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デジタルマーケティング全盛の時代に一石を投じることとなった「Cookie規制」。ユーザーの行動を把握する手段として使われてきたCookieが制限されることで、企業のデジタルマーケティング施策はどう変わるのか。Cookieの主な役割や用途、規制による影響、Cookieレス時代に求められる新たな手段を全3回にわたって解説します。第1回となる今回は、Cookieの歴史から役割、主な用途を改めて説明します。
インターネット広告は、1994年に最初のバナー広告が登場して以来、目覚ましい発展を遂げてきました。当初のバナー広告は、シンプルな画像広告としてWebページに表示され、主にブランドの認知度を高める手段として用いられていました。一方、ユーザーの興味関心に合わない広告が表示されるといった課題がありました。
その後、検索エンジンの発展に伴い、リスティング広告が登場しました。リスティング広告では、ユーザーの検索キーワードに基づいた広告が表示されるため、ターゲットを絞った広告配信が可能になりました。
2000年代後半からは、ソーシャルメディア広告が新たな主流となります。FacebookやX(旧Twitter)などのプラットフォーム上の多くのユーザーデータをもとにした、高度なターゲティングを実現しました。これにより、広告主は特定の興味や行動パターンを持つユーザーに対して、より効果的な広告を配信できるようになりました。
Cookieは、インターネット広告において重要な役割を果たしてきました。Cookieとは、Webサイトを訪れたユーザーの情報を保存する小さなファイルで、ターゲティング、パーソナライゼーション、効果測定の3つの施策を実施する上で活用されます。
Cookieにはいくつかの種類があり、中でも特に重要なのがファーストパーティCookieとサードパーティCookieです。
ファーストパーティCookieは、ユーザーが訪れたWebサイトによって直接設定されるCookieです。例えば、ユーザーのショッピングカートに入れた商品やログイン状態を、ユーザーが訪れたショッピングサイトが記憶するために使われます。ファーストパーティCookieは、訪問者が同じWebサイトを再度訪れたとき、よりパーソナライズされた体験を提供するために使用されます。これにより、ユーザーの利便性が向上し、ウェブサイト訪問時の体験価値向上に寄与します。
一方、サードパーティCookieは、ユーザーが訪れたWebサイトとは別のドメインによって設定されるCookieです。サードパーティCookieは通常、広告ネットワークやデータ収集会社によって使用され、複数のWebサイトをまたいでユーザーの行動を追跡するために使われます。サードパーティCookieは、ユーザーの興味や行動に基づいてターゲティング広告を配信するための主要な手段でしたが、ユーザーのプライバシーに関する懸念が高まり、規制強化の一因にもなっています。
Cookieは、ターゲティング、パーソナライゼーション、効果計測の分野で広く活用されています。
ターゲティングでは、特にサードパーティCookieが重要な役割を果たし、ユーザーの行動を分析して興味に基づいた広告を表示するのに使われます。例えば、スポーツ用品を検索したユーザーには、他のウェブサイトでもスポーツ関連の広告が表示されることがあります。
パーソナライゼーションでは、ファーストパーティCookieが主に活用されます。ユーザーの過去の行動や興味を記憶し、その情報をもとに、個別に適したコンテンツや広告を表示します。これによりユーザーの体験が向上し、Webサイトの利便性も高まります。
効果計測でもCookieは不可欠です。広告主は、Cookieを使用してユーザーが広告をクリックした後の行動を追跡し、その広告がどの程度効果を発揮しているのかを評価します。これにより、広告キャンペーンの投資対効果(ROI)を正確に測定することが可能になります。
Cookieは、インターネット広告の発展を支える重要な技術として機能してきましたが、近年ではプライバシー意識の高まりや、欧州の一般データ保護規則(GDPR)や、カリフォルニア州の消費者プライバシー法(CCPA)といったプライバシー保護に関する法規制の強化を受け、その使用が制限されつつあります。特にサードパーティCookieの使用制限は、広告業界に大きな変革をもたらしています。
次回は、これらのCookie規制がデジタルマーケティング業界に与える影響と、対応策について詳しく解説していきます。
著者プロフィール
石田健祐
株式会社オプト データテクノロジー企画部
2021年、株式会社オプトに新卒で入社。データテクノロジー領域でプロダクトセールスに従事する。ポストクッキー時代における統合データマネジメントプラットフォーム「ONE’s Data」のセールスをメインに、Google・Meta・LINEヤフーなどのメディアAPIの拡販を担う。2023年より、セミナーやメルマガの企画実行などBtoBマーケティングも担当。