日本で“売れている”商品が、そのまま海外で成功するとは限らない

日本で“売れている”商品が、そのまま海外で成功するとは限らない。日本オムニチャネル協会が主催するグローバルアカデミーでは、日本企業が海外市場で失敗しがちな「常識の落とし穴」と、そこから脱却するための新戦略が明らかにされた。グローバルアカデミーには、ロサンゼルスで自身のマーケティング会社「MIW Marketing and Consulting Group」のCEOとして活躍する岩瀬昌美氏と、日本オムニチャネル協会会長の鈴木康弘氏が登壇した。

登壇した鈴木氏は、日本の家電製品がかつて世界を席巻した一方で、韓国企業に市場を奪われた歴史を振り返り、「現地ニーズを軽視した日本独自の価値観では、グローバル市場では通用しない」と警鐘を鳴らした。

岩瀬氏が象徴的な事例として紹介したのが、アメリカ市場での「枝豆」の販売戦略だ。日本では“ビールのつまみ”として定番の枝豆。しかし、ある日本企業が同じ売り方を米国に持ち込んだところ、まったく売れなかったという。
アメリカ人の多くが枝豆を「子どもの健康的なプロテインスナック」として認識しており、塩味よりも「塩なし」を求めていた。戦略を転換し「無塩」の枝豆を販売した結果、塩味枝豆の10倍の売上を記録したという。

この事例は、「日本では売れる」という感覚が、異なる文化・価値観を持つ海外市場ではまったく通用しないことを象徴している。

では、どうすれば海外市場で成功できるのか? 岩瀬氏は「『誰に売るか』をゼロから見直すことが不可欠」と語る。多くの日本企業が陥りがちな“裕福な白人層”だけを狙う発想では、米国の多様性には対応できない。アメリカは“サラダボウル社会”であり、民族ごとに購買行動も価値観も異なるのだ。続けて、「大切なのは、“日本の良さを押しつける”のではなく、現地の生活者の本音に寄り添うことです。これは文化の輸出ではなく、ニーズへの共感です」と鈴木会長は強調した。

グローバルアカデミーでは、データと感性を融合させた現地密着型の戦略を提唱。テクノロジーを活用して現地市場を可視化し、現地の“当たり前”に合わせた商品・サービスを再構築する必要性が説かれた。今、日本企業に求められているのは、“日本の成功体験”をいったん手放し、ゼロから世界の生活者と向き合う姿勢だ。それこそが、グローバル市場で再び輝くための第一歩となるだろう。

日本オムニチャネル協会
https://omniassociation.com/

情報提供元: DXマガジン_テクノロジー
記事名:「 「日本の良さ」の押しつけは通用しない!グローバル市場攻略に必要なのは“文化の輸出”ではなく“ニーズへの共感”