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総務が推奨する福利厚生制度、「リスキリング」や「ウェルビーイング」といった新しい施策の利用率が低迷している現状があります。この問題を深掘りするために、株式会社月刊総務が実施した「福利厚生についての調査」の結果を基に、企業における福利厚生制度の現状と課題について考察します。特に、総務が推奨する制度と実際の利用状況とのギャップについて焦点を当て、どのような要因がこのギャップを生じさせているのかを見ていきます。
調査によれば、企業が福利厚生制度を導入する目的の第一位は「離職率の低下」で、実に70.1%が回答しました。続いて「採用力の向上」や「企業イメージの向上」がそれぞれ56.7%、47.2%と続き、これらが企業にとっての福利厚生の重要な位置づけを示しています。例えば、特に注目されている「両立支援(育児・介護)」は34.2%が推奨していますが、実際の利用率は30.7%と若干のギャップがあります。このように、推奨される施策と実際に従業員が利用する施策の間には、明確な隔たりが存在するのです。
また、注目すべきは「リスキリング・キャリア開発」の推奨度が29.4%にもかかわらず、利用率がわずか13.9%という状況です。これは企業がその重要性を理解しながらも、従業員がなかなか利用に至らない現実を表しています。同様に、「ウェルビーイング・健康経営」に関しても、推奨度26.8%に対し利用率は8.7%と低迷しており、各企業が制度を整備するだけではなく、活用を促進するための取り組みも急務となります。
このギャップの一因として、制度の見直し頻度が挙げられます。調査によれば、約29%の企業は福利厚生の見直しを行っておらず、見直しを行わない理由には「コストの増大」や「利用の偏り」といった要因が考えられます。働き方の変化や社会情勢の変化に対する敏感さ、従業員からの要望に対し柔軟に応じる姿勢が求められていますが、現状はまだ低い利用率がその実現を阻んでいます。
さらに、福利厚生制度の満足度やニーズを把握する方法として、従業員アンケートが最も多く45.5%を占め、31.2%の企業は把握できていないと答えています。結果として、従業員の実情に即した施策が行われていない可能性が高まります。これに対し、企業としてどうアプローチすべきなのでしょうか。
福利厚生制度の利用促進に向けた取り組みの中で、イントラネットや社内報での周知が最もポピュラーであることが示されていますが、周知の方法が効果的であるとは限りません。従業員にとって本当に必要かつ役立つ制度であるかを見極めることが、今後の企業戦略の重要な一部分となるでしょう。
このように、総務が推奨する福利厚生制度と実際の利用率のギャップには、複数の要因が絡んでいます。今後は、企業のニーズと従業員の声をより適切にリンクさせるための取り組みが求められるでしょう。制度の見直しや新たな施策の導入、そして従業員の意識改善へ向けた努力が、今後の企業の成長を支える基盤となることを期待します。
【関連リンク】
株式会社月刊総務
https://www.g-soumu.com/
執筆:DXマガジン編集部