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TOKYO, Mar 11, 2019 - (JCN Newswire) - 富士通株式会社(注1、以下 富士通)と株式会社富士通アドバンストエンジニアリング(注2、以下、富士通アドバンストエンジニアリング)は、2016年4月に発生した熊本地震により崩落した熊本城飯田丸五階櫓(注3)における、画像処理技術を用いた石垣石材の崩落前の位置を特定する実証実験を2018年11月から約1か月の間実施し、80%以上の精度ならびに作業時間を大幅に短縮できることを確認しました。
本実証実験では、大量画像の中から指定した画像に部分的にでも一致する画像を高速に検索する高速部分画像検索技術(注4)、ならびにその検索の精度を高める画像最適化技術を組み合わせた石材位置特定システムを開発し、崩落した石材の画像と崩落前の石垣画像とをマッチングさせ、精度の向上ならびに検索時間の短縮を試みました。その結果、崩落前の石垣における石材の正確な位置を80%以上の高い精度で特定し、かつ作業時間を大幅に短縮できることを確認しました。
今後、本格化する熊本城復旧の効率化支援に向けて本技術の精度をさらに高め、2019年度中の実用化を目指します。
背景
2016年4月に発生した熊本地震で被害を受けた熊本城は、国の特別史跡に指定されているため、被害前の姿を保つことでその文化財的価値を保護する必要があり、現在復旧作業が進んでいますが、2018年3月に制定された熊本城復旧基本計画によると、熊本城の完全な修復には約20年間を要するとされています。中でも、石垣は最も被害が大きく約3万個の石材が崩落しており、石垣の修復にあたっては、従来、図面化した崩落石材と崩落前に撮影された石垣の画像を専門家が目視で比較することで、崩落した石材の位置特定を行っているため膨大な時間を要していることが課題でした。
上記の課題を踏まえ、富士通と富士通アドバンストエンジニアリングは、熊本城復旧現場の作業時間短縮のため、熊本市 経済観光局 熊本城調査研究センター(注5)が保有する崩落前の石垣画像と崩落後に撮影した石材画像を活用した、石材の崩落前の正確な位置を把握可能な石材位置特定システムを開発し、その実証実験を行いました。
実証実験の概要
1. 期間
2018年11月5日(月曜日)~ 2018年12月14日(金曜日)
2. 場所
熊本城飯田丸五階櫓石垣の崩落面2面
3. 内容
本実証実験は、富士通の推進のもと、株式会社富士通研究所(注6、以下 富士通研究所)が開発した高速部分画像検索技術、および富士通アドバンストエンジニアリングが富士通研究所と共同開発した画像最適化技術をベースに開発した石材位置特定システムを活用し、実際に崩落があった熊本城飯田丸五階櫓の石垣にて、すでに熊本市が特定された123個の石材を対象に実施しました。
画像から石材の部分のみの切り出しや、石材や石垣の表面の明るさなどの特徴を際立たせる画像最適化技術を適用することで検索の精度を高め、その後、一つの石材全体もしくは部分的に一致する画像を抽出する高速部分画像検索技術によって、崩落後の石材が崩落前の石垣のどの位置のものか、より類似度の高い画像を特定する一連の流れを繰り返し行い、精度の向上および検索時間の短縮に取り組みました。
その結果、最終的に、1日で101個の石材の正確な位置を特定することができ、82.1%(101/123個)と高い精度を得ることができたほか、その作業時間も大幅に削減できることが確認できました。
4. 今後の展開
富士通と富士通アドバンストエンジニアリングは、今後本格化する熊本城復旧作業の効率化支援に向けて本技術の精度をさらに高めていくとともに、他の文化財復旧支援への適用を進め、文化財復旧支援ソリューションとして2019年度中の商品化を目指していきます。
コメント
熊本市 経済観光局 熊本城調査研究センター 副所長 網田 龍生様:
熊本市は、かねてより崩落石材の石垣位置特定に取り組んできましたが、今回の実証実験で確認できた特定スピードと80%を超える精度には驚きました。このような画像処理技術がさらに進化し、熊本城の早期復旧に繋がることを期待しています。
本リリースの詳細は下記URLをご参照ください。
http://pr.fujitsu.com/jp/news/2019/03/11-1.html
概要:富士通株式会社
詳細は http://jp.fujitsu.com/ をご覧ください。