- 週間ランキング
消費者の購買行動を大きく変える契機となった「EC」。登場から現在に至るまで、どんな進化を遂げてきたのか。第3回となる今回は、モバイルを使ったECの系譜を紹介。当時、衝撃だった「iモード」に代表されるモバイル向けサービスの進化も振り返ります。【連載第3回:ECの進化とシステムの変遷】
NTTドコモは1999年2月、「iモード」を開始。携帯電話からインターネット接続と公式サイトを経由した各種サービスの提供に踏み切りました。
DDIセルラー(現au)も同年4月に「EZweb」、J-PHONE(現ソフトバンク)も同年12月に「J-Sky」を相次ぎ投入。モバイルのインターネットの幕開けとなりました。同年12月にはTSUTAYA Onlineがiモード公式サイト上で通販サービスをいち早く開始し、ユーザーはiモード経由でCDや書籍を購入できるようになりました。
一方、インデックスやサイバードなどの携帯電話向けにコンテンツやECを展開する企業が頭角を現し始めます。着信メロディや待ち受け画像、占いなどデジタルコンテンツなどを販売。月額課金による収益モデルを打ち出し、モバイルを軸にした市場が急拡大しました。また、日本家電メーカー各社も通信キャリアの仕様をもとに、様々な携帯電話、通称ガラケーを発売し、華やかな販売合戦が繰り広げられました。
携帯電話の回線速度は当初9.6kbpsでしたが、2001年前後から各社が3G(64〜384kbps)を導入。通信速度と画面表示能力は次第に向上していきました。しかしながら、当時はパケット通信料が高額で、ページの容量制限も厳しい時代でした。テキスト中心のサイト構成にならざるを得ず、容量の大きいページは避けられました。そんな中、NTTドコモが2004年6月、パケット定額サービス「パケ・ホーダイ」を市場投入。auも同年8月にEZフラットの定額プランを改定するなど、通信料定額制が開始され環境が整備されていきます。ちょうどその頃、DeNAが携帯専用オークション「モバオク」を開始します。携帯に特化した使い勝手で人気を獲得し、Yahoo!オークションに次ぐ規模のオークションサービスへと成長しました。
経済産業省の調査資料では、2004年のモバイルEC市場規模は9710億円。2003年の7770億円から25%増え、B2C全体の17%を占めるまでに成長しています。まさにモバイル(ガラケー)ECの全盛期を迎えようとしていました。NTTドコモが世界最大(登録者数4568万7117人)のワイヤレスインターネットプロバイダとしてギネス認定を受けたほどの隆盛です(2006年1月時点)。さらに2000年代後半になると、モバイル通販が若年層からの支持を集めるようになります。とりわけ女性ユーザーが爆発的に増え、数多くのファッション通販サイトが展開されるようになりました。
林雅也
株式会社ecbeing 代表取締役社長
日本オムニチャネル協会 専務理事
1997年、学生時代に株式会社ソフトクリエイトのパソコンショップで販売を行うとともに、インターネット通販の立ち上げに携わる。1999年にはECサイト構築パッケージ「ecbeing」の前身である「ec-shop」を開発し、事業を推進。2005年に大証ヘラクレス上場、2011年に東証一部上場へ寄与。2012年には株式会社ecbeingの代表取締役社長に就任。2018年、全農ECソリューションズ(株)取締役 JAタウンの運営およびふるさと納税支援事業を行う。2020年からは日本オムニチャネル協会の専務理事を務め、ECサイト構築パッケージecbeingの導入サイトは1600サイトを超える。