プライバシー保護の観点から利用が制限されつつあるCookie。企業はユーザーの行動を把握するため、今後はCookieに依存しない新たな手段を導入することが求められます。では、企業にはどんな選択肢があるのか。デジタルマーケティングをどう進化させるべきか。Cookieの役割について触れた第1回に続き、第2回となる今回は、Cookie規制による世界の動き、GoogleやAppleといった主要ベンダーの見解、さらにはCookieに依存しない新たな手段が揃いつつある広告業界の動きを整理します。

プライバシー意識の高まりと規制の背景

近年、インターネット利用者のプライバシーに対する関心が急速に高まり、各国や各地域で厳格なデータ保護規制が導入されています。特に、2018年に発生したFacebookのケンブリッジ・アナリティカ問題は、ユーザーのプライバシー保護に対する懸念を高める契機となりました。その結果、欧州連合の一般データ保護規則(GDPR)やカリフォルニア州の消費者プライバシー法(CCPA)などの規制強化の動きを加速させました。

(出典:オプト)

これらの動きに伴い、AppleのSafariやMozilla Firefoxなどのブラウザは、サードパーティCookieの使用を段階的に廃止する方向に進んでいます。Googleも当初、2024年までにサードパーティCookieの廃止を計画していましたが、「消費者の選択肢を増やす最新の手法を提案する」として、2023年7月22日にこの規制を撤回しました。

GoogleのサードパーティCookieの廃止撤回と、Cookieレス対策の重要性

GoogleがサードパーティCookieの廃止計画を撤回したことは業界内で大きな注目を集めました。しかしこの措置は一時的なもので、引き続きCookieレス対応が求められる事実は変わりません。サードパーティCookieの廃止が進むと、広告のリターゲティングやユーザーの趣味嗜好に合わせた広告配信が難しくなります。コンバージョン数の減少や、顧客獲得単価(CPA)の上昇も予想されます。

(出典:オプト)

GoogleのサードパーティCookieの廃止撤回は、広告主やマーケターにとってCookie規制対応に対する一時的な猶予となるものの、長期的にはプライバシー保護に配慮した新しい広告技術の開発の加速が予想されます。したがって、企業はこの期間を活用し、Cookieレス時代を迎えるための準備を進めることが重要です。

Cookie規制がもたらす影響と業界の対応

GoogleがサードパーティCookieの廃止を撤回しても、他の主要ブラウザはサードパーティCookieを規制する方向に動いています。そのため、広告業界は依然としてCookieに依存しないターゲティングや計測手法を検討する必要があります。

その一例として、ファーストパーティCookieやファーストパーティデータの活用が挙げられます。例えば、オンラインショッピングサイトはファーストパーティCookieを利用して、ユーザーの閲覧履歴や購入履歴に基づいたパーソナライズド広告を提供しています。また、ユーザーが閲覧中のコンテンツに基づいて関連広告を表示するコンテクスチュアルターゲティングや、複数企業間でプライバシーを保護しつつデータを共有・分析するデータクリーンルームの導入も注目されています。これにより、ユーザーのプライバシーを保護しつつ、広告効果の最大化を目指すことが可能です。

企業とユーザーへの影響

企業はファーストパーティデータや新しい計測手法の導入を検討し、適切にデータと向き合うことでユーザーの信頼を得る必要があります。

Googleの規制撤回が今後どのような影響をもたらすのかは注視が必要ですが、企業は新たなデータ戦略を構築し、ユーザーとの信頼関係を強化することが重要です。

次回は、これらの課題に対する具体的な対応策や新たなツールの活用方法について詳しく解説します。

著者プロフィール

石田健祐
株式会社オプト データテクノロジー企画部

2021年、株式会社オプトに新卒で入社。データテクノロジー領域でプロダクトセールスに従事する。ポストクッキー時代における統合データマネジメントプラットフォーム「ONE’s Data」のセールスをメインに、Google・Meta・LINEヤフーなどのメディアAPIの拡販を担う。2023年より、セミナーやメルマガの企画実行などBtoBマーケティングも担当。


情報提供元: DXマガジン_テクノロジー
記事名:「 第2回 :Cookie規制が与える影響