MR関連デバイスはARやVRと比べると普及率が高いとは言い難い。それどころかそもそも「MR」という概念自体、一般の認知度はあまり高くないという印象を受ける。


ロボティクスなどを手掛けるスタジオAmber Garageが中心となって開発したMR用ヘッドセット「Holokit」は、こうした状況を変化させるきっかけになるかも知れない。


Holokitを利用することでユーザーは手軽に、そして格安でのMR体験が可能となる。


2017年6月6日に開催される、AR関連企業が集う「AR in Actions」にてリリースする予定だという。


お手頃価格でMR体験



DIYタイプのVRヘッドセットと言えば、Google Cardboard、ハコスコ、ルクラスなどを挙げることが出来るだろう。


いずれもスマートフォンを活用するダンボール製のヘッドセットで、組み立ては容易。なにより手頃な値段でVRアプリや360度動画を楽しめる点が大きなメリットだ。


Google Cardboardにおいては累計出荷数が1000万台を記録したと発表されており、こうした格安ヘッドセットの普及が徐々に浸透している様子が伺える。


しかしMRにおいては、「お手頃」と呼べる価格設定のヘッドセットはこれまで一般向けには発売されてこなかった。


ちなみに開発者向けにマイクロソフトが発売するMR用ヘッドセットHololensは、現在30万円を超える価格設定がされている。


これに対してほとんどがダンボールから成っている「Holokit」は大幅にコストを削減可能だ。


用意するものは「DIY Cardboard Kit(Headkit)」と、今や誰もが持っているであろうスマートフォン。あとはオープンソースの「Holokit software(Trackkit)」をスマートフォンに導入するだけで、ユーザーはMR体験が可能となる。


搭載可能なスマートフォンは現在、iPhone7と7+、そしてGoogleの空間認識技術「Tango」を搭載したハードウェアのみに限られている。


Hololens製品紹介


Hololensとは、PC向けOS「Windows」でおなじみMicrosoft社が開発したMR(=複合現実)デバイス。


ヘッドマウントディスプレイのように頭に被るタイプのデバイスだが、視界が閉ざされるヘッドマウントディスプレイとは違い、スキーのゴーグルのように透明レンズごしに現実の風景を見ることができる。


この透明レンズ上にデジタル情報が表示されることにより、現実の風景と架空のデジタル情報が複合されたMR(=複合現実)を実現する。


ジェスチャーと視線、音声を使って操作することができ、ワイヤレスのためケーブルはない。


既に販売されてはいるが、現時点では開発者向けの提供となっており、一般消費者向けには販売されていない。




















項目Development EditionCommercial Suite
価格\333,800(税込)\555,800(税込)
内容個人開発者向けのパッケージ。パッケージには本体のほか、ドキュメント、チュートリアル、およびコミュニティー フォーラムの利用が含まれている。組織での利用を想定したパッケージ。Development Editionの内容に、ビジネス向けWindowsストア、HoloLens向けモバイルデバイス管理 、キオスクモード…などのエンタープライズ機能が追加されている。

Holokitのメカニズム


動画をご覧いただければお分かりになる通り、Headkitはダンボールに組み込まれたフレネルレンズ(同心円状の溝がついたレンズ)と、ミラー付きのダンボールフレームから構成されている。


ミラーに反射したスマートフォンのディスプレイを、角度を変えてレンズへと届ける。仕掛け自体はごく単純で、誰もが一度は類似した装置を見聞きしたことがあるだろう。


この仕掛けによってユーザーは現実世界を見つつ、そこに映し出されるイメージを両方体験出来るようになる。つまりMR体験が可能となるのだ。


Holokitの可能性


現在Holokitに関する詳細な価格設定のアナウンスはない。しかし低価格帯に抑えられることはほぼ確実だ。


Holokitが実際に市場シェアを獲得するかは未知数だが、将来的には大手VR・AR関連メーカーらがMRに対応した格安ヘッドセットの開発に乗り出してくる可能性も十分あるだろう。


ただ私見だがMRヘッドセットの普及の行方を考える際に考慮するべきだと思われるのが、キットの外観だ。


というのもMR体験を最大限活用しようとするなら、外出時の使用までも想定した設計が求められるはずだからだ。


その観点からHolokitを見てみよう。Holokitは本体の構造上、ミラー部分が露出しているデザインを採用している。


こうしたデザインはちょっと安っぽさを感じる部分がある。家の中で使用する分には全く問題ないが、デバイスを外で使うとなると抵抗を覚える人が出てくるかもしれない……。


もちろん「格安でのMR体験」というメリットを無視し、デザインの話を持ち出すことも問題ではある。いずれにせよ、価格・内容・デザインにおいて総合的にバランスのとれたヘッドセットの登場を待ちたい。


参照元URL:


Holokit

https://holokit.io/


VR Focus

https://www.vrfocus.com/2017/06/holokit-for-low-cost-mixed-reality/


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情報提供元: VR Inside
記事名:「 MRの普及を加速させるDIYタイプのMRヘッドセット「Holokit」