日本とインドのビジネス交流を促進するIndobox株式会社。日本企業のインド進出を支援したり、インドの人材を日本企業に紹介したりする事業を手掛けます。日印の相互理解を深めるためには何が必要か…。日本とインドが一体化し、共に成長していくエコシステムの構築を夢見るIndobox 代表取締役の丹治大佑氏に、デジタルシフトウェーブ代表取締役社長の鈴木康弘氏が話を聞きました。  

商社マンからインド駐在員、そして起業へ

鈴木:丹治さんのこれまでの経歴を教えてください。  
 
丹治:私は20年間、商社で鉄鋼部門に従事していました。2013年に突然インドのニューデリーへの駐在を命じられ、5年間インドで過ごした後、帰国。インドにかける強い想いから2022年に退職、翌年に自身の会社を設立しました。私たちのミッションは、日本企業のインドビジネス展開をサポートすることです。法務や税務ではなく、ビジネスサイドに特化した伴走型のコンサルティングを提供しています。また、人材事業にも力を入れており、日本企業へのインド人材の紹介も行っています。これは、日本の人材不足とインドの優秀な人材の雇用機会不足という両国の課題を解決する取り組みです。 

鈴木:インドではどのようなことに取り組んでいたのですか。  
 
丹治:最初の2年間はニューデリー、その後の3年間はムンバイに滞在し、現地の駐在員として貿易業務と新規顧客開拓に従事していました。販路拡大に向けて、5年間毎週インドの都市を飛び回り、年に110回も飛行機に乗っていました。駐在期間を延長したかったものの意向叶わず、2018年に日本の名古屋へ帰国することが決まり、後ろ髪を引かれる思いでインドを後にしました。日本に帰国すると、ショックを受けた出来事がありました…。

インドを知らせる使命感に燃える

鈴木:どのようなショッキングな出来事があったのですか?  
 
丹治:インドについて知っている人がとても少なかったことです。もっと多くの人にインドの魅力と可能性を知ってもらいたいという使命感に駆られ、インドに関するセミナーや勉強会を自主的に開催するようになりました。その活動が認められ、地方行政や企業からの依頼が増え、自分にしかできないことがあるのではないかと思い始めました。2019年から2年間、社会人大学の事業構想大学院大学で学び、2022年6月に退職し、翌年の2023年5月にIndoboxを創業しました。  
  
鈴木:とにかくインドを知ってもらいたい、そんな熱い思で立ち上げた御社のミッションに掲げている「ジュークボックス」について教えてください。  
 
丹治:当時、インドについて知らない人が多かったため、私が話すちょっとした内容でも、皆が面白がって聞いてくれていました。それをきっかけにインドのことなら何でも答えられる存在になろうと決意し、どんな音楽のリクエストにも答えられる「ジュークボックス」のように、「インドボックス」と名付けました。実はロゴもジュークボックスの形をイメージしています(笑)。  
 
鈴木:なるほど!素晴らしいですね。

日印のビジネススタイル:スピードと慎重さの対比

鈴木:そんな熱い思いのあるインド人と日本人との交流の中で感じる違いはありますか。  
 
丹治:インド人は結果思考でアクションが早く、スピードを重視します。ゴールを達成するために既存のリソースを活用し、最短ルートで進みます。そこに、インド特有の「ジュガール」という思考が加わります。これは、限られたリソースを組み合わせて、最短で実現を目指す考え方です。一方、日本人はプロセス思考で、慎重に計画を立て、リスクを分散しながら進めます。そのため、どうしても時間がかかる傾向があります。だからこそ、日本人とインド人が交流することで、日本人が本来持っている価値を見出したり、大きなエネルギーを得たりすることができると思っています。  
 
鈴木:日本オムニチャネル協会の海外視察の際も大変お世話になりました。協会メンバーとお会いしてどのような印象を受けましたか。  
 
丹治:協会員の皆様は好奇心旺盛でチャレンジ精神が強い方々ばかりであるという印象です。ですので、インドとの相性は抜群だと思います。参加者の多くがインドに大変興味をもっているとお聞きしていますので、ぜひ今後も人材交流や研修プログラムなどで協業できれば、大きな可能性が生まれると思います。  
 
鈴木:私たちも多くの刺激を得ました。インド工科大学(IIT)の学生も含め、協会を受け皿に今後様々な形でご一緒できればと思います。  

日印一体化への道

鈴木:最近、変化を感じることはありますか。

丹治:現在は日本からインドを見ていますが、今後はインドから日本を見る視点も強化していきたいと考えています。その一環として、インドに法人「Indobox India」を設立予定です。また、企業の幹部候補生や、事業承継する2代目・3代目の若社長に向けて「インド武者修行研修」も実施予定です。

鈴木:最後に、丹治さんの夢を教えてください。

丹治:日本とインドが融合することです。お互いを尊重し合い、ビジネスや文化の面で共に成長していくエコシステムを作りたいと考えています。私たちの取り組みに共感いただける多くの人を巻き込んで、両国に、より多くの人々の笑顔を増やしたいと思っています。

鈴木:本日は貴重なお話をいただき、ありがとうございました。

丹治:こちらこそ、ありがとうございました。


Indobox株式会社
https://indobox.co.jp/

情報提供元: DXマガジン_テクノロジー
記事名:「 インドを舞台に活躍する日本企業を支援、インド人の思考が事業加速の契機に