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ミャンマーからのロヒンギャ難民の流入が増加しており、バングラデシュの難民キャンプは深刻な状態に陥っています。特に7月以降、暴力から逃れるために数千人のロヒンギャが新たにキャンプへ避難してきました。国境なき医師団(MSF)は、全てのロヒンギャ難民が制約なく人道援助を受けることができるよう、緊急に対応することを求めています。本記事では、ロヒンギャ難民の現状や、急務となる支援の必要性について詳しく見ていきます。
ロヒンギャは、ミャンマーの西部ラカイン州に数世代にわたり暮らしてきたイスラム系少数民族です。1982年の国籍法改正によって市民権を奪われ、彼らは無国籍状態に置かれました。2017年には、ミャンマー国軍による攻撃が激化し、77万人以上のロヒンギャが隣国バングラデシュのコックスバザールへ避難しました。7年が過ぎた現在も、難民キャンプには100万人以上が住んでおり、更に数十万人がマレーシアやインド、パキスタンなどに無国籍のまま散逸しています。
最近、新たにバングラデシュに到着したロヒンギャ難民たちは、過酷な体験を強いられています。家族を目の前で失ったり、財産を売ったりするための借金を背負ったりしている人々が多く、MSFはその実情を明らかにしています。特にコックスバザールの難民キャンプでは、食料不足が大きな問題となっており、新たに到着した人びとは居住スペースや食料配給を分け合うことを余儀なくされています。7月以降、特に5歳未満の子どもたちの間で中等度・重度の栄養失調が増加していることが報告されています。既存の難民に加え、今新たに避難してきた人々が栄養失調に陥りやすいのは、ミャンマー国内において食料や医療を得ることが非常に困難だからです。
バングラデシュでの生活も安穏とは言えません。MSFの代表、オーラ・マーフィー氏は、難民たちがミャンマーでの暴力の記憶に苦しんでいると述べています。搾取やミャンマーへの強制送還を恐れるあまり、支援を求めることをためらう人たちが多く、心のケアが急務とされています。新たに到着したロヒンギャにはストレスや不安、さらにはうつの症状が見られる状況です。ある21歳のロヒンギャ難民、ソリムさんは、「ミャンマーからの激しい戦闘の音が今も耳に残っており、キャンプ内でも常に緊張を強いられています。過去の暴力からは逃れましたが、心の中には恐怖が根付いています」と必死に語ります。このような心の痛みは、周囲の安全が保障されていない限り癒されることはありません。
バングラデシュ政府は、キャンプ内での緊急ニーズに対応する約束をしていますが、さらに具体的な支援が求められます。MSFは、すべてのロヒンギャ難民が制約なく人道援助、医療、および保護を受けることができるよう、さらなる対応を呼びかけています。また、国際法に従い、迫害や拷問が行われている国々からの強制送還を避けるよう、各国の関係機関に強い要請を行っています。
現在のロヒンギャ難民危機は、人道的側面から見ても深刻な状況です。MSFを始めとする多くの支援団体が活動を行っていますが、告発されている問題の数々は依然として解決されていません。私たちは、この状況に目を背けず、支援を必要としている人々に光を当てる必要があります。全ての人々が基本的な権利を享受できるよう、国際社会が協力して対策を講じることが求められているのです。
【関連リンク】
国境なき医師団
https://www.msf.or.jp/
執筆:小松由奈