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消費者の購買行動を大きく変える契機となった「EC」。登場から現在に至るまで、どんな進化を遂げてきたのか。前回は、日本のネット環境を一変させましたソフトバンクの「Yahoo! BB」について注目しました。ADSLの登場により、家庭でもストレスなく画像や動画が楽しめる時代が到来。それは、ECサイトの利便性と魅力を飛躍的に高め、多くのユーザーをオンラインショッピングへと引き寄せるきっかけとなりました。今回は「Yahoo! BB」がもたらしたネットインフラの革新と、それによって爆発的成長を遂げたB2C EC市場の進化を振り返ります。【連載第8回:ECの進化とシステムの変遷】
第7回:なぜ孫正義が考える事業は、常識を壊し続けられるのか?
https://dxmagazine.jp/column/hys7so/
Yahoo! BBの登場によりADSLが普及し、各家庭でのインターネット環境が飛躍的に向上しました。これにより、時間や料金を気にせず、画像や動画などのコンテンツをストレスなく楽しむことが可能になりました。この変化は、EC(電子商取引)市場にも大きな影響を与えました。
当時のEC市場では、家電やCD、本など、商品内容が明確で価格競争力のあるものが主に販売されていました。しかし、高速インターネットの普及により、ウェブサイトでの画像や情報の表示がスムーズになり、ユーザー体験が大幅に向上。これにより、ECサイトの利用者が急増し、各店舗の売上も飛躍的に伸びました。
2004年には、Oisix、ZOZOTOWN、ファンケル、オルビス、ファーストリテイリングなど、さまざまな業種の企業がECランキングに名を連ねるようになりました。
B2C(企業対消費者間)のEC市場は、この時期に急速な成長を遂げました。具体的な市場規模を見ると、以下のような驚異的な伸びを記録しています:
2000年:8,240億円
2001年:1兆4,840億円
2002年:2兆6,850億円
2003年:4兆4,240億円
この急成長は、Yahoo! BBの登場によるインターネット環境の改善が大きな要因となりました。
Yahoo! BBの登場は、日本のインターネット環境とEC市場に大きな変革をもたらしました。孫正義社長の大胆な行動力と独自の普及戦略が、高速インターネットの普及を加速させ、EC市場の成長を後押ししました。この時期の革新が、現在の日本のECの基盤を築いたと言っても過言ではありません。
林雅也
株式会社ecbeing 代表取締役社長
日本オムニチャネル協会 専務理事
1997年、学生時代に株式会社ソフトクリエイトのパソコンショップで販売を行うとともに、インターネット通販の立ち上げに携わる。1999年にはECサイト構築パッケージ「ecbeing」の前身である「ec-shop」を開発し、事業を推進。2005年に大証ヘラクレス上場、2011年に東証一部上場へ寄与。2012年には株式会社ecbeingの代表取締役社長に就任。2018年、全農ECソリューションズ(株)取締役 JAタウンの運営およびふるさと納税