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TOKYO, Apr 24, 2018 - (JCN Newswire) - 当社は、東京大学宇宙線研究所(所在地:千葉県柏市、所長:梶田隆章)様に、既存のガンマ線望遠鏡の10倍近い究極感度の観測を行うガンマ線天文台となるチェレンコフ望遠鏡アレイ(Cherenkov Telescope Array、以下 CTA)に制御装置システムを導入し、このたび東京大学宇宙線研究所様で稼働を開始しました。
CTAは、宇宙から到来する高エネルギーのガンマ線が地上大気と衝突した際に放出されるチェレンコフ光をとらえることで宇宙ガンマ線の観測を行う、世界33カ国が参加する国際共同実験プロジェクトです。この観測により、多種多様な高エネルギー天体を発見し、宇宙線の起源や超巨大ブラックホールの研究、暗黒物質の探索などが可能になります。
当社が導入した制御装置システムは、世界5大天文拠点の一つであるスペイン領カナリア諸島ラパルマ島の山頂2,200m地点のガンマ線望遠鏡の横に設置します。本システムは、当社のサーバやストレージなどから構成され、ガンマ線観測の生データの保管、ガンマ線量の解析および方角やエネルギー推定をリアルタイムに行います。
当社は、本システムにより、世界最大のガンマ線望遠鏡による観測を支え、CTAが目標とする1,000を超える多種多様な高エネルギー天体の発見や、宇宙の成り立ちの解明に貢献してまいります。
背景
CTAは、国際共同実験プロジェクトとして2006年に発足され、チェレンコフ光を捉える100台近くの望遠鏡を、3キロ平方メートルの領域に敷き詰めて、既存のガンマ線望遠鏡の10倍近い感度でガンマ線の観測を行っていきます。まずは、北半球の観測地としてスペイン領カナリア諸島ラパルマ島に設置し、2019年度以降にはチリにも設置することで、南半球を加えた全天の観測を実現する世界最大規模のガンマ線天文台となります。
当社は、これまでも巨大な電波望遠鏡や光学赤外線望遠鏡、ニュートリノ観測のための制御装置システムを研究機関などに提供してきました。今回、北半球の望遠鏡設備を担う東京大学宇宙線研究所様に制御装置システムを導入し、過酷な環境の中で安定的な連続運用を実現することで、これまで判明できなかった宇宙の謎の解明に貢献していきます。
システム概要
今回の制御装置システムは、標高2,200m地点にコンテナに入れた状態で設置されます。夜間に行われる観測中に、突発的な天体現象などが発見された際には、即座に制御装置システムを用いてガンマ線量の解析を行い、その結果によっては他の望遠鏡施設にアラートを送信し、様々な波長でより詳細な観測を行います。また、夜間観測で収集・解析したデータは、昼間にドイツにあるデータ管理センターに転送して運用します。
本システムは、高い性能で解析するための計算装置および望遠鏡制御装置に、当社のPCサーバ「FUJITSU Server PRIMERGY CX2550 M2」を計64台用い、2,048コアで構成しています。また、大容量データを蓄積するためのストレージに「FUJITSU Storage ETERNUS DX200 S4」を採用し、3ペタバイトを実効容量としています。さらに、高速にデータアクセスするため、計算装置および望遠鏡制御装置と大容量ストレージ間で毎秒100ギガビットの通信を可能とする高速インターコネクト「EDR InfiniBand(TM)」を採用しております。
東京大学宇宙線研究所 教授 手嶋政廣様からのコメント
「スペイン・ラパルマに世界最高感度の高エネルギー宇宙ガンマ線望遠鏡施設 CTA を設置し、望遠鏡群からでてくる大量のデータを本制御装置により収集、さらにリアルタイムで解析することができます。CTAでは高エネルギーガンマ線で見ることのできる宇宙の地平線を大きく広げます。また、宇宙での高エネルギー現象、ダイナミックで爆発的な現象、超巨大ブラックホール、誕生直後のブラックホールからの高エネルギー放射をつぶさに高感度に観測することができます。宇宙全体の25%の質量を担っているとされる暗黒物質についてもその素性を明らかにしていくことが期待されます。CTAで観測する高エネルギーガンマ線はテラ電子ボルト帯域であり、それは世界最大の人工加速器LHCの衝突エネルギーに匹敵します。CTAは宇宙での高エネルギー天体現象を明らかにするだけでなく、これらの高エネルギーガンマ線を使い、宇宙の構成要素である素粒子、さらには時空の構造についても広く知見を与える可能性があります。」
本リリースの詳細は下記URLをご参照ください。
http://pr.fujitsu.com/jp/news/2018/04/24.html
概要:富士通株式会社
詳細は http://jp.fujitsu.com/ をご覧ください。