海外メディアThe Vergeは、2017年5月16日の記事において、Google Daydreamの市場動向をまとめた。



Daydreamの現在地


昨年の6月に開催されたGoogle開発者会議「Google I/O 2016」において、「オープンなミドルクラス・モバイル型VRプラットフォーム」とでも呼ぶべきDaydreamが発表された。


同プラットフォームは、Gear VRのように同プラットフォーム対応スマホで使える専用VRヘッドセットがありながら、Gear VRのように対応スマホはSamsung製のみではなく、ちょうどAndroidのように提携したメーカーであれば自由に「Daydream Rredy」スマホを製造できるというオープンなプラットフォームであった。


2016年6月の発表の後、同年10月に世界初のDaydream Readyスマホ「Pixel」「Pixel XL」がリリースされ、ついにGear VRのライバルとなるプレイヤーが現れるかに見えた。


だがしかし、現時点ではGear VRを脅かすような存在とはなっていない。本メディアでも以前に報じたように、調査会社IHS Markitによれば、2017年初頭においてGear VRが500万台販売したのに対し、Daydream Viewは12万台に留まっている。


DaydreamはGear VRに比べてリリースされてから日が浅いので、販売台数に差があって当然ではある。とは言え、以下の表にまとめたように、主要なDaydreamパートナーの対応がやや及び腰な印象も否めない。


Daydreamのパートナー企業のロゴ集











































メーカー名Daydream対応状況
AsusDaydreamとTangoの両方をサポートしたスマホ「ZenFone AR」を2017年夏にリリース
Alcatel2017年上半期にDaydream Readyスマホをリリースすると発言していたが、現在まで続報がない。モバイル型VRヘッドセット「Idol 4S」をリリースしており、オールインワン型VRヘッドセット(Android OSを採用したVRヘッドセットのことか)をリリースすると発表しているが、リリース時期は未定。
HTCGoogle初のDaydream Readyスマホ「Pixel」の製造を行っている。しかし、現時点で同社のスマホでDaydream Readyなものはひとつもない。
HuaweiDaydream Readyスマホ「Mate 9」と「Porsche Design Mate 9」(ポルシェデザインとのコラボ・スマホ)をリリース。同社製造のDaydream Viewも発表されているが、リリースリリースは不明。
LenovoDaydreamが発表された当初のパートナーではないものも、Daydream Readyスマホ「Moto Z」「Moto Z Droid」「Moto Z Force Droid」をリリース
LG先月に同社フラッグシップ・スマホ「LG G6」をリリースしているが、今のところDaydream Readyスマホのリリースはなし。
SamsungDaydreamが発表された当初からのパートナーではあるが、Daydream Readyスマホのリリースはしていない。最新フラッグシップ・スマホ「Galaxy S8」では、Daydream Viewと同等な専用コントローラーに対応した。
Xiaomi2017年4月、同社最新スマホ「Mi 6」をリリース。同スマホに対応したDaydream Viewに似たVRヘッドセットをリリースすると発表していたが、今のところ続報はない。
ZTC「Axon 7」をアップデートによりDaydream Readyスマホとした。

現時点で、Daydream Readyスマホは「Pixel」「Pixel XL」「ZenFone AR」「Mate 9」「Porsche Design Mate 9」「Moto Z」「Moto Z Droid」「Moto Z Force Droid」「Axon 7」の9機種である。


懸念されるのは、各パートナー企業のフラッグシップ・スマホを必ずしもDaydream Readyとしないことである。「Daydream Ready」であることに、大きな魅力を感じていないとも解釈できる動向である。


Daydreamが抱える問題点


Daydream Readyスマホの爆発的に増えない原因として指摘されるのが、Daydream Readyとするためのスマホ仕様要件が、最新技術に追いついていないことがある。この傾向は、とくにディスプレイ仕様に顕著に見られる。


スマホ・ディスプレイの最新トレンドは、有機ELあるいはIPS方式ディスプレイの採用である。各スマホ・デバイスメーカーは自社のフラッグシップ・モデルにこうした最新ディスプレイを実装することを検討している。こうした動向に対して、Daydream Readyの要件は対応していないのだ。


ちなみに有機ELは、従来の液晶ディスプレイに比べて輝度や視野角、消費電力の面で優れていると言われる。IPS方式ディスプレイについても、視野角が広く色むらが少ないという長所を持っている。


Google I/O 2017で期待される発表


折しもアメリカ時間2017年5月17日(日本時間本日深夜)から、今年のGoogle開発者会議「Google I/O 2017」が開催される。


以下では、Daydreamが大きな飛躍を遂げるために必要と思われる事項を挙げる。なお、この内容が同イベントにおいて発表されるかどうかは定かではない。


「Daydream」要件の緩和


すでに指摘したように、Daydreram Readyのスマホ要件は最新トレンドを反映していない。この要件のアップデートは急務ではなかろうか。


最新機能の発表


Galaxy S8が専用コントローラーに対応したことで、同スマホ・シリーズとDaydream Readyスマホの機能差がほとんどなくなってしまった。こうしたなか、新たな新機能を発表することは、同スマホ・シリーズとの差別化を図るうえで非常に重要である。もっとも、新機能に関するリーク情報が全くないことから、新機能発表の可能性は低いかも知れない。


いずれにしろ、明日にはDaydreamに関する新情報が明らかになるだろう。


Google daydreamの市場動向をまとめたThe Vergeの記事

https://www.theverge.com/2017/5/16/15599774/google-daydream-phone-release-delay-future-io-2017


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情報提供元: VR Inside
記事名:「 Google Daydreamは今どこにいるのか、これからどこへ向かうのか?