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WMS(倉庫管理システム)の導入が進む中、株式会社ダイアログの調査により、現場担当者の88.3%が業務効率化を実感していることが明らかになりました。本記事では、この調査結果をもとにWMSの効果や現場の課題について詳しく解説します。
株式会社ダイアログは、WMSを導入し倉庫管理業務に携わっている現場担当者103名を対象に、WMSの活用に関する調査を実施しました。この調査の重要性は、WMS導入後の業務の効率化や改善度を現場と経営層の視点から比較できる点にあります。
調査は2024年3月11日から3月22日まで行われ、選ばれた担当者は、WMSの活用状況や実感について多角的に意見を述べています。この調査は、2022年に行った同様の調査と比較する形で実施され、WMSの進化と定着状況を明らかにする狙いがあります。
調査の結果、現場担当者の88.3%が「WMS活用により業務の効率化・改善が進んだ」と回答しており、この数値は経営層が示した33.9%よりも約32.3ポイント高くなりました(図1)。具体的には、現場側からは「作業ミスが減った」との声が60.4%を占め、「倉庫業務での精神的な負担が減った」が40.7%となっています。
WMSを導入することにより、「誰でも入出荷の判断ができるようになり確認の手間が減った」といった評価もあり、業務フローがスムーズになったという報告が寄せられました(図2)。これにより、効率的な業務が実現し、現場のストレスも軽減されていることが伺えます。
印象的なのは、WMSの定着度合いであり、現場担当者の63.1%が「導入し全ての機能ではないが使っている」と回答しています(図3)。この数字は、経営者側の39.2%に比べて顕著に高くなっています。このことから、現場担当者がWMSの各機能を試行錯誤しながら使っている様子が窺えます。
一方、全機能を使いこなしていると答えた現場担当者は23.3%にとどまり、経営者側は16.7%でした。この結果は、WMSの本格的な活用にはさらなる教育や支援が必要であることを示唆しています。
調査では、現場の約半数以上の担当者が「使いこなすのに時間がかかる」との理由を挙げており、導入後の運用に関する課題も浮き彫りになりました(図4)。また、他システムとの連携や、WMSと実際のデータとの整合性の問題も指摘されています。
このような課題を解決するため、現場側では「操作ミス削減のために操作性を改善する」や「WMSの活用を業務フローに組み込む」ことが求められています(図5)。これに加え、全社的なWMS導入を考慮するなどの提案も多く挙げられています。
調査結果から、現場担当者の約9割が今後もWMSを活用して業務を行っていきたいと思っているという意欲が示されました(図6)。具体的には、44.6%が「非常にそう思う」とし、44.7%が「ややそう思う」と回答しています。この高い意識は、WMSによる業務の改善が確実に進んでいることの表れであり、今後の活用に期待が寄せられています。
WMSの導入は、倉庫管理業務において大きな前進を示しており、現場の担当者たちはその利点を実感しています。業務効率化や精神的な負担軽減が現場に具体的な効果をもたらし、さらなる機能活用に向けた課題を打破することで、その恩恵を最大化することが求められます。
WMSの効果を最大限に引き出すためには、現場の声を反映させた制度設計と支援体制が不可欠であり、持続可能なビジネス運営の実現へと繋がることでしょう。