用しよう。
「ARとVRにおける没入型テクノロジーはビジネスを変革し、消費者の能力向上、経済の再活性化、意識的でポジティブな変化を世界中にもたらすという点において大きな潜在力を有しています」
「Yahoo! Japanの投資は、コンテンツ消費、そして消費者に訴求するコマース産業を変化させられるような新規技術とアプリケーションを育成し、その規模を拡大させるのに役立つでしょう」
こう語るのはThe VR Fundの共同設立者の1人であるMarco DeMiroz氏だ。
一方でYahoo! Japanのコーポレートディベロップメントマネージャーである田中丸雄一郎氏は次のように語っている。
「The VR Fundとの提携によって、世界中でも最も将来性の高いいくらかのARとVR技術の成長を加速させることが可能となることを期待しています」
「メディア、ショッピング、ソーシャルインタラクション、そしてその他のコンテンツやコマースの領域において、つまり、不可避的に世界中で大きな経済成長を引き起こしうる領域において、ARとVRが消費者の振る舞いを変化させるポテンシャルを有していると私たちは信じております。私たちはThe VR Fundとの緊密な提携によって、(VR・AR事業の中で)最良のものを発見し、成長を促進させることを楽しみにしているのです」
両氏の発言はやや抽象的なところがある。いくらか発言をパラフレーズしてみよう。今回のパートナーシップ提携下では以下のような協力関係が生じるということだ。
まずThe VR FundはYahoo! JapanにVR・AR部門についての深い見識を提供することが出来る。同じくYahoo! Japanを、VR・AR事業のスタートアップと潜在的なビジネス発展性に対する投資へと動機づけることによって第一線で活躍できるVR・AR投資家へと同社を導いていく役割をも担うだろう。
反対にThe VR FundはYahoo! Japanのインターネットビジネスや日本における消費者についての非常に深い洞察を得ることができる。自社の投資ポートフォリオにとって利益を獲得することが可能となるわけだ。
それぞれの業界でリーディングカンパニーとしての地位を築きあげている両社だからこそ、今回のような提携が可能だったと言えるかもしれない。
今回の提携はネットメディアにおいてVR・ARがどのように活用されていくかを考える上でも興味深い。
DeMiroz氏が述べる通り、まずはVR・ARがもつ視覚情報への強い訴求力からコマース分野において発展性が見込まれていく予感もする。今後の動向に注目したい。
参照元URL:
venture beat
https://venturebeat.com/2017/06/07/yahoo-japan-invests-in-the-venture-reality-fund/
Business Wire
http://www.businesswire.com/news/home/20170607005065/en/Yahoo-Japan-Venture-Reality-Fund-Partner-Grow
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